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『喜劇 駅前温泉』(1962年・久松静児)

「駅前シリーズ」第4作!

続いて『喜劇 駅前温泉』(1962年・久松静児)。会津磐梯温泉が舞台。駅前の客引きに戦前松竹からのバイプレイヤー小林十九ニ。みんな福島弁で、かなりカリカチュア^_^ 伴淳は温泉旅館のオヤジで、客寄せにはトルコ風呂、人魚温泉、エロが一番と主張^_^ 森繁は朴訥とした好人物。娘は珍しや司葉子さん

森繁も老舗旅館の主人。美容院の淡島千景に亡き妻の面影をみて、心を寄せている。淡路恵子さんはお色気たっぷりで、三文亭主に三木のり平さん。この映画の併映は『ニッポン無責任時代』。夢の二本立て。

孫作考案のお色気マッサージに、三原葉子さん。新東宝からの流入組は、以後、シリーズには欠かせない池内淳子さん。どうということのないスケッチが、ゆるゆると展開。爆笑というより微苦笑。菅井きんさんと、娘の挿話は久松作品『警察日記』の味わい。

伴淳の女房に森光子さん。メガネにズーズー弁でいい味出してます。伴淳の「アイジャー」にフランキー「アジャパーでないの?」。実は「アイデア」が訛ったものと判明して大爆笑(当時は)。司葉子さんの相手役は伴淳の甥っ子・夏木陽介さん。この二人だけモダンな東宝タッチ^_^

しかし淡路恵子さん、どうしてこんなに色っぽいのか?エロティックではなく、色っぽい^_^ 三木のり平さんが亭主役で、独り勝ちの面白さ! 脚本の妙というより、この二人の経験に裏打ちされたアドリブ芸!

森繁と三木のり平が呑んで酔っぱらうだけで、面白い^_^ お話は転がらないのに、ひたすらおかしい。こういう映画は、今となっては貴重な娯楽の記録であります。

で、夏木陽介さんは、実は伴淳の隠し子だとカミングアウト。折角、司葉子さんとの結婚を許したのに、伴淳と犬猿の仲だからと激怒。この映画の唯一のドラマ^_^

さぁ、いよいよ「三助コンクール」。ここで飛び入りの旦那役が柳家金語楼さん。パントマイムが抜群に良い。しかしくだらないなぁ。若い時には、耐えられなかったけど、今は愛おしさすら感じますなぁ。涙腺ならぬ、笑いの琴線が緩んできたのかな^_^

そして、出稼ぎ亭主を探しにきた菅井きんさん母娘の切ないエピソード。子供のお菓子を万引きして、織田政雄さんの警官の世話になる。彼女は伴淳と訳ありで…まさに『警察日記』のリフレイン。舞台も同じ会津だし。

しかし、体感時間はかなり長い。103分が140分ぐらいに感じる。嫌な時間じゃないけど、この緩さはなんとなくホッとする。

よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。