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なぜ、日本の中・長距離界でウエイトが定着しずらいのか。

昨今、箱根駅伝の強豪校でもウエイトトレーニングがとりいれられるようになってきて、中・長距離界の間でもウエイトをする選手がチラホラ増えてきたかのように感じます。しかし、まだまだウエイトは中・長距離の選手には浸透していないのも確かです。

日本国外に視点を向けると、海外のプロの中・長距離チームでは当たり前のようにウエイトトレーニングをとりいれています。最近、自身のもつマラソンの世界新記録をベルリンマラソンで更新したキプチョゲ選手もウエイトをしています。長距離の世界でもスピード化がすすみ年々世界陸上の標準参加記録も上がっています。

エリウド・キプチョゲ 選手 ウエイトトレーニング写真

この背景には、シューズの発達なども考えられますが、スポーツ科学の発達により、よりトレーニングの質もあがったことやウエイトトレーニングが当たり前になってきたことが一つの要因としてあることが予想されます。

日本国内に話を戻すと、日本の大学の駅伝チームや実業団でウエイトトレーニングをとり入れているチームはとり入れていないチームよりまだまだ少ないのが現状かなと思います。しかし、闇雲にウエイトを取り入れれば良いというわけではありません。ウエイトが流行らない、当たり前のものにならない理由としていくつあると思うので、そちらについて言及していきます。

ウエイトができる環境がない

ウエイトをするにあたって、絶対に必要なのが、ウエイトをするための施設です。
スクワックラックやダンベルなど、一式揃えるとなるとある程度のスペースと費用はかかってきます。しかし、日本において大学や実業団のチームで自由にウエイトルームが使えるチームは果たしてどのくらいあるのでしょうか。アメリカの大学では、アスリート専用のウエイトルームがあるほど、大学でもアスリートが自由に使えるウエイトルームや練習場など、必要な環境は提供されてています。

オレゴン大学 ウエイトルーム

教える人が少ない

アメリカの大学には、S&C(ストレングス&コンディショニングコーチ)というポジションがあり、ウエイトルームにS&Cが常駐しています。トレーニングを指導する専門家であり、職業として存在します。日本では、S&Cといってもクエスチョンマークがつく方がほとんどだと思います。こういったトレーニングの専門家が職業としてあり、また大学などの教育機関でプログラムとして存在するほど、確立されたポジションでもあります。日本では、S&Cといった職業どころか名前すら認知のされていない状況です。専門的に指導できる人が少ないと必然的にウエイトを教わる機会も少なくなってきます。中/長距離選手がウエイトを教わる機会を増やすためにも、S&Cの存在が増えていくことが必要になってくるでしょう。そのための、教育プログラムや大学で育成されるシステムを構築していくことで、トレーニングを教える専門家が増えていくのではないかと思っています。

オレゴン大学 Head S&C 

必要と思っていない

ウエイトトレーニング環境や選手のやる気があっても、指導する側である監督やコーチがウエイトは必要でない。と思っているケースもあります。必要ないと考える理由として、長い距離を普段から走る中・長距離の選手だから、ウエイトをすると身体が重くなる、無駄な筋肉がつくといったことを懸念されていて、ウエイトは必要でないと考えている指導者も少なからずいるのかなと思います。これは、やり方を間違えば一理ありますが、適切にとり入れれば、ウエイトはメリットでしかなく、中・長距離選手のパフォーマンスに影響するような干渉作用はありません。指導する側がまず必要と思うことが、ウエイトをはじめるにあたっては大前提かなと。指導する側が必要と感じれば、指導される側も特に知識と経験もまだ浅い学生の段階で、ウエイトは必要であるといったマインドになるのなと思います。

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大きく上記の3つが、中・長距離界でウエイトトレーニングが普及されていない理由なのかなと。東京五輪1500m男子で金メダルをとったヤコブ・インブリグトセンや、マラソン世界記録保持者のキプチョゲ選手も当たり前のように練習の一環でウエイトを実施しています。日本国内では結果をだして世界の選手と肩を並べるようになるためのステップとしてウエイトトレーニングは一つの手段としてあると信じています。

外部選手や指導者にむけてのウエイト指導も承っております。
ご興味のある方は、和田までご連絡ください。

wada@twolaps.co.jp

https://toshiwada.com

和田俊明
TWOLAPS TC



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