見出し画像

EU CAPでの休耕地条件の特例的緩和を来年末まで延長へ

EUでは現行CAPのもとで15ヘクタールを超える農地を保有する農業者に対して、最低5%の休耕地を確保することが補助金受給条件の一つとなっています。しかし、ウクライナ危機による食料価格の高騰の影響を受けて、今年3月に欧州委員会は年内はこの休耕地条件を特例的に緩和することを決めました。

そして、この休耕地条件の特例的緩和がどうやら来年も続く見込みになりそうだと、ユーラクティブは報じています。なお、来年からは耕地面積にかかわらず全ての農家で4%の休耕地を確保することが求められます。

この報道によると、すでに欧州委員会は加盟国の農業大臣会合でこの措置を提案しており、加盟国からの了承も取り付けているものと見られます。

もっとも、この緩和措置はあくまでも時限的なものとされているわけですが、次に論点となり得るのが、休耕地条件の”恒久的廃止”があるのかどうかです。CAP規則148条3項は、CAPに例外措置を生じさせるような事態が12ヶ月に渡って続く場合、その例外措置を恒久的なものとして扱うことを定めています。

休耕地条件の廃止をめぐっては、すでに欧州議会で農業委員長を務めるドイツ選出のノルベルト・リンス氏が148条に基づく廃止検討を主張しています。休耕地条件の特例的緩和が長期化の様相を見せるなか、CAPの環境保護要件がどこまで守られるのか。今後の動向に注目です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?