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モウリーニョへの不安と、成長の機会

前説

突然のニュース。スパーズを解任されたモウリーニョが来季からローマの監督に就任。現在ローマはフォンセカ監督、GMともにポルトガル人なので、ポルトガルコネクションでの就任なのかもしれない。

2021シーズンプレミアリーグ序盤に、マンチェスターシティのペップは試合後に優勝候補筆頭はスパーズと述べるほどの好成績だった。

しかし、結果的にスパーズは崩壊し、7位まで落ち込んでモウリーニョは解任。

その後の報道でモウリーニョローマ監督就任となった。

そんなモウリーニョのローマ監督就任に対して、2つほど不安な点がある。今のセリエAの状況、ローマの状況を説明しつつ、どこが不安かを語っていきたい。

ローマの現状と似ているミラン

ローマと言えば、少し前まではユベントスを追う第2グループだった。ガルシア率いるローマ、サッリ率いるナポリがアッレグリユベントスを追う時代。

その後のディフランチェスコ監督時代にローマはCLベスト4まで進出し、決勝進出まであと一歩のところまでリバプールを追い詰めた。チームの中心にはジェコがいて、デロッシが健在だった。

しかし近年はミラノ勢の復権、ユベントスの一瞬の失敗によって、来季からどうなるか予測が難しい。

そんな中、現在のローマは、イタリア外で活躍していたベテランや中堅とセリエAで活躍していた若手や中堅を組み合わせてチームを作り上げていた。ジェコ、ムヒタリアン、ペドロらのベテランとマンチーニ、ペッレグリーニ、クリスタンテ、ヴェレトゥらセリエA経験のある中堅、若手の組み合わせた。

ローマのチーム構成とその路線は、今のミランにも近い。ミランもイタリア外で活躍していたベテラン、中堅選手を主軸に数名、そこに若手、中堅を組み合わせてチームを作っている。イブラヒモビッチ、チャノハノール、ケアーのようなイタリア外経験もあるベテラン、中堅に、ケシエ、べナセル、ロマニョーリ、カラブリアらのイタリア国内経験のある中堅、若手たちの組み合わせ。

だた、ミランとローマの違いは、監督だ。

ローマ監督はセリエA挑戦のフォンセカ。フォンセカはウクライナリーグのリーグ戦、カップ戦を3連覇してから、監督としてステップアップすべくローマにやってきた。

一方、ミラン監督は、イタリアでのキャリアが長いピオリ監督。ラツィオ時代、インテル時代ともに攻撃的カルチョを軸にチームを作り上げていた。

結果、フォンセカはチームの状態を安定させられなかった。フォンセカがジェコと衝突したなどと報道もされていて、シーズンを通して上手くいかなかった印象だった。

ピオリはイブラ、チャノハノール、ケアーのような経験のあるベテラン、中堅選手たちを軸にチームをまとめることができた。

おそらくフォンセカの布陣などを見ていると、やりたいことは理解できるが、なかなか思った通りに組織を構築させられなかった印象だ。また、セリエA自体に馴染めなかったようにも感じる。

選手構成の方針はローマは、ミランと同じように、財政的なバランスを考えると妥当だった。ただ、指揮官のセリエAでの経験値の差。ここが今季のローマとミランの成績の差になったかなと考えている。

セリエA経験の少なさ

さて、来季からモウリーニョがローマにやって来る。監督キャリアを考えてもローマがセリエAで大旋風を起こすことを期待されての就任だ。

しかし、モウリーニョ監督はセリエA経験が2年しかない。それも11年も前のセリエAしか経験していないのだ。

当時のセリエAはインテルが連覇し続けていた時代だった。カルチョポリの影響によってミランは勢いをなくし、ユベントスが降格。イタリアの戦力がインテルに集まっていた時代だ。

インテルはセリエ3連覇していたがCLで結果を出せなかった。そのため、インテルは、監督をマンチーニからモウリーニョへとスイッチ。結果的にモウリーニョ監督は2年目に3冠を達成した。

その時代と現在では、少し状況が異なっている。当時は絶対的だったインテルは11年苦しんで、今季やっとスクデットを獲得。

11年の間にセリエAで支配的だったのはユベントスだった。そのユベントスは今季苦しんだ。

ミランはイブラを中心とした昨シーズンから徐々に力を取り戻し、アタランタは戦術面でセリエAでの2、3番手の立ち位置を確保している。

つまり大本命が不在で来季スクデット争いは、まったく予想がつかない。

セリエAの競争力と言う点では、モウリーニョがインテル監督だった時期に比べて、厳しくなっており変化が大きいのだ。

モウリーニョの同胞フォンセカはセリエAの中では活躍できなかった。セリエAの水に馴染めなかったとも言えるだろう。そして、モウリーニョに関しても同じことが起きてもおかしくはないのだ。

WIN NOWなモウリーニョとローマ

現在のローマのチーム構成は今シーズン勝つというよりも、将来的な選手の売り買いも含めての路線といった印象だった。

そして、来季、モウリーニョのチームは、主力のムヒタリアン、ペドロ、ジェコのようなベテランを軸に、若手選手たちは売ってしまい、多少高値であっても実力のあるベテランや中堅選手を補強して、メンバーを固めていくのではないかと予想する。もしくは、選手の総入れ替えかもしれない。

モウリーニョは育てるタイプの監督ではなく、いる選手を輝かせつつ補強で層を厚くして、すぐに結果を求める監督だ。そのため、ローマとしてはモウリーニョから補強を求められるだろう。このコロナのなかで、それだけの資金力をローマおよびオーナーグループが捻出できるかが気がかりだ。

ローマの今までの補強戦略は、オーナーの変更によって、どの方向へ進むかまだわからない。今までと同じ補強戦略ではモウリーニョを満足させられないだろう。

ともするとオーナーグループへのモウリーニョの口撃が始まり、ごたごたが報道される可能性もあるのではないかと考えている。

未知との遭遇は成長の機会

コンテ、ガスペッリーニ、ガットゥーゾ、ピオリ、ピルロ、Sインザーギ。これはセリエA上位チームの監督たちだ。すべてイタリア人監督。この中でモウリーニョインテルと対戦経験があるのは、ガスペッリーニのみ。さらに、彼らに加えてセリエA5連覇監督アッレグリ、海外経験とセリエA優勝経験を重ねたサッリも来季からセリエAへ復帰するかもしれない。

モウリーニョの2度目のセリエA挑戦は、未知との遭遇となる。モウリーニョがいない間にセリエAは大きく変化した。得失点が増加し、サッスオーロ監督デゼルビのようなイタリアのペップと呼ばれる監督まで登場ているのだ。

そんな未知との遭遇に対してモウリーニョ自身がどのように振舞うか、どのように変化していくか。ここがローマの命運を握っていると考えている。

モウリーニョの今までのチームには、それぞれのリーグを代表するようなエースがいた。インテルではエトー、ミリート、レアルマドリードではロナウド、ベンゼマ、ディ・マリア、チェルシーではアザール、コスタ、セスク、スパーズではケイン、ソンフンミン。

今のローマには、そのような選手はいないとみて間違いないだろう。ジェコは少し年齢を感じさせるプレーが増えており、ムヒタリアン、ペドロも元々主役となるタイプではない。

今までのモウリーニョのやり方で勝利できるかは怪しい。

今のセリエAは、モウリーニョにとって難しい挑戦になる条件が上記のように揃っている。ここでモウリーニョが今までにない何かを見せて、セリエAでローマの大躍進を見せられれば、それはモウリーニョにとってもローマにとっても大きな成長だ。

モウリーニョローマの、今までにない何か、に期待している。

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