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「事業戦略計画書の目的は資金調達先とのコミュニケーション」事業戦略大学(教員1名・生徒無限大)なぜ「事業戦略計画」を書くのか?コース第5回

設問1:資金調達先が事業(企業)の何を評価しますか?代表的なものを3つ上げてください。

設問2:事業計画を作成しても、資金提供先の十分な評価が得られないと自分で認識した際に何をすべきですか?

設問3:事業戦略計画書は何をかけばよいのですか?重要な3つのポイントを上げてください。

答えは本文に



■資金調達先は何を評価するのか


資金調達先が新規の事業を評価する際に見るものは、主に3つある


 1つは事業戦略計画。
 2つ目に経営者や経営チームの力。
 3つ目は事業に関わる過去の実績である。

「事業戦略計画」については、事業ドメイン、事業機会の拡大可能性、コア・コンピタンス、事業戦略計画の実現性、リスクを低減させるための方策などを評価する。「経営者や経営チームの力」については、リーダーシツプ、マ不ジメントカ、責任感。信頼性、戦略ビジョン、機動力、柔軟性などが挙げられる。「過去の実績」は、事業に関係する経営チームメンバーの実績、事業に必要な技術や専門知識などが挙げられる。

これら資金調達先の評価基準については、すべて高いレベルを示すことができればよいが、何かが欠けていたり不足気味であったりする場合が多い。そのような場合、いったいどうすべきか。当然、絵空事の事業戦略計画を作成することは絶対に許されない。答えは簡単である。

1つは事業戦略計画の規模や範囲をうまく調整し、所要資金を最低限必要なレベルに抑えること。

2つ目は、努力を積み上げ、可能性が高まるまで実力をつけること。

3つ目は、有利な機会が到来するまでチャンスを忍耐強く待つことである。

これら3つを簡単に言ってしまえば、″努力や我慢はするが、見栄をはらず実力以上の無理をしない″ということである。小さく事業をスタートさせ、実力と信用を蓄積し、その後目標とする資金調達を行ってもよいだろう。


■ 何のために事業戦略計画を作成するのか

ここまで話を進めてきたところで、事業戦略計画の直接的な作成目的とは何かを考えてみたい。それはすなわち、″事業戦略計画は、資金調達先をはじめとするステークホルダー(事業の利害関係者)とのコミュニケーション手段″ということである。


″ステークホルダーとのコミュニケーション手段″と表現したのは、事業戦略計画とは、それを活用して、ステークホルダーに事業ビジョンや展開シナリオを理解してもらい、適切なアドバイスやフィードバックをもらいながら、事業に必要な資源を有利に調達する。つまり、一方通行ではなく″双方向
的″な役割を持つからである。


また、″資金調達先をはじめとするステークホルダー″と表現したのは、起業家や新事業開発リーダーが調達しなければならないものは、お金だけではないからである。事業をスタートアップさせる上で、顧客や取引先の協力、信用供与、有能な人材、地域の理解といった資金以外の経営資源も重要であるため、それらに関わるステークホルダーとのコミュニケーションは欠かせないのだ。

■ 事業戦略計画に描くべき本質とは

では、これまでの事業経営の成功、失敗の話に基づいて、事業戦略計画の本質を表現してみよう。事業戦略計画とは、事業目的、事業アイデア、事業コンセプトを実現するために以下の3つを、ある一定期間のシナリオや計画として具体化したものである。


①どの程度の資金や資源が必要か? (インプツト)
②それをどのように活用するのか? (プロセス)
③その結果、どのような最適な資産の組み合わせと利益が創出されるか? (アウトプット、アウトカム〈成果>)


■ 事業戦略計画書の構成はどうあるべきか

次に、資金調達先をはじめとするステークホルダーとのコミュニケーションツールとしての事業戦略計画書の構成はどうあるべきだろうか。以下の3つに分けられる。


①事業コンセプト
②事業戦略
③計数計画

①事業コンセプトは、事業の基本コンセプトと、その骨格を簡潔に示したものである。そこには目的、着想、コンセプトや、インプツトとしての必要投資額や資金、プロセスや必要経営資源、事業の収益構造、それらのアウトプットとしての将来の資産構成や利益などが示される。


②事業戦略は、事業のあるべき姿、ゴールと、それらをどのように達成するかの方法論に関することである。具体的には、事業環境の分析から始まり、事業ドメイン戦略、ビジネスモデル戦略、市場ポジショニング戦略、事業展開シナリオ、財務シナリオ、リスク分析などが示される。


③計数計画は、三年間などと期間を決め、事業戦略を主に計数の計画にブレークダウンしたものである。販売計画、生産計画、要員計画、投資計画、資金繰り計画、利益計画、赤字撤収限界ラインの設定などである。

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