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2020/5/2(うたの日366)

ほの暗い部屋のはだかの肩ごしにてんめつしてるモデムのひかり/しそ巻き

(2017/8/10「自由詠」)

すごく冷静な視点でびっくりしてしまう。今それを見るのか、と思うし、それを見ていることに気づいたら相手はきっとショックだろう…が、それを見ていたことをこの主体は口に出さないだろうし、相手もそれに気がつかないような感じが何故だかある。性別は関係なく読める歌でもあるのかもしれないけれど、こういうところに気がついてしまうのは女性のような気がする。なんとなく『アイズワイドシャット』の映画のジャケットが思い浮かんだ。男性は眼をつむって女性にキスを繰り返しているけれど、女性の方は途中で全然違う方に鋭い眼線を向けている、あの感じが。
勿論、長い時間見ていたのではなく、ほんの一瞬だったのだと思うけれど、たぶんその後も主体は集中できなかったんじゃないだろうか。「モデムのひかり」は相手への良いとも悪いともまだ判別できない違和感のようなものだと読んだ。モデムのひかりは、暗くすると目立つけれど明るいと気がつかないだけで、実際は二十四時間点滅している。ただ、ネットワークが確かに繋がっていれば。…人間は解りやすくひかったりしないと解りつつも、反射的にきっとこれからも確認してしまうようなその後が想像できる。

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