見出し画像

商品開発の各フェーズでやるべきことを知ればマネジメントできる

事業戦略大学(教員1名・生徒無限大)顧客経験価値のための商品企画開発の実践コース第3回

 商品企画開発の業務は実に多岐に渡ります。しかも各業務は極めて専門的です。プロジェクトリーダーは、各業務全てに精通していなくても、全体像を把握し、各フェーズで何をすべきかを理解していればよいのです。今回は商品企画開発の各フェーズの説明と実施すべきことを大まかに説明します。ここでは、各フェーズの狙いと、おおよそどのようなことを行うのかを理解して、商品企画開発の全体像を把握することに役立ててください。


■準備フェーズ
 

 準備フェーズは、商品企画開発プロジェクトを実施するための事前準備を行うフェーズです。具体的には、プジェクト実施のための会社や事業部門が持つ与件の把握、プロジェクトの背景・問題意識の整理、プロジェクト組織体制づくり、プロジェクトの目的、ゴール・成果、プジェクト実施スケジュール、プロジェクト予算などを企画し、事業部長などの事業部門経営トップとすりあわせます。

画像1

■商品・事業企画仮説フェーズ


 商品・事業企画仮説フェーズは、大きく商品の企画仮説と事業仮説の企画で構成されています。前にも述べたとおり、商品の企画は事業の企画を前提としていますので、この2つの仮説を企画します。
 最初に、商品よりも大きな視点の事業戦略仮説を企画します。事業戦略仮説の中には、顧客経験価値やコア・コンピタンス、エコシステム・ビジネスモデルの仮説企画が含まれます。
 事業戦略仮説の大きな視点を元に商品企画仮説を考えます。商品企画仮説は、「商品アイデア」「商品コンセプト」などです。それをもとに「ビジネスモデル」を企画します。
 大きな着想としての事業企画とその具現化としての商品企画、そして事業企画の中で最も重要なビジネスモデルとして商品企画仮説をまとめ、顧客経験価値実現の仕組みの仮説を構想します。

■仮説検証フェーズ


 仮説検証フェーズとは、商品・事業企画仮説フェーズで企画した商品・事業仮説を、PoC(Proof of Concept:実証実験)とマーケティングリサーチの2つの観点で検証します。
 PoCは、商品コンセプト、ビジネスモデルの各要素、顧客経験価値など、商品・事業企画仮説において重要な部分を可能な範囲の実証実験を通じて検証します。
 マーケティングリサーチは、マクロトレンド、エコシステム(業界構造)分析、有望市場分析、ターゲット市場分析、ターゲット顧客分析、競合分析、SWOT分析などの一般的なマーケティングの手法を活用して仮説を検証します。


■事業戦略構想フェーズ


 事業戦略構想フェーズでは、仮説検証フェーズで検証された結果を元に、商品企画開発戦略を含めた事業戦略構想を策定します。顧客経験価値に重きをおいた事業戦略構想では、事業の世界観、価値観、ビジョンや、事業が創造する顧客経験価値を重視します。その他、顧客経験価値を実現するためのエコシステム・ビジネスモデル戦略や顧客経験価値開発マーケティング戦略、財務計画を含んだ事業計画、ロードマップなど、経営トップの投資判断を仰ぐためのいわばビジネスプランを作成します。                  


■スタートアップフェーズ


 事業戦略構想が経営トップの承認を受け、投資意思決定が下された後、スタートアップフェーズに入ります。スタートアップフェーズには、商品開発活動や、そのマーケティング開発活動、事業化の準備、事業のスタートアップとモニタリングなどが含まれます。


 スタートアップ後も、市場や顧客とのギャップが存在する場合は、事業の方向転換、軌道変更、いわゆるピボッティングを行います。新商品開発や新事業開発では、スタートアップ後の市場とのすり合わせが必要で、このピボッティングが重視されます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?