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【なめらかな小売体験って?】

前回、D2Cについて簡単にまとめたnoteを書いてみたのだが、予想外に多くの方に読まれていてビックリしています。

上記noteの中でD2Cにはデジタルファーストという特徴があり、中でもOMO(Online merges with offline)っていう概念がありますよと簡単に説明していました。そして何人かの方にOMO(Online merges with offline)がよくわからなかったから教えてほしいと言われたり、もう少し詳しく紹介して欲しいといった声をいただきました。

そのため今回はOMOという概念について説明したいと思います。

【第1章 OMOとは】

1-1 記事を書こうと思ったきっかけ

最近ふと思ったことがあるのですが「リアルなビジネスってなかなか国境を超えないんだな」って。

先月、D2Cの代表格のひとつAll birdsの日本第1号店が原宿にオープンしたというニュースが出ていました。個人的にはやっと日本にきたのかという感想でした。それもそのはず、アメリカでは当たり前のように生活に溶け込んで多くの店舗や小売店で販売されているD2C領域で成功したブランドの商品が、現状日本にはあまり上陸していなかったからです。

また同様のことが中国に対しても言えます。

少し前の博報堂生活総研からの引用グラフだが、中国ではキャッシュレス決済の割合が8割を超えています。そしてそのほとんどがAlipay、WeChatPayのQR決済です。私は数年前の学生時代、観光客が多い京都でアルバイトをしていたため体感で理解していたのですが、2016年ぐらいから中国人はレジで当たり前のようにAliPayなどを使っていました。もちろんどんな決済手法が一番便利かという話は別にあるが、そもそも日本でのキャッシュレス決済の割合は上記グラフと通りとなっていて、QR決済戦争(PayPayやLINEPayなど)が日本で勃発したのは去年(2019年)のことです。中国では4、5年も前に起こったことがようやく日本でも起こり始めたのです。

ここで述べたいのは別に日本がダメだとかそういう話ではありません。冒頭でも申し上げたようにリアルなビジネスはなかなか国境を超えてすぐには浸透しないなってことです。

またもう一点述べたいことは、身近(目に見えるものや人)で起こっていることは、すぐに人間の中にインストールされるということです。例えば、身近な人がPayPayを使うようになれば、(使うか使わないかは別にして)おばさんであろうとみんな認知をして興味を示すようになります。メルカリのような一見煩雑に見えるサービスでも一回経験してしまえば、高齢者だろうと全然使いこなしたりします。

だからこそ今後のリテール業界を中心に起こるであろうOMO(Online merges with offline)を多くの人に理解して、OMOの事例が連鎖的にどんどん日本から生まれて、日本の小売店での顧客体験は面白いと世界から注目されるようなムーブメントが起こればいいなと思い、このnoteを書こうと思いました。

1-2  OMOってそもそもなあに?

OMOとはOnline merges with offlineの略。 アリババのジャック・マーが提唱したモバイルインターネットとデータテノロジーを用いることで、小売業のデジタルトランスフォーメーションを実現し、オンラインとオフラインを融合させた新しい消費体験を提供するものニューリテールの概念ととても近いです。

OMO : オンラインとオフラインのようにチャネルを分断して考えるのではなく、オン・オフのチャネルを融合して、よりよい顧客体験を提供していこうという考え方のこと。元Google中国のトップで現在Sinovation venturesという会社を持つ李開復が言いはじめたとされる。


もう少し補足すると、私の頭の中の流れはこんな感じです。

人々の顧客体験(UX)を1から考えましょう

⬇︎

UXはすべてデジタルに一貫して繋がっていることが大前提です

⬇︎

UXを実現する上で、リアルな世界が存在していた方が(顧客にとって)良い場合があったら、リアルな顧客接点を作ります

⬇︎

オンラインとオフラインを意識することなく、両者を滑らかに行き来しながら、両方が揃ってはじめて顧客体験が完結する

⬇︎

消費者にとって心地よい消費活動が実現される


例えば、「服の試着だけして実際に買うのは安いAmazonやZOZOで済ます」みたいな行動をどう変えていくか、必死に顧客を観察して考えていくイメージです。

これは今まで店舗を運営してきた企業などがデジタル化することとは似て非なるもので、今後はオフラインが完全にオンラインの世界に内包され、両者の境目が消えてしまうのです。

(出典元 https://trillionsmiles.com/future/world-xd_06/)

【第2章 OMOについてもっと深く知ろう】

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2-1 オンラインを頑張ろうって発想はもう時代遅れなんじゃない?**

下記の経済産業省の報告書でも書かれているように例えば、ファッション業界は1.8兆円あり、EC化率は13%ほどになっています。

経済産業省の最新の調査結果より引用:平成 30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)

この報告書には、同様に様々な業界のEC化率について書かれていました。しかし今後はこのような報告書はあまり意味を持たなくなると考えられます。理由は簡単で、例えばECで欲しいアイテムについて入念に調べて結局は店内で試着して購入に至ったり、店舗で見て気に入ったから在庫のあるECで購入したりすることが頻繁に起こるからです。そしてなにより1章で説明したように、今後はオフラインが完全にオンラインの世界に内包され、両者の境目が消えてしまうからです。

OMOを理解するには中国のスーパー「盒馬鮮生(フーマー)」を紹介するのがもっとも分かりやすいと思います。

動画を見ていただくとわかるかと思いますが、フーマーはOMO型の次世代スーパーです。スーパーでありながら、在庫の倉庫とデジタルデータに基づいたロジスティクスネットワークを兼ね備え、かつ店舗でのエンターテインメントも体験することができます。

✂︎

スーパーでの流れはこんなイメージです。

まずユーザーは、フーマの専用アプリをダウンロードして、アリペイと紐付ける作業が必要となります。そもそもフーマーはアリババ系列の企業であるからです。

通常のスーパーマーケットのように、入り口でカートを手にして気に入ったものをカゴに入れることは当然できますが、すべての商品(魚なども含む)にEタグと呼ばれるQRコードで認証できるタグが添付されており、スマホでスキャンすることで商品の情報や価格の確認、オンラインサイトへ移動して、その商品をオンラインサイトのカゴに入れることも可能もなっております。

(食の安全性が叫ばれているが、QRから産地などの情報をキャッチできるのはありがたい)

そしてオンラインのカゴに入ったものは後ほど、自宅までデリバリーしてくれるという仕組みとなっております。また普通のAmazonのように自宅にいながらアプリで注文すれば、自宅に品物を届けることも可能です。

(天井を行き来する商品)

陳列された生鮮品は、野菜、魚介類や肉類を含めてすべての食材がその場で調理を依頼することが出来ます。調理法を指定してシェフに購入した食材を渡して、併設のレストランに着席していると、日本の回転寿司のように料理がレーンで流れてきます。

(注文した料理は、スマホから動画レシピや必要な食材や調味料の全てを確認できる)

オンラインで注文が入った商品はスタッフがベルトコンベアーに積み上げ、袋詰めや配達担当の元に届けられます。店舗での決済は顔認証決済が導入されており、極めてスマートに設計されています。


(フーマーを視察する河野さん)

またフーマーはたくさんのロボットやデジタルタグなどがありますが、店舗のデジタル化といった言葉で終われない本質的な価値が隠れていると思います。フーマーのプライベートブランドは曜日によって包装が異なるものがあるのですが、それは在庫管理する上で、1日のずれも許されず、例えば月曜に売るべきものは火曜には売ることができないことを意味します。店内の棚が基本的には倉庫の役割もしているフーマーは、店内の在庫がなくならないように、でも在庫処分はできるだけ少なくなるよう緻密な需要予測などをしていますが、これを実現するのは極めて難しいはずです。ここに私は、アリババグループが誇る本質的な価値があると考えています。

このように、フーマーの価値は単なるネットスーパーの延長ではありません。言い換えるとただ単にオンライン戦略を頑張っているわけではありません。むしろオンラインとオフラインをいかにつなげて、融合させて、なめらかに行き来させるかを大事にしていると言えると思います。そしてオフラインとオンラインにおけるすべての領域でデータをフル活用しているのが、まさにニューリテールなのです。

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2-2 コーヒー戦争に学ぶOMOの特徴
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上記でフーマーを例にOMOを紹介しました。ここでは中国で起こっているコーヒー戦争を例にしてOMOの二つの特徴について触れていきたいと思います。

1. 顧客目線での効率性、利便性向上
2. 店舗での顧客体験を通じたLTV向上


まずコーヒー戦争とはなんぞやという話をします。それは中国に詳しい方なら当たり前の話かもしれませんが、Starbucks coffeeとLuckin coffeeを二つによる競争です。

Starbucks coffee : 
1971年にシアトルで開業後、世界規模で展開するコーヒーチェーン店の代表格である。2015年現在においておよそ90の国と地域で営業展開し、店舗数は22,519店。

Luckin coffee : 
中国で2018年の1月に1号店を開店すると、すぐさま拡大路線に入り、1年で全国21都市、2000店舗まで数を拡大する。2019年5月には、設立からわずか18カ月という最短記録でナスダック上場を果たす。

開業後50年近く経っているコーヒー界の王様スターバックスと、開業後3年も経ってないラッキンコーヒーは中国で熾烈な競争をしています。両者のアプローチは対照的ではあるものの、OMO目線で見ると極めて先進的なのでそれぞれ説明していきたいと思います。

ラッキンコーヒーはどんなスタイルなのかわからない人が多いので、まずはラッキンコーヒー自体の紹介をしたいと思います。

基本的な流れは、事前にアプリで注文を済ませ、近くの店舗で出来上がったコーヒーをピックアップするまたはデリバリーしてもらうというものです。店舗はシンプルな内装で面積は狭いものが多い。スターバックスをはじめサードウェーブな流れで誕生したコーヒー店ては全く逆である。店員たちは黙々とコーヒーを淹れては、ピックアップに来た客にカップを渡します。長時間滞在しておしゃべりを楽しんだり、PCを開いて作業をしたりするという場所は基本的にはほとんどなく、テイクアウトやデリバリーがメインに設計されているため、極めて効率的かつ安く商品を提供することができます。

つまりOMOの戦略としてはデータとテクノロジーを活用した効率性、利便性を最大化する方向に舵をきっていると言えます。


一方でスターバックスはどんな戦略を取っているのかと言うと店舗での顧客体験をより高める方向に向かっています。

去年世界で5番目、日本初となるSTARBUCKS RESERVE ROASTERYが中目黒にオープンしてかなり反響が大きかったので、もう行った方も多いかと思いますが、スタバの顧客体験への本気度を伺えると思います。

(ぜひ↑の記事を読んで見てください! 空気感が伝わると思います)

どんか感じなのかは実際に行ってみるか多くの方が記事にしているのでそれを読んでいただければと思いますが、下記のnoteにも書かれているようにまるでディズニーランドのようなエンターテイメント性があります。

LINEや中国アリババとの業務提携をはじめ、事前に決済を済ませておくことができる「Mobile Order & Pay」を開始するなど、デジタルな戦略を進める一方で、あくまで上記のようなリアル店舗での顧客体験を通じたLTV向上に舵をきっているのがスターバックスと言えそうです。


ラッキンコーヒーとスターバックスはビジネスモデルも戦略を全く逆であるが、OMOリテール戦略を最先端で行っている良い例と言えるでしょう。


【3章 個人的ぼやき】

ここまでの説明で、今後はオンラインとオフラインを分けるのではなく一緒にして考えることで、顧客の利便性向上や心地よい消費体験につながるということが理解いただけたかなと思います。

スーパーで2Lの水を買って持ち帰るのは重くて嫌だから普段はネットで買うけど、今はちょうど喉乾いたから店舗で買いたいみたいな消費者目線で考えることが大事と言えそうです。

上記であげたOMOのリテール戦略は中国でかなり進んでいます。デジタルとリアルをうまく融合させて次世代型のリテール店舗は中国ではどんどん誕生しています。一方で1つ前の記事にあるD2Cみたいなブランドはアメリカ初なことが多いです。人の消費を刺激するようなムーブメントを起こしたり、カルチャーを生み出したりするのはアメリカの得意分野かもしれません。

では日本はどうでしょう?

私は無印、ユニクロ、JINS、セブンイレブンなど、圧倒的なクオリティのものをお手頃な価格で作りあげるのが日本の得意分野かもしれません。そして圧倒的な顧客サービスの質も群を抜いていると思います。店舗での接客や梱包の丁寧さ、気遣いなどは素晴らしいものがあると思います。

だからこそアメリカや中国の真似できること、参考にできることはうまく吸収して日本が得意とする品質やサービスを武器に成長するブランドが多く生まれればいいなと思うのであります。おしまい


中国→オフラインも巻き込んだデジタル戦略に強み
アメリカ→カルチャーやムーブメントを生むのが強み
日本→圧倒的な品質と顧客サービスに強み

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本業は外資系企業で新卒社員 / 学生時代にファッションブランド創業 / 趣味はカメラ

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