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イノベーション(体系的廃棄)によるサバイバル経営

今日は、自分も含めて、中小企業経営者が現在、感じている悩みや課題を少し共有したいと思う。

長年構想してきた経営者・経営層限定の「ブランド経営実践会」というオンラインによる実践的勉強会を今年4月からリリースすることもあり、これを機に、知り合いの経営者に近況や現在の課題などを先週頭から毎日3~4人、オンラインで短くて30分、長いと1時間以上にわたり、1人1人と話している。かれこれ30名近くの経営者と話すことができた。

中小企業経営者の悩みや課題から、印象に残っていることから多少整理し、備忘録としての意味合いで記載してみようと思う。


現在、コロナおよびアメリカの政変によって経営環境が激変しているため、
多数の倒産・廃業・M&Aが予想され、生き残るためにはイノベーションが急務となっている。

イノベーションとは、単なる技術革新のことではなく、代表的なところで言うと、イノベーションの父、シュンペーターが提唱したイノベーションは、
「異質なものの結合」で、考え方、発想、技術、材料など、異質なもの同士が結合することで、新しいものができるという考え方である。

シュンペーターは、イノベーションを以下の5種類に分類している。
①新しい生産物の創出(プロダクト・イノベーション)
②新しい生産方法の導入(プロセス・イノベーション)
③新しい市場の開拓(マーケット・イノベーション)
④新しい資源の獲得(サプライチェーン・イノベーション)
⑤新しい組織の実現(組織イノベーション)


一方、マネジメントの父、ドラッカーが提唱したイノベーションは、「体系的廃棄」で、最初に行うべきは、もはや成果を上げられない、貢献できないものに投入している資源を引き上げることである。その範囲は、あらゆる製品、サービス、プロセス、市場、流通チャネル、顧客、最終用途で、これらを点検する。

体系的廃棄を成功させるためには、次の2つの決定が必要になる。
1. 古くなったものを廃棄
2. 新しいことを実施

どのようにして古くなったものを廃棄する決定を下せば良いのか?

ドラッカーの問いは、次のとおりだ。

まだこの仕事を行っていなかったとして、今からこの仕事を始めるか?

なるほど、この問いは納得できる。

また、ドラッカーは、体系的廃棄について、次のように述べている。

「まさに廃棄は、資源を解放し、古いものに代わるべき新しいものの探求を刺激するがゆえに、イノベーションの鍵である」                            (『創造する経営者』より)


体系的廃棄を行うと、それまでその事業に投下していた経営資源に空きが出る。この資源を新しい事業、効果的な仕事に回して、発展速度を増していくわけだ。

体系的廃棄は、自社に対して何度か経験してきたが、その決定によって大きな傷みが伴うことが多いので、決定のプロセスがとても苦しいが、これを乗り越えないとサバイバルできない。

「異質なものの結合」「体系的廃棄」といった2つのイノベーションは、
どちらも重要な考え方だ。
ただ、当面厳しい状況が続くと予想され、いかにして生きのびるかといったサバイバル経営が問われている現在、「体系的廃棄」のイノベーションが先決になるだろう。

コロナショックで、経済活動、消費行動が急激に減速しているだけでなく、営業手法も大きく変わり、インターネットやSNSに移行せざるを得ないこともあり、以下の3つの抜本的な見直しを1年以内に行わないと手遅れになる可能性すらある。

① 経営理念 & 経営戦略の見直し → 自社が社会に必要な理由
② マーケティング戦略の見直し →  WEBマーケティングの強化
③ ブランド戦略の見直し → オンリーワン企業へ


このようななか、ものづくり補助金、IT助成金をはじめ、最近好評された令和2年度第3次補正予算の中小企業施策の目玉である事業再構築補助金は、まさに、イノベーションのために用意された補助金とも言える。中小企業にとって、使わない手はない。

当社もものづくり補助金は申請中だ。追って事業再構築補助金を取り込む。まずは、体系的廃棄を進め、経営資源の空きを作り、この資源を新しい事業、効果的な仕事に回すために、補助金、助成金を全て活用し、イノベーションしていく必要がある。

だが、経営理念、経営戦略、マーケティング戦略、ブランド戦略を見直したとしても、大きな課題は残っている。

中小企業は、構造化、システム化ができずに人に頼りきりになる傾向が強い。結果、脆弱性が放置されるという、経営システム的な課題だ。

人の重要性は増していくが、経営者は人に頼りきる経営から、人が活きる全体最適の経営への転換を図る必要があるだろう。


今、ありがたいことに、オンラインで多くの経営者と話す機会を得られているなかで、同じような課題を抱えている経営者が多いと実感した。私も含め、とくに中小企業の経営者は、みなさん試行錯誤しながら、もがいている。

今後、このnoteでも、適宜、その試行錯誤ともがきを、できるだけ赤裸々に書いていく予定。これを読んでいる人が「もがいているのは、自分だけでない」と知ってもらうことで、役に立つこともあるかもしれないので。


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