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フリー1年目でナショナルジオグラフィック表紙を撮ったフォトグラファーがどうやって写真を職業にしたか。(自己紹介〜後編〜)

 どうも、晴れ男☀️花井亨Toru Hanai(@toruhanai)です。

 東京スポーツ新聞社で9年間お世話になった私は、2005年ロイター通信にスタッフフォトグラファーとして転職しました。ロイター通信は基本的に全て英語、社内メール、写真のキャプション、デスクも外国にいるので当然ですが、コミュニケーションは全て英語です。本当に苦労しました。
 私は英語が得意だったのは中学生まで。留学の経験も無く、新聞社に入社して海外出張に行くまで、パスポートすら持っていませんでした。

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「I am in the key!!!!!」

東京スポーツ時代にサッカーの出張でイタリアのベネチアにいた時に滞在していたホテルで誤ってインロックしてしまった時、テンパって館内電話からフロントに
 「I am in the key!!!!!」
と叫びました。当然フロントの方は「What!?」と全く理解しませんでしたが、それでも私は「I am in the key!」を連呼しました。しかも必死に。そしたら、フロントの人はマスターキーを持って私の部屋の前まで来たのです。

 オメデタイ晴れ男☀️の私はそのとき、英語をもっと身に付けないと!では無く、やはり「コトバよりもココロ」。気持ちで伝わるんだな〜と妙に自信をつけてしまいました。そこからは英語の上達よりも、コミュニケーション力を磨く方にチカラを入れました。海外出張のチャンスも引き続きいただくことができたので、「I am in the key!」の英語力でも、以下のような試練?も乗り越える事が出来ました。

 📷2001年の同時多発テロ直後の厳戒態勢中のヤンキースタジアムに取材申請無しで、突撃。ヤ軍広報に直談判して「全くダメだ」と言われながら取材パスGET!
 📷サンフランシスコ・ジャイアンツのベイカー監督(現アストロズ監督)に突撃単独インタビュー!トレード加入の新庄選手について独占コメントGET!
 📷2001年、ゴルフのマスターズトーナメント、でまさかのカメラの誤操作でタイガー・ウッズ選手のプレーを止め、取材規定違反。取材証剥奪のルールだが、必死の事情説明と謝罪で許しを得た。(これについては後日詳細を投稿する予定です)

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 結局、その後転職したロイターでの14年間でも、英語の上達はさほどありませんでした。しかし、私が人によく言われて、一番嬉しいのは、「あなたの英語はメチャクチャだけど、とってもよく分かり、伝わる。」ということです。しかし、文章にしたり、上司との正式な面談、人前でのスピーチ等は全く自信ありません。でも、コトバがココロのコミュニケーションツールなら、私の英語はこれでいいのかな。と最近は思っています。

写真は言語の壁を超越している。

 かつて、ロイター通信でアジアのフォトグラファーが何人か選ばれて、ワークショップが催されました。私は選ばれ、ドキドキしながらタイのバンコクで参加した時に、当時のロイターの写真部門の世界のトップのボスが開口一番「ここは写真のワークショップの場だ。我々は記事を書く記者じゃない。英語が出来る、出来ないは全く気にするな。」と言ったことに、感銘しました。
 私たちが写真という表現媒体を選んだ大きな理由の一つは、言語の壁を超越している。ということです。記事には言語の壁があっても、写真であれば世界中の誰もが平等にそれを受け止めることができる。写真はそういうとんでもないチカラを持った表現手段なのです。

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世界中の超一流のフォトグラファーが一同に集まり、写真談義、機材や技術、取材テクニックなどの話が出来るのは本当に貴重な経験です

 ロイター通信では2010年のサッカーのFIFAワールドカップ、南アフリカ大会をはじめ、2014年ブラジル大会、2018年ロシア大会と3大会連続取材させて頂きました。オリンピックは2012年のロンドン大会と2016年のリオ・デ・ジャネイロ大会に行かせていただきました。
 ロイター通信のような国際通信社はサッカーW杯やオリンピックのような大きな大会は50人ほどのフォトグラファーにエディターや技術スタッフ、TVクルーや記者なのも含めると100人ほどのチームになります。
 世界中の超一流のフォトグラファーが一同に集まり、中には撮った写真は良く見て、知っているが、会うのは初めての人もいます。大会中に時間を見つけては、写真談義、機材や技術、取材テクニックなどの話が出来るのは本当に貴重な経験です。もちろん話だけではなく、彼らが現場でどう動き、どこにレンズを向け、何をどう撮るのか。何ならカメラセッテイングも何も隠すことなく教えてくれ、お互いを高め合います。
 毎日、配信された写真を見て意見や反応を交わし合い、競合他社に打ち勝ち、最高の写真を求め続けます。しかもロイター通信にはピュリッツァー受賞フォトグラファーが大勢いるので、彼らと直接コミュニケーションがとれ、経験をシェアできたのも大変良い経験になりました。

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ロイター通信にいた14年間(2005−2018)は何もサッカーW杯や五輪だけではありません。東日本大震災やリーマンショック、もちろん日々のニュース取材の蓄積の日々がそこにありました。そこでの経験は追い追い、お話させていただきたいと思っております。

25年の経験とノウハウを発信して行きます!

 私が25年間、ロイター通信や東スポで学んだことや経験したことは、とてもユニークで貴重なものです。
 私は、これから、このnoteを含めた様々の場で、写真を撮るのが好きな皆さんに経験とノウハウををシェアして行きたいと思います。
 そこには写真撮ることがもっともっと好きになって、もっともっと上手くなるヒミツやヒントが隠されているかも知れません。是非ご期待ください!

 そして、2019年に独立してフリーランスになった私は運命的にナショナルジオグラフィック(トラベラー・フランス版東北特集号2020年1月発売)の表紙を撮影する事になって行くのです。(了)


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