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失敗例から学んで欲しい。ブランド運営で最も大切なこと。

こんにちは、ファクトリエ代表の山田(tocio_yama)です。

ファクトリエは、「語れるもので、日々を豊かに」をミッションとしています。日本各地のこだわりを持った工場と一緒に、語れる(=ストーリーのある)洋服を作り、心の温度を高めるブランドです。

安心して使って頂くために・・・

①トレンドではなくベーシックなデザイン
②ずっと愛用できる高い品質
③誰かに話したくなる、ユニークな技術による機能性
④何かあった際の修理対応
環境負荷の低い素材の使用(土に還る天然素材とリサイクル素材)

を心がけています。

今日のテーマは、失敗のシェア

先日ある講演をした際、「ファクトリエは何も失敗してませんよね?」と言われました。そう言ってきたのは、熊本の上天草でシークルーズを大成功された瀬崎社長でした。

「えーー?!そんなことありませんよ。
あんなことも、こんなことも失敗してます(涙)」

と話したところ、「それはヒドイですね!」と、とても面白がってくださいました。
毎日のように失敗はしていますが、たしかにあまり話したことがなかったなと。そこで今日は、失敗について書きたいと思います
(興味ある人いるといいのですが・・・笑)

失敗とはそもそも何?

さて、何から書こうかと思っていた矢先。失敗について考えていたところ、こんなツイートを目にしました。
ちょうど先週、食事をご一緒させていただいた木下さんの投稿。木下さんは資本金一万円で創業し、東証プライム(一部上場)まで成長させた、尊敬する経営者のお一人です。

木下さんの言葉を拝借すると、「10回本気でチャレンジしたら9回失敗しても、10回目に成功する」

なるほど、「成功or失敗」ではなく、「失敗の先に成功がある」という考え方なのですね。※木下さんの新著もとてもオススメ

これは、故野村監督がよく話されていたという「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」(江戸時代の剣術の達人、松浦静山の剣術書「剣談」から引用されたそう)にも通じるなと思いました。

成功は科学できないが、失敗は科学できる
そのため、過去の失敗を知っておけば、それを避けることもできますし、避けられないとしても心の準備ができます。「そんなことで失敗したのか?!(笑)」というものもありますが、ファクトリエがつまづいた失敗事例をいくつか紹介したいと思います。

こんなことで失敗、をご紹介

1.アイテム体感キャンペーン

つい先月の話です。
「和紙ソックス」は、美濃和紙を使ったソックスで岐阜の東洋繊維さんという工場さんが作っています。
和紙の特徴として「蒸れない」「臭わない」のがウリなのですが、なかなかお客さまに良さが伝わらない。そこで、「きっと丈夫ではないと思われてるのではないか?和紙ということで、すぐに穴が開くと思われてるのかな?」と推測しました。

そこで、上記のようなキャンペーンを実施。
対象期間に購入されたお客さまには、一年以内に穴が空いたら交換保証という特典を付けました。しかし、結果は目標としていた数量には全く及ばず、という厳しいものでした。

後日、顧客インタビューでもともと購入しているお客さまにヒアリングすると、

和紙はサラサラで蒸れないから重宝している。丈夫さはあまり気にしない

お客さまのTさん

足の指の痒みが無くなった!蒸れないことをもっと書いた方がいい

お客さまのIさん

とのことでした。

そもそも「蒸れないこと」に、お客様は価値を感じてくれていて、丈夫さは関係ないことに気づきました。

2.こういう時期だからこそ、抗菌加工!

コロナ禍で、抗菌・抗ウイルスの意識の高まりを感じました。
そこで、全国の抗菌加工のできる工場とタッグを組んで、「抗菌加工シリーズ」を出すことにしました。
梅雨の時期に差し掛かることから、部屋干しの嫌な臭いがしない防臭効果もあるため、期待していました。友人のコピーライター澤田さんにお願いし、「GoodBye菌加工」という素敵なネーミングも完成
商標もしっかり取って、いざスタート!!しました。
結果は、こちらもお客さまに喜んでいただく結果には繋がりませんでした。

後日、顧客インタビューで購入したお客さまにヒアリングすると、

そもそもラインナップの中に、欲しい商品がなかった

お客さまのKさん

抗菌だから買う、という気持ちにはなれない

お客さまのYさん

ガツンときますね。。
そもそも「商品自体の持つ特徴」に、お客様は価値を感じてくださっていて、抗菌・防臭は第一の優先度にはならないことに気づいたのです

普通に考えたらごもっともなのですが、それが見えなくなることがあるんですよね。このように少しご紹介しましたが、実際はこの10倍以上失敗しています(涙)

足りなかったのは「顧客理解」 ※大切

工場には特別な技術が満載!ついつい熱くなりがち。

工場さんと一緒に話しているとついつい特殊な技術に盛り上がってしまい、「この技術すごいですねー!!」となりがち

実際に使っていただくお客さまはどう感じるのか、そもそも何を解決して欲しいのか、が抜け落ちていたことを反省。
これは、本当に当たり前の話なんですが、どうしてもブランド視点では、盲目的になってしまうんですよね。。

【これまで】工場の特殊技術を見つけては、商品を開発
【気づき】顧客の課題を見つけ、それを技術で解決すべき

「ドリルを売るには、穴を売れ」とは、マーケティング業界でよく言われる言葉だそうです。「商品を売るには、顧客にとっての『価値』から考えよ」という意味で、まさにこの視点が足りなかったと実感しました。

「一人」のお客様の声を大切にする

お客さまにお願いして、インタビューの時間をいただくようにしました。
アンケートやグループインタビューにしない分、お一人・お一人のご意見には真摯に対応しようと決めました
時に、それは稀かもしれないと思うご要望も、きっとそのお客様の背後には数百人と同じように思っているお客様がいるはず、と思って臨みます

インタビューをお願いしている方は、ファクトリエを昔から愛用いただいている方から、初めて買ったばかりの方、ご購入いただけなくなったお客さままで。インタビューをする際には、目的を持って実施しています。

1.常連のお客さま
2.購入されてから日の浅いお客さま
3.購入されなくなったお客さま

お一人ずつ、週に2、3名にインタビューをしています(画像は集約)

こうしてヒアリングをすると、「そのまま進行しても失敗する商品・企画」が事前にわかるようになりました。

時間は有限ですので、「本当のお客様に喜んでいただくことに使う」を第一に考えると、顧客理解は必須ですよね。

また、戦略という言葉も企業側の思考になりがち。
顧客を理解すると、自然にやるべきことが見えてくる、が大切なのだと思います。例えば、顧客からは「触ってみないとわからない」という声が多かったので、シーズンの大切なタイミングでは期間限定ショップも検討しなければなと感じました。それ以外にも、毎回多くの気づきをいただきます。

最後に

今回のnote、いかがでしたでしょうか?毎月できるだけ書こうと思っていますが、ついつい最終日になってしまいました(笑)

実は顧客理解をする上で、大切なのはお客様に協力しようかと思っていただけるようなブランドとしての誠実さはとても重要ではないかと思います。

そうでなければ、「インタビューに協力しよう」と普通はなりませんよね。
ファクトリエもまだまだ途上ですが、「安心」してお買い物をいただけるよう、お一人お一人のインタビューをフルに活かして改善していきたいと思います。

それでは、また来月お会いできるのを楽しみにしております!


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