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マカオの夜に学んだことを今こそ活かそう

いつか彼のことをnoteに書こうと思っていましたが、今がその時だと思ったので筆を取りました。今回の主人公は大学時代の友人であるTJ君です。

TJ君とは高校時代から知り合いではあったのですが、深く付き合うようになったのは大学からでした。TJ君は規格外の人物なので、一言で言い表すのは難しいですが、自分では「暇に耐えられる暇人」と称しておりました。

彼はどういう漢なのか?

彼は、ほぼ自分の部屋でハイライトを吸って過ごしています。煙を吐いては煙で輪っかを作っていました。煙が目に染みている様は岡山のプラターズと言っても過言ではありません。むしろ彼は一人でした。

彼は、ほぼベッドの上で過ごしています。実際はベッドではなく、たくさんの漫画本の上に畳を乗せていました。今流行りのDIYの先駆け的存在と言っても過言ではありません。むしろ工具すら必要としていません。

彼は、あらゆることを膝のせいにします。バスケで膝を壊したようなのですが、何かにつけて「膝が痛い」という印籠を出してきます。正義感の全くない水戸黄門と言っても過言ではありません。むしろ黄門様が印籠を出す頻度を軽く超えていたと思います。

彼は、基本的にはお金がありません。真相は定かではありませんが、膝が痛くてバイトができないからです。味付け海苔と動物ビスケットとコカ・コーラを主食としていました。懐かしの「いきなり黄金伝説の一ヶ月○○生活」の企画はここから生まれたと言っても過言ではありません。むしろ一ヶ月という期間では甘すぎます。

彼は、歯が痛くても歯医者には行きません。基本的にお金がないからです。虫歯の無い側だけで咀嚼を続けていたので、虫歯側の頬の筋肉が退化し、頬がこけていました。彼は髪型ではなく、顔面をアシンメトリーにしていたと言っても過言ではありません。むしろオシャレではなく生き様です。

彼が持っていたものとは?

彼について語るには紙面がいくらあっても足りないわけですが、彼が愛すべき存在であることはご理解頂けたと思います。

そして愛すべき人物であると同時に、底が見えない人物でもありました。周囲からは理解を得難い部分もあるかもしれませんが、太く気高く生きる人物なのです。

漫画アカギには「俺は偏っている。それを唯一誇りにして生きてきた」という名言がありますが、まさにそれを地で行く感じです。お察しの通り、彼はギャンブルが好きです。

雀鬼のように無敗というわけではないですが、土壇場に強いというか、
逆境に強いというか、そういう勝負強さを持ち合わせています。

彼はお金がないので常に負けられない状況です。常に背水の陣です。
(なので、最初に軍資金の必要のない麻雀を好んでやっていました。)
その環境が彼に勝負強さという素晴らしいギフトを与えていたのです。

生まれた伝説 in マカオ

そんなTJ君を含む大学の友人とマカオに行った時のことです。当然お金のないTJ君は当初参加を固辞していました。しかし、お金が理由で参加しないのはあまりにも残念です。お金は借りれば何とかなりますが、時間や体験は何ともなりません。そんな感じでTJ君を説得し、友人から旅行資金を工面して無事にマカオ出発となりました。

私自身もギャンブルは嫌いではないのでワクワクしながらマカオに乗り込みました。ギャンブル好きのTJ君なら尚更です。しかし、TJ君は私の想像を遥かに超えた決意を持ってその場に臨んでいたのです。楽しむなんて気はさらさらなかったのです。

彼の思いはただ一つ…「ギャンブルで借金(旅行資金)を返済する!」
確実にダメな奴の思考パターンです。初日に借りた金を全て突っ込むパターンです。航空券はあるので帰りは確保出来ていますが、残りの日程はどう過ごすつもりなのでしょうか?いや、彼には「負けたら…」などという考えはなかったのでしょう。

大小で見せた漢の在り方

彼はわずかな軍資金(そもそも旅費を借りているのでそこまで資金は無かった)を何に投じるか、フロアをゆっくりと歩きながら慎重に見定めていきます。私達は既にブラックジャックやルートレット、バカラなどに興じていましたが、彼は「見」の状態です。

そして彼がついに動き出しました。彼が席に着いたのは「大小(だいしょう/シックボー)」のテーブルでした。

– 大小とは
3個のサイコロを用いてその出目の合計数を予想するゲームです。色々なパターンがありますが、一番シンプルなのは、合計出目が4以上10以下の「小」か、11以上17以下の「大」か、張るというものです(ゾロ目は別扱い)。これが当たれば掛け金が2倍になります。ルール的にはルーレットに似ていると思います。

いざ、勝負の時!彼はどこにいくら賭けるのか…

「!?!?」

周囲にいる人々からすると微々たる額ですが、私達にとっては驚愕です。
彼は全額を投じていたのです。せっかくマカオに来て、わずか1BETで終わる可能性があります。投じたのは「大」です。色々と高倍率な賭け方はありますが、シンプルに2倍になる「大」に全額という判断でした。

緊張の瞬間… 出目は???

3、4、6の「大」

彼は勝ったのです。生き残ったのです。
そしてここからさらに我々を驚かせることになります。倍プッシュです。
再び彼は全額を「大」に投じます。

これは本当の話なのですが、
ここからは彼は四連続倍プッシュで「大」に投じ続けました。
そして全勝しました。テーブルで見ていた客は湧いていました。
ざわざわ…ざわざわ…していました。
そしていよいよ五連続いくか!と周囲が期待している最中、彼はスッと席を立ち、その場から離れてしまいました。

彼は目的を達成していたのです。旅費を超える金額を獲得した時点でキッパリと席を立ったのです。「まだイケるんじゃないか」「もっと楽しみたい」「周囲が期待している」…そんな誘惑をスパッと断ち切ったわけです。わずか4BETでマカオの夜を終えたのです。

大きく一息をつき、ハイライトを吸い始めた彼の顔は、やはりアシンメトリーでした。

なぜ今、彼を思い出すのか?

今、世の中は非常に厳しい状況になっています。長期戦を耐え抜かねばなりませんが、当然その先も見据えておかないとジリ貧になってしまいます。私自身がこのマカオの夜に彼から学んだことは

・流れを見極めるまでは「見」
・勝負するときは、ためらわず一気に!
・目的達成を何よりも重視!感情に流されず、欲望に負けない。


これらのことです。これは今こそ必要な要素に思えたのです。おそらくTJ君ならば、ジタバタせず状況を見極めることに注力しているだろうと思います。その上で然るべきアクションが必要に時に一気呵成でいけるように整えているはずです。そのメリハリを利かせる胆力を持つことがとても大事だと思うです。私自身がそう在れるように、外出自粛のこの週末、noteを書きながら彼の生き様を思い出しています。皆さん、共に頑張りましょう!!

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