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2020/7/3(うたの日366)

善人と呼ばれるたびに熱帯魚死なせた話をしてる善人/千住
(2019/8/11「善」)


じわじわくる歌…たぶん、このひとめっちゃ善人なんだろうな、と思う。面白いところは善人なので「善人と呼ばれるたび」にめっちゃ照れて謙遜してしまうんだろう。でも、熱帯魚を死なせたのもきっと悪意をもってのことじゃないので、いまいち謙遜としては効果がなく、そもそもそれをいちいち自分で申告してるところが善人やん…と、突っ込み待ちの状態になってしまっているところだろう。しかしそれにおそらく本人は気づいておらず、傍で見ているひとたちが「善人だな…」と黙って見ている、すごく平和な景が思い浮かぶ。
また「善人」ではじまって「善人」で終わる歌で、ループしている構造の歌である。それにより、「熱帯魚」云々の部分は日によって変わったとしても、このひとはずっと善人のまま謙遜し続けそうな雰囲気がある。「善人」の定義って何だろう、とも少し思うのだけど、これに関しては善人と云っているのだから善人、という風に読んだ。けれどももしかすると、「自分を恥じていること」がこの歌のなかの善人の定義なのかもしれないな、とは思った。

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