判断のスピードってなんでしょうか?

ここ10年近くで、『認知→分析→判断→実行』という話がよくされてきていると思います。
ただ、ではこの10年でそのスピードは上がったのでしょうか??
みなさんがトレーニングしている選手は上記の部分で大きく改善したでしょうか?

私は少しずつではありますが変わってきているとは思います。私が日本に帰って指導させていただいていても、選手のプレイスピードが上がっていることを確認できています。

ただ、それでもまだまだ足らないと感じている方もおられるのではないかと思います。
では、スペインの現場ではどういったことを考えて上記のプロセスを考えているのか、またはどう変わってきたのか、ということを少しだけ紹介させていただきます。

テーマは2つ、『意識⇨無意識化』、『考えておく、決めておく⇨キャンセルor 実行』。

1)『意識⇨無意識化』
現在、スペインプロクラブの育成組織でよく言われているのが、戦術行為の獲得プロセスとして、
『無意識&出来ない』→『意識&出来ない』→『意識&出来る』→『無意識&出来る』という内容になります。最終的には『考えない』に持っていきたいということです。結果、考える時間を削ることで、より早くプレイをできるようになります。無意識な状態に入ると、認知をしたタイミングで既に実行に動き出せるので、『認知→実行』へとプロセスが短縮できるのです。
ただ、『無意識&出来る』には、修正しなければ『無意識&出来る(やってしまっている)』も存在し(悪い癖というやつです)、それには、『意識&出来る(やってしまっている)』へと変化させて、その後に『意識&やらない』に変化させながら、実際に実行してほしい戦術行為の『意識&出来る』へと変化させていくことが必要になります。

最近は言語化というところによく話が集中しがちではありますが、それは伝える側の指導者の話であり、選手には『無意識&出来る』を獲得してもらわなければなりません。

2)『考えておく、決めておく⇨キャンセルor 実行』
前述した通り、『認知→実行』となるプロセスの中で、認知したら次は実行になるのですが、無意識の行為となると、認知と判断が一体化するので認知=判断となります。ということは、実行のタイミングで決めていた、決まっていた行為を実行するか、キャンセルするかが必要になってきます。
実は、ここですでに実行orキャンセルという実行時における2つの選択肢を持つことができています。さらに、実行orキャンセルはスイッチのようなものでON-OFFが一体化しています。なので、1つの判断でそれが実行できます。ということは、キャンセルに2つの選択肢を持たせることができれば、1つの判断で3つの選択肢(実行orキャンセル1orキャンセル2)を持たせることができるということになります。もっともっと言うと、キャンセル時に『緊急回避』(バックパスやブロック)、という選択肢を組み込むことができれば、3つの選択肢(実行orキャンセル1or緊急回避)ということで、キャンセル時には、キャンセル1が実行できるかどうかを確認するだけでよくなります。つまりは、実行、これは実行すれば良いだけ、その後キャンセルを選択した場合は、キャンセル時に見るものを決めておき、そこを認知して、OKであれば、実行、ダメなら緊急回避となるため、事前認知とキャンセル時認知の2つだけで、3つの効果的な選択肢を得ることができるのです。
そもそも事前認知は、ボールをもらう前(ボールが向かってきている段階)なので、ボールをもらってからは1つの認知のみで3つの選択肢ということになります。相手がすごくプレスをかけてきている時には、キャンセル後の認知を省いて、すぐに緊急回避に入ることも可能となります。

大学院でプロクラブを6クラブ訪問してディレクター陣に抗議してもらった結果、上記の2つの視点は最近スペインのプロクラブの育成シーンにおいて良く話されている内容になってきています。

なかなか更新ができていませんが、できる限り有用な情報を皆様にご提供できるように頑張っていきます。


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