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夏の終わりとサンフランシスコ 2019【猫町旅日記】9

今でも夢見心地になる昨年8月終わりから9月にかけてのサンフランシスコ旅行記の続きを書き上げたい。旅は4日目、9月1日。アメリカはLabor Day(労働者の日)という祝日の週末、この週末を境にして夏が秋に変わる。僕はその日の朝にサンフランシスコ市内からCaltrainで1時間かけてパロアルトという街まで辿り着いた。スタンフォード大学で有名なこの街にある フロスト・アンフィシアターでTHE NATIONALのコンサートを観ることがこの旅の目的だったので、旅のハイライトはこの日ということになる。

お昼過ぎにホテルにチェックインしてパロアルトの街を散策。お土産を買うなら流行りに乗ってTrader Joe'sへ行ってみたかった。色鮮やかなパッケージ、サイズ感も日本と違うし、とにかく楽しい。あれもこれもと友だちに自分に、と買い過ぎてしまう。ああ、アメリカよ、なんてあなたはアメリカなの、と思う。僕は昔からこういう色とか質感が大好きで、それが変わっていないのだ。しかし今回の旅で感じたのは他でもない、物価の高さである。ファーストフードで簡単に一食済ませたくらいの感覚なのに3千円くらい使っていたり、手持ちの現金がどんどん減っていって結局カードばっかり使ってしまう。この日食べたまともなご飯はテイクアウトのメキシカンだけ。

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買い物も済ませて、おなかもいっぱいになって、しばらく町歩き。郊外都市で木々の緑も多く、気温は高いけれど木陰を歩くと涼しい。ずっとこのままここにいたいな…。でもそうするとうちの猫はどうしたら…などと考えていたら僕の目の前を横切る影。野生のリスが上手に木を伝っていく。とてもかわいい。その姿を追っていくうちに、気づくと僕はコンサート会場であるフロスト・アンフィシアターに辿り着いていた。そもそもパロアルトはグレイトフル・デッド結成の地であり、フロストはデッドが何日間にも渡って伝説の演奏をしたヴェニューなのだった。ここ最近改修されてとてもきれいになった会場には気の早いファンがすでに集まっていて、僕もそのなかの一人になった。

リハーサルの音が聞こえてくる。警備スタッフの人に荷物検査について尋ねると(テロ等の防止のために透明なバッグしか認められないという厳しい持ち物規則があったのだ)「今から列になってもらうからそこに並べ」と言われて、僕は列の先頭で待つことになった。しばらくするとあれよあれよという間にスムーズに列が進み、僕は予定されていた時間よりも早く会場内に流れ込んだのである。


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THE NATIONALのコンサートはこの日以外に翌日のロサンゼルス公演が選択肢としてあった。ロスに行くほうが航空券が安いので最初はロス公演にするつもりだったのが、いい席があらかた売れてしまっていてオークションでも高騰してた。サンフランシスコのほうは料金一律フェス形式だからがんばれば良い場所で観られると思っていたけれど、まさか最前列に陣取れるなんて夢にも思わなかった。まだ開演までには時間があるけれど、天気も良くてビールも美味しいし、だんだん集まってくる観客の雰囲気がとても良い。僕はどんどんワクワクしてきた。このために日本からお金と時間をかけてやってきたのだ。

カリフォルニアの昼は長い。まだ日が高いうちにサポートアクトのALVVAYSの演奏が始まった。フジロックフェスティバルでも来日していたけれど雨がひどい日だったので彼女たちの演奏に間に合わず音だけを遠くに聴いた。そのことを後悔させるような素晴らしい演奏だった。こんな清々しいギターポップ久しぶりに聴いた。なんといっても最前列で観ているわけだから表情も演奏する手さばきもすべてを満喫した。ライブが始まってすぐ僕が手を滑らせてiPhoneを落としてしまい、手の届かない柵の向こう側へ転がっていってしまって、僕のとなりにいたきれいなブロンドのお姉さんが「Oh my God!」ととても心配してくれて「や、ほんと大丈夫なんで!終わったらでいいんで!」とやりとりしたのも良い思い出になりました。45年生きてきて、本物の「Oh my God!」を初めて聞いた気がする。とにかくALVVAYS、最高だった。帰国してからもずっと彼らのレコードを聴くことになる。

どんどん日が暮れてきて、会場も満員に。気分も最高なのだ。みんながTHE NATIONALの登場を待つ。というところで、旅日記は次回へ。(断続的に続く…)

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