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零細FinTechスタートアップによるeKYC導入検討のリアル

こんにちは。Crezitの矢部です。先般、下記のようなリリースを出させていただきました。弊社が提供するモバイルクレジットサービス「CREZIT」のポラリファイ社のeKYCを導入したという内容になっています。アプリのeKYCはメルペイLINEなどがかなり前から導入してある程度顧客体験としても認知されていたと思うのですが、CREZITのようなwebでの体験についてはなかなか事例がなかったのでいいケースを作れたかなと思います。

このリリースを出したあと、周りの起業家からいくつか質問などいただくようになりました。大体の内容としては、eKYC導入のコスト感(実費、開発工数など)やどこのサービスがおすすめか、機能要件、法的要件などが中心でした。確かに、eKYCのようなかなり堅めな実装や機能検討についての情報はググっても全く出てくるわけもなく、地道に足を使って(文字通り)情報を集めていたのが懐かしいです。

今回はそんな悩めるeKYC導入検討企業の方々、プロダクトマネージャーの方に向けて弊社での検討のリアルを少しだけ、ほんの少しだけ....共有したいと思います
※細かな論点には記事内では触れませんが、直接ご連絡頂ければ赤裸々にお話できるかと思うの下部のTwitterからどうぞ!

前提

・メルペイやPayPay、LINEのような大手ではなく、数千万円しか調達していないシードスタートアップにおける意思決定。
・主目的は機能実現と検証であり、ユーザー体験やデザインとして最上を目指すのは次のステップとして捉える。
・リソースがあればもっと多彩なオプションを用意できるが、基本的な要件をミニマムに満たす上では本記事記載の通りで問題ないはず。

背景

これまでCREZITでは、口座振替オプションによる本人確認を行ってきました。しかし、課題として一部銀行は口座振替登録時の本人確認済み情報の提出に対応しておらず、本人確認における法定要件を満たさなかった。(楽天やジャパンネット銀行など)。よってこれらの銀行口座ユーザーの本人確認落ちが発生している状況が続いていた。

この課題を解決する方法として、口座振替オプションに本人確認を依存するのではなく、eKYCを実装することで上記銀行口座ユーザーでも利用可能とするべく、導入・検証を企画した。

検証項目

プロダクトとしての検証項目はそこまで多くはありません。
もともと、ユーザー体験を重視して、サービス申し込みフローを非常に簡略化して作ってきたこともあり、トップページへの新規流入からの申し込み完了までのコンバージョンが異次元な数値を継続していました。

そこで流入 ~ 申し込みまでのCVRやファネルの変化と、背景で説明した漏れていた銀行口座ユーザーによるインパクトの

基本的な検証
・ eKYCの煩雑さにより発生する手続き途中での離脱
・未対応OSなど機能要件の不足によって発生する離脱
・eKYCの導入結果として申し込みまでのCVRの変化
・追加で利用可能となった銀行口座のインパクト
・eKYC導入による申込者層の変化(例 不正ユーザーが減る等)


少しストレッチした検証
・どの程度申し込みフローを複雑化・拡充させてもCVRは変わらないのか

導入に際しての検討項目の整理

ここらへんの検討項目の整理は下記にざっくり書いている以上に、ちゃんとサポートできると思うので是非気軽に聞いてください!

機能要件としての項目
- 犯収法の要件を満たす必要があるか(そもそもeKYCである必要あるか)
- アプリ or web
- どのeKYC手法を実装するか(ほへとちり)
- 対応書類
- その他のkyc手法との並列にするか(口座振替オプションなど)

ビジネス要件としての検討項目
- CVRへの影響度合いについて
- 業務オペレーションをどう構築するか、書留送付や目視確認業務の負担
- eKYCのサービスはどれを使うか or そもそも自前でやるか
- 費用面(初期 + 月額 +  トランザクション)

eKYCサービス候補

※追記 公開情報やそこから観測した情報からのみお伝えしています。業務上知り得た情報などは一切こちらでは公開しておりません。

Polarify

弊社が実際に導入させていただいたのがPolarifyです。コスト面や機能、実績など諸々加味したときにベストなオプションだと考えました。
特になにが決めてだったかと考えると、webアプリでもシームレスなeKYC体験が実現できたことです。デザインやカラーリングも一定修正可能な上、サポート体制やコミュニケーションもとても気持ちのいいものでした。

また、弊社が今後アプリへの展開なども検討していることを踏まえたときにPayPayや楽天、ヤフー系のアプリ、親会社であるSMBCや各金融機関での導入実績の豊富さにはかなり惹かれました。

また別ポイントとしてポラリファイも含めて動いている下記のようか構想にも個人的には惹かれていました。弊社は単にeKYCサービスを利用させていただくだけではありますが、今後の事業展開で何か一緒にできるかも、、、のような妄想だけは膨らませていました。

TRUSTDOCK
少し前までは、ユーザーに対してTRUSTDOCKが提供する身分証アプリをDLさせなければいけなかったので選択肢として外しました。特に今のCrezitだとモバイルwebベースでのプロダクトなので、eKYCをwebブラウザ完結の仕組みを持っているところが限られていました。
現在はTRUSTDOCKアップローダーというJavascriptを埋め込むだけで実装できるプロダクトを展開していて、かなりよさそうです。加えて確認業務のBPOも受けているので、ある程度規模感のあるサービスであれば導入時に発生する確認業務をまるっと渡せて、便利だと思います。(他のサービスを使った場合でも確認業務の部分だけTRUSTDOCKにお願いするなどできるようです)

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参照:https://biz.trustdock.io/

比較的ライトな実装要件かつ、様々な業法に対応していることから非金融領域のサービスで本人確認を実施したい場合はTRUSTDOCK一択かなと考えています。逆に各種金融業、改正犯収法要件を満たす必要がある場合は、他のサービスとの比較検討をおすすめします。

また、当時はアプリのSDKがなかった気がする(記憶違いかもしれません)ので、ネイティブな体験を重視するのであれば違った選択肢を検討してもいいかもしれないです。

Liquid eKYC
Finolabに入居されていて、生体認証などすごく研究開発進めているイメージのLiquid。eKYCにも犯収法の改正に合わせて参入しており、プロダクトのクオリティはとても高い印象でした。

大手の金融機関による導入実績は観測している限り、ポラリファイと同水準(主観的な観測であり実数は知りません)なのかなと感じています。
大手の導入を進めていることもあり、なかなか当時の弊社では導入検討を進めていくのが厳しかったように思います。

その他
探すとめちゃくちゃプレイヤーがいます。個人的には我々のような零細スタートアップは上記でピックアップしたところの資料やお話をベースに意思決定していくのがいいかなと思います。下記プレイヤーについての情報ある方は是非教えていただけると嬉しいです。

- NEC- Deep Percept
- 日本IBM
- DNP
- GMO
- 凸版印刷
- Deep Percept

自前開発
これは少しだけ悩みました。仮に弊社サービスがネイティブアプリであれば可能性もあったかもしれないですが、eKYC単体を外部に提供することを想定しない場合は自社開発はやめて置いた方がいいかと思います。
犯収法の要件をクリアするべく各所との調整コストなど考えるとあまり現実的ではないでしょう。。。(大前提:零細スタートアップのeKYC導入)

結果

正直なところ、各種eKYCサービスの機能面だけでいうと大きな差異はそこまでありません。仮に現時点であったとしても、かなり早いタイミングで各社開発を進め機能的な差別化はなくなっていくと思います。どんなものでもそうですが、実現したい機能要件とコストでの調整になります最終的には。

申し込みCVRの変化について

eKYC導入前とeKYC導入後の申し込みまでのCVR推移でみてみると、Dailyベースでみても、Averageでみても導入前とほとんど同じ水準の到達率を維持しており、当初懸念点としてあったeKYCフロー落ちは全体で見るとそこまで起きませんでした。下記でもう少し細かく見ていきます。

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ファネルの変化について

eKYCの導入支援できるかもしれません

導入検討段階のカジュアルな相談から実装、日々の運用業務までCrezitでサポートします。さすがに無料とはいきませんが(相談だけならもちろん無料)、数社限定でお手伝いできそうなことがあれば格安でやります!TwitterかFBで気軽に連絡下さい。


金融サービスの作り手コミュニティを作りたい

金融事業に関わる人たちで知見を共有するグループを作ってみたいと思います。例えば本記事のようなeKYCどうしたらいいのや、オンライン口振替の決済代行会社どうしたらいいの、銀行APIの交渉の進め方、などググってもでてこないリアルなプロダクト開発・事業開発の知見を可能な範囲で共有しあえるようなslackグループを想定しています。

良さそうだなーと思ったかたいればTwitterからご連絡ください!一緒にやりましょう!

Twitter : @yabebe_t








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