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四国旅日記【金比羅山/後編】

本宮で引き返すつもりが、汗が伝う身体に通り抜ける風も心地よく
疲労感よりもまだここにいたい気持ちが勝り、奥社まで歩を進めることにした。
参拝客は減り、参道はワイルドになっていく。

本宮から奥社までは参道口から本宮までとほぼ同じということは一旦忘れて歩く

奥社は本宮と比べるととても小さい。
拝殿の周りには簡素なベンチと小さな授与所があるだけ。
それでも来てよかったと思える場所である。
お参りをして、奥社でしか買えないという天狗の付いたお守りを買った。

特別展「お待たせ!こんぴらさんの若冲展」

本宮の少し手前に大きな看板があった。

お待たせ!というキャッチが目を引く グッズもまた可愛いんだ

前知識が一切なかったため少々驚いた。
「ここで本格的な美術展をやっている…?」
門から覗くと表書院と呼ばれる立派な建物が見える。
「伊藤若冲の作品がここにある…?」
スケジュール上残された時間は少ないものの、ここを再び訪れる可能性を考えるとやはり見ておきたいと拝観料2,000円を惜しみなく支払った。

入ってすぐ円山応挙(まるやまおうきょ)の「遊虎図襖(ゆうこずふすま)」がある。

カワイーン

東京でこうした企画展があると当然襖だけが展示されているけれども、
ここでは建具として作品が収まっている。
普段動物園にしかいない動物を野生の姿で見るような感動があった。

流石に部屋には入れない ガラス越しに見る(公式サイト写真)
富士一之間 邨田丹陵(むらたたんりょう)「富士山図」(公式サイト写真)

メインの百花図は普段は入ることができない奥書院にある。
絵の修繕が終わったことを記念した特別公開だそうだ。

6畳間に201点…(公式サイト写真)

むせ返るような花々の空間に息を呑む。
当時の若冲は48歳。江戸時代の48歳タフ過ぎないか。

岸岱(がんたい)「群蝶の図」も凄まじかった 400頭の蝶々 ほぼ動画

伊藤若冲は生涯独身ながら85歳まで生きた。
私の好きな日本画家 福田平八郎も享年82歳。
人と向き合うよりも動植物と真摯に向き合う方が長生きできる気がしてならない。
そして私はなぜ絵を描かないのだろうか。
そんなことを考えながら参道を降りた。

なお資生堂パーラーまである 神椿って! 金比羅山のプロデュース力すごい