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スタートアップの決算と税金いろいろ

とにもかくにも顧問税理士を見つける

日々の経理処理仕訳ってどうやるの?
試算表って何?どうやって作るの?作らなきゃダメ?
決算ってそもそも何をするの?どこに何を提出すればいいの?
税金ってどうやって納めるの?
っていうか税金って何%?

こういう事業をやりたい!と始めたスタートアップですが、事業企画に体力の100%をかけることはできません。財務・経理は起業すると必ずついて回る付随業務です。

会社設立登記をする前に探し始めている人も多いと思いますが、顧問税理士は初年度の決算を迎える数ヶ月前には見つけてください。数ヶ月前ってどのくらい前?って気になると思いますが、早ければ早いほど税効果を得られやすいので、僕はできれば会社設立時には見つけておくのがよいと思います。

スタートアップで税効果なんてほとんど無いよ、と思う方もいると思いますが、お金周りは設立前からすぐに発生します。会社登記するときに印紙税払ったり、資本金の入金をしたり。登記前に印紙を買ったりするので、その税金を新しく設立した法人に帰属させるには証憑の準備などが必要。顧問税理士さんがいれば、あれこれアドバイスしてもらえます。

もちろん、会社設立前の費用を法人に帰属させることは必須ではありません。ただ「知っていてやらない」のと「知らずにできない」のは違います。知っていれば、最終的にその手段を取るかどうかは決算までに判断するとして、準備だけしておくことが可能です。一方で何も知らなければ、実は後から必要になる証憑の準備ができず、後の祭りということになりかねません。

困った時になんでも相談できる顧問税理士の先生は、早めに見つけておいたほうがよいです。顧問税理士さんが全ての業務に対応できるわけではありませんが、それは会計士さんだね、それは社労士さんだねとあれこれ適切な士業の方を紹介してくれます。
スタートアップの最大の悩みは何が分からないのか分からないことです。でも、道標さえあれば自分達でもある程度は調べられるので、顧問の先生は早めにいると付随業務で迷子になりにくく、本当にやりたい事業企画にその分時間を割くことができます。


一期目は赤字でも大丈夫。大切なのは、予想の範囲におさめること!

僕が意識しているのは、今期決算終了時点でいくらのキャッシュを残すか、今の固定費であと何年会社が生き延びれるかです。
例えば、弊社Kotonaruはオフィス賃料や顧問費用、ドメイン料、赤字でも発生する最低限の税金(法人県民税の均等割)などでざっくり毎年60-80万円くらいかかります。
何もしなくてもこれだけのお金を払う必要があり、もちろん事業を進めればその分お金がかかります。

例えば、あと12ヶ月で資金がなくなる計算なら、それまでに資金調達を成功させないと会社はなくなります。ここでいう資金調達は売上の入金でも、借入でも、増資でもなんでもいいです。とにかく、12ヶ月後にはお金がなくなるのですから、12ヶ月後に気がついて頑張っても手遅れなわけです。売上入金に何ヶ月必要なのか、借入の手続きに何ヶ月必要なのか、タイムリミットまでに必要な手続きを逆算して対応するリードタイムを確保するために、ざっくりと把握しておくことが大切だと思っています。


もうちょっと具体的にどんなお金がかかるのか知りたい

  1. 法人税が営業利益の約30%(赤字の場合は大体9万円)

  2. オフィス賃料(弊社はバーチャルオフィス) 相場は年5−6万円くらい

  3. 顧問料、税務申告費用 (これは内緒)

  4. ドメイン費用、HPのサーバー費用(お名前.com) (これも内緒)

  5. freee利用料(会計ソフト) 年2.5万円くらい

  6. zoom利用料(会議) 年2.5万円くらい

ざっとこんなところでしょうか。ちなみにホームページは無いと法人の銀行口座開設に苦労します。会計ソフトは、税理士さんと相談しやすいものを使った方が時間を節約できます。


決算って何をするの?

Kotonaruの経験でいうと、一期目と二期目とで少し違います。

一期目・・・赤字着地を計画。まだ経理処理がわからないことでいっぱいなので、あれこれ教えてもらいながら慣れる。

  • 口座情報をfreeeに連携しているので、そこに表示される明細ごとに仕訳

  • 仕訳がわからない・迷うものは一旦仮勘定に仕訳しておいて、あとでまとめて税理士さんに相談

  • 取引のエビデンスを保管(契約書、注文書、請求書など)

  • 税理士さんが申告書を作って、指示された納付書(ペイジーです)で納税

こんな感じで、仕訳処理そのものをできるようになる、という感じでした。
そういえば個人事業主さんと契約したときに源泉徴収することを知らなかったので、あとで苦労しました(フリーランスの方に業務委託する際など、契約金額全額を支払うのではなく一部源泉徴収して納税する)

二期目・・・黒字着地になりそう、来年度キャッシュをある程度残しながら、今期払える経費は処理したい。

  • (決算の5ヶ月前)年度末の損益着地見込みを試算

  • (決算の4ヶ月前)節税を調べる

  • (決算の3ヶ月前)共済の加入を検討(←今ココ)

ちなみに黒字になったのは本来収益をあげたい事業とは別に発生した売り上げなので、まだまだスタートアップとしての事業としては赤字です(3年目までは赤字を想定して立ち上げました)


節税って必要?どうすればいい?

ただ、黒字になったら黒字になったで30%くらい税金を納めることになるので多少なり頭を悩ませることになります。サラリーマンだとそもそも源泉徴収された金額を受け取るので「こんなに税金引かれてる・・・」と絶句するだけですが、法人だと節税すれば税負担を小さくできます。
ただ、節税は大体が経費を増やすことにつながるため、税金は軽減できても法人からはキャッシュアウトします。

上にも書いた通り、僕が意識しているのは、今期決算終了時点でいくらのキャッシュを残すか、今の固定費であと何年会社が生き延びれるかです。
税負担を減らすために追加の経費としてキャッシュアウトすると、単年度では決算終了時点のキャッシュが減少します。すると、会社が生き延びれる年数が短くなります。もちろんここはバランスと節税の仕方によるのですが、節税に頭を使いすぎると本来やりたい事業企画に体力が取れなくなります。

簡単な例でいうと、次のような感じです。
①利益100万円だと、法人税はざっくり30万円
 →来季に残るのは70万円(100万円 ー 30万円)
②30万円の節税をして、利益70万円にすると、法人税は21万円
 →来季に残るのは49万円(70万円 ー 21万円)
③じゃあ50万円の節税をすると、利益が50万円、法人税は15万円
 →来季に残るのは35万円・・・

節税をしておくと翌年度以降に得することが多いのでどの選択肢がベターかは状況によります。ケースごとにシミュレーションをすれば、きっとその時に考えられるよい案が見つかると思います。
でも僕がやりたいのは事業そのものであって、こういう付随業務ではありません。別に付随業務をないがしろに考えているわけではなく、それは僕の本業でやっているので、副業のスタートアップでは事業そのものをやりたいのです。

なので、決算事務は税理士の先生にお任せし、僕は資本政策・財務戦略・予兆管理をする。税理士の先生と僕の思考を数字的につなげるのが決算、という感じです。

ここまで書いてみて、その付随業務(財務・税務)に興味がある学生さんにそのインターンシップを作ればいいんじゃないと思いました。

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