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NCニュースの読み方 #6 「Amazon.comの高成長は続いている」 (2005年8月1日)

 インターネット上の小売店として最大手のAmazon.comは7月26日、2005年4-5月期の決算を発表した。売上高は17.5億ドルで前年同期の13.9億ドルと比べて26%増であったが、純利益は5200万ドルで前年同期の7600万ドルと比べて32%の減少となった。

 純利益が前年同期比でマイナスになった原因は、法人所得税引当金の増加にある。Amazon.comは今年の1-3月期に営業資産を米国から海外に移しており、これによって前年同期には500万ドルであった法人所得税引当金が今期は5600万ドルになっている。仮に法人所得税引当金が前年同期なみであったなら、純利益は1億ドル以上となり純益は前年同期比で30%以上増加していたことになる。

 この4-6月期の売上高を地域別に見ると、北米(米国とカナダ)の売上高は前年同期比で21%増、営業利益は9%増であるのに対して、海外(イギリス、ドイツ、フランス、日本、中国)の売上高は33%増(為替変動要因を除けば29%増)、営業利益は72%増となっており、海外の方が好調である。

 また、商品別にみると書籍、音楽CD、DVD、パッケージソフト、ゲームソフトなどのメディア製品の売上高は20%増であるのに対して、エレクトロニクス、家庭用品、玩具、アパレルなどのその他の製品の売上高は40%増と伸び率が高い。このため、売上全体に占めるメディア製品の割合は、前年同期の75%から71%に低下している。

 さらに地域別、商品別に売上高をみると、海外におけるその他製品の伸びが高い(80%増)ことがわかる。これは、Amazon.comが当初北米で行ったように、どの地域でも書籍のネット販売からビジネスをスタートさせて、音楽CD、DVD、パッケージソフト、玩具などへと取扱商品を拡大しているからである。これは、売上全体に占めるその他商品の割合が、北米では29%であるのに対して、海外では22%であることにも現れている。おそらく、当面はその他製品の売上の伸びがメディア製品より高い状態が続くだろう。

 ちなみに、北米で急増しているサービスの売上は、Amazon.comの持つ優れたネット販売の技術やサービスを他の小売業に提供して得ている収入である。例えば、ライバルであるはずのオンライン書店のborders.comや玩具のトイザラス、日用品のターゲット、オフィス用品のオフィス・デポがAmazon.comの技術やサービスを利用している。

 Amazon.comは、2005年通年の売上高を82.75億ドルから86.75億ドルと想定している。2004年は69.21億ドルだったので、20~25%の売上増ということになる。

 ネットビジネスの世界では、2005年4-6月期に利益を300%以上増加させたGoogleや7.5億ドルの純益をあげたYahoo!に注目が集まっているが、ネット小売の王者も確実に業績を伸ばしている。

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