沖縄ブランド「かりゆしウェア」が抱える課題
夏の真っただ中。
私が代表を務めるファクトリエではこの時期、メンズアイテムでは7分袖シャツやポロシャツをお求めいただくことが多くありますが、やはり「アロハシャツ」は夏の定番として非常にご好評いただいています。
アロハシャツ作りが始まったのは、2年前の2016年の6月ごろ。
沖縄県庁にお声掛けいただき、沖縄の縫製業に携わる方々に向けて講演をさせていただき、県内の工場を見学させていただいたころから始めまりました。
■沖縄の県産品「かりゆしウェア」が抱える課題
アロハシャツの親戚と言っても過言ではない、「かりゆしウェア」。
かりゆしウェアは、「沖縄の夏を快適に過ごせて、そして沖縄県産品として沖縄をPRすること」を目的に発売されたのが始まり。
県としてもかりゆしウェアの生産に力を入れ、2000年に10万着だったかりゆしウェアの生産量は、2014年には40万着を超えるまでに増加。
市役所、銀行などでもフォーマルウェアとして、多くの地元の方々に愛用されています。
そのため、どの縫製工場を訪問しても「かりゆし」一色。
※ちなみに、かりゆしウェアの定義は、
・沖縄県産品であること
・沖縄らしさを表現したもの
とされており、県外で生産されると「かりゆし」には当てはまらないそうです。
■“仕事着”として定着してしまったかりゆしウェアをどうブランド化していくかを議論
沖縄県庁でのブランドセミナーでは、縫製組合のほぼ全ての工場さんが参加されました。
「フォーマルな仕事着」として定着したかりゆしウェア。
仕事着として定着してしまったため、日本製であるにもかかわらず3,000円台と低価格になっています。
ここからの脱却が一つの課題であり、どのようにブランド化(高品質・高価格)するかを双方向で議論してきました。
■観光PRの一環のはずが、観光客にはフォーマルすぎる
沖縄唯一の百貨店、「リウボウ」さんのバイヤーに話を聞くうちに、さまざまな課題が見えてきました。
それは、「カジュアルなイメージ」のかりゆしウェアであるにも関わらず、観光客にとっては「フォーマル過ぎて」購入されないということ。
例えば、基本スタイルはボタンダウンの立ち襟であるものの、カジュアルさが少ないなど。
こういった課題は、認識することがまず第一。
焦らず、ひとつひとつ解決していければ新たなお客様層の獲得に繋がります。
(県の取り決めがあるようで「かりゆしウェア」という名前は、ファクトリエでは使えないのが残念ですが、)実際に我々が提供しているアロハシャツは、多くのお客様の心を打ちリピーターも非常に多くいます。
お客様の声を聞きすぎてはいけませんが、潜在化しているお客様の需要を引き出しつつ、自分たちが作りたいものを作ることと、顕在化しているお客様にニーズをバランスよく捉えながら、ものづくりに向き合うことがまず大事なんのだと思います。
これはものづくり側の職人の想いと、使い手側のお客様の想いを理解している私たちの役割がとても大事で、日本のものづくりを盛り上げることのベースになると考えています。
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