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雨を見ている〜休業することにきめたわけ〜

ゴールデンウィークです。出かけたいよね。みんな出かけたい。海や山にも行きたいし北海道はそろそろ桜が咲く。いつもならワクワクして待っているころだ。でも、今年は我慢しよう。

自然の中は三密でもないし、換気もいいから大丈夫。僕も3月くらいまではそう思っていた。ところがどうも違うということに気がついた。それは知人の医療従事者の方が戦っているのをみているというのが大きい。この人を苦しめないためにはどうしたらいいのだろう。もし自分が感染していて、どこかで誰かにうつしてしまっていたら?どこかで怪我をして、病院に運ばれたら?そう考えると、出かけることが誰かを苦しめることになるかもしれないと思うようになっていった。

自分だけは大丈夫、とどこかでまだ思っている人が多いかもしれないけれど、美瑛町の場合、たった1万人しかいないというのに感染者が数名見つかった。それだけでも、十分自分が感染している可能性はあると考えてもいい。ぜったいにやりすぎではないと思うのだ。とても身近な問題だと考えて行動した方がいいと、本気で思う。

そうして我が家はお店を休むことに決めた。連休中にお店があいていることを知ったお客様が、うちの店にくるために道内からドライブしてきてくださるのは、本当は嬉しい。なんてありがたいことなんだろうと思う。でも、たとえばそのお客様が自宅を出て店に来るまでには、きっとどこかに立ち寄りどこかに接触することだろう。もしそのことで感染してしまったら。そう想像しただけでも、お店をあけるという選択肢は考えられなかった。お店では消毒を徹底しています、といって開店するのは僕たちにはできなかった。

美瑛は三密なんてないし、一日中だれとも会わないなんて普通だけれど、だからといって「美瑛にドライブにきて」と無責任な発言はできない。観光地の店舗としての責任といえば大げさかもしれないけれど、人が動きたくなる要素を排除することで、感染拡大防止に僅かでも貢献できるのではないのかと思う。うちみたいな小さな小さな店舗がやったところで屁のツッパリにもならないし、収入がゼロになってとても大変だけれど、これが僕ら家族が今できる唯一の社会貢献なのではないか。そんなことを4月の中旬に決断したら、ちょうど先日北海道知事が休業要請事業者のリストを公表した。ちょうどうちのお店も対象になっていた。

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お店の前では連日虹がでている。ここに住んで8年。こんなにずっと家の前から山を見たことはなかった。ずいぶん長い間虹を追いかけてきたけれど、ここで虹を待つのも悪くはない。

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