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Stripe Capitalリリース! X Capitalの現状について。

こんにちは。消費者信用産業のアップデートを目指すCrezitの矢部です。

ちょうど本日、StripeがStripe Capitalという事業者向けのファイナンスプロダクトをリリースしました。決済/プラットフォームからSMEsへのファイナンス提供は2013年にPaypalがPayPal Working Capital初めて以来、2014年Square Capital、2016年Shopify Capitalと既に多くの前例があってそれ自体真新しいものでもないですが、今回はいくつか新しい点/気になる点があったので整理していきます。またこれらのサービスをX Capitalと呼ぶことにしてみます。


X Capitalの概要

X Capitalのサービス自体はとてもシンプルです。事業者向けの決済やプラットフォームを持つ企業が店子のキャッシュフローを把握して運転資金のファイナンスをする、いわゆるトランザクションレンディングです。

アメリカのサービスの多くが、"サービス名 + Capital"という名称でリリースしていることもあり、個人的にはこういったモデルをX Capitalサービスと呼んでいます。

従来の銀行融資と比較して、決済情報に基づいたペーパーレスなアンダーライティング、短期の運転資金課題の解決、最短即日入金のような基本項目に加えて、普通ではみられない特徴的な点がいくつか共通してあります。

X Capitalの特徴

①one flat fee 
一つ目の特徴は費用体系です。
日本でもそうですが小口の融資サービスにおいて金利は年〇〇%と表記され、実際に払う金利負担はいくらになるのかは不透明な構造になっていることが多いです。X Capitalの特徴として、返済期間や回数によって変化する金利を固定の手数料として提示することが多いです。これによって、スモールビジネスオーナーがフェアに判断できるようにしています。

②売上(決済)と連動した返済
返済方式も通常とは異なります。
普通であればあらかじめ決められた約定日に返済方式に応じた金額、日割りで計算された金利などを支払います。事業者のキャッシュフローは、融資契約時点でリスクとして織り込まれており、実際の売上状況とは一切関係なく回収が走ります。
X Capitalの場合、決済ないしプラットフォームサービスが一度、事業者の売上金を預かるようなお金の流れになっています。そこで一定のRepayment Rate(ユーザーが選ぶ形式もあれば、X Capital側がしている場合もある)を決定し、売上が上がるたびに預かった金額からRepayment Rate分を回収することができます。
これによって、ユーザーにとっては返済の管理や負担が軽減し、事業成長へ集中することができるWin-Winな関係性をプラットフォームと築くことができるようになります。

- 劣後債権の繰り上げ効果
これはユーザー側には関係ないですが、本質的な仕組みとしてビジネスローンや売掛け債権をどう保全するかという課題も解決しています。
債権としては通常だと登記もせず、劣後している状態ですが、売上があがる瞬間に回収できることで対抗要件の具備や保全に必要なプロセスなしでサービス提供できることになります。

- 裏側の銀行
各社相当な金額をファイナンスしているわけですが、実は裏側には銀行がついています。Stripeは銀行がどこかを公開していないですが、例えばSquareだと現在はCeltic bankというところがローン提供しています。確か初期は違う銀行だった気がします。このファイナンス自体の仕組みもまた機会があれば詳細に話したいと思います。

X Capitalの現状

このXXX Capitalのサービスでよく話題になるのはPayPal、Square、Shopifyです。サービス内容はどれも基本的に同じですが、実はスキームが前者2つはローン、ShopifyとStripeは将来債権譲渡がメインになっています。リリースや過去のQ&Aを見ていると、途中でもスキームを変えていたり、ローンと将来債権譲渡の両方提供していたりと、アメリカの法律が詳細にはわからないのでなんとも言えないですが微妙に違う事業者の需要を捉えようとしている動きがあったりするように見えます。

各社のX Capitalはとても成長していて、例えばSquare Capitalだと2018年で$1.6B(約1700億円)のファイナンスを提供しています。2014年5月のローンチからだと累計$5B(約5000億円)。しかも成長率がやばいwww

PayPal Working Capitalはどうかというと、実はこちらも凄い数字を出しています。2013年9月のローンチから、2016年で$2B、今年5月までで累計$10B(約1兆円)貸し出しています。

Shopify Capitalはまだリリースしてからの期間が短いですが、2019Q1までで累計$535MM(約550億円)のファイナンス。ファイナンス額、残高どちらのYoY成長率も数十%~100%超の水準です。


他のフィンテック企業との比較でいうと2018年、ユニコーン企業のKabbageがだいたい2000億円、上場しているOnDeckも2500億円くらいなので、Square CapitalやPayPal Working Capitalでそのレベルに匹敵します。Shopify CapitalやBlue Vineや桁が一つ下がってしまいますが、成長率的にはShopifyは並びそう。

SMEs向けのファイナンスサービスのトップはこれまでOnDeck、Kabbageだったわけですが、Square Capital、PayPal Working Capitalに抜かれるのも時間の問題のような現状です。


ただし、これは単純に日本国内にも通じる話ではなくて、中小零細企業の資金調達環境が日米では大きく違う点は考慮しなくていけないなと思います。日本ではノンバンクによるファイナンス



国内事例

上記で述べたようなone flat feeの実現、売上連動の返済、債務順位の優先を兼ね備えたファイナンスサービスを国内で唯一実現しているのが、BASE(の子会社BASE BANK)が提供するYELL BANKです。

前職で自分が立ち上げたサービスなので手前味噌で恐縮ですが、よくできた仕組みだと思います。日本の厳しい貸金業規制の中で現実的なスキームとして将来債権の譲渡(ファクタリング)、かつ売上変動の実現のために債権の部分売却という立て付けにしています。

通常だと対抗要件の具備なしではリスクが高くなってしまう部分も、エスクロー決済方式のBASEだからこそ回収が劣後せず取りっぱぐれの可能性がとても低くなる仕組みです。なによりも4タップくらいで即時で1000万調達できてしまう体験がすごすぎました。体験でいえば、Invitation Letter的に案内が送られてくるSquareやShopify Capitalよりもだいぶ良いものな気がします。

Stripe Capitalの先

どういう形になるのか具体的にはわからないですが、個人的に今回のリリースで一番気になってるのはStripe Connect(プラットフォーマー向け決済)との連動で、店子向けにもStripe Capitalが提供可能になるという部分。

Stripe Capital is being made available both to direct customers of Stripe’s, and to business customers of platforms and marketplaces that use Stripe Connect. (In other words, the platform and marketplace customers will have access to Stripe Capital themselves, and they in turn can also offer Stripe Capital-based cash advances to their customers.)

Crezitではプラットフォーマー向けにローンやクレジット、金融機能をAPIで提供するCredit as a Service ( Banking as a Serviceの一種という立ち位置)モデルを目指しているのでとても気になります。


最後に

今回のStripe CapitalのようなX Capitalであったり、SaaS + レンディング 、プラットフォーム x ファイナンスの話はもちろんとして、Crezitが目指す消費者信用領域のアップデートに興味がある方是非お茶でもしましょう。気軽にご連絡ください。


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