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東京国際映画祭に「男はつらいよ お帰り 寅さん」を観にいった話

僕の大好きな映画「男はつらいよ」の最新作を東京国際映画祭に観に行ってきた。
元々公開は12月27日だったのでそれまでの我慢だと思っていたのだが、ふと飛び込んできた東京国際映画祭のチケット抽選の文字を見てダメ元で応募したのが1ヶ月前。こういう類のものに今まで一回も当たったことのない僕がまさかの当選をしたのだ。
僕がどのように「男はつらいよ」に出会い、どんなところが好きかはこのnoteの一番最初の記事を読んで頂ければわかると思う。

2019年10月28日映画祭当日、僕はなんでかはわからない、ただとんでもない緊張をしながら会場へと向かっていた。

先輩の女性ピン芸人のヒコロヒーさんと一緒に行こうということになっていた。
このヒコロヒーさんという方、僕と同い年なのだが「男はつらいよ」が大好きだという。ヒコロヒーさんと出会ったのは1年ほど前だが、おそらく2人とも同じ年代で「男はつらいよ」が好きな人に出会ったのは初めてだっただろう。

そのタイミングでのこの東京国際映画祭チケット当選、2人ともものすごく楽しみにしていた。

先に着いたので会場の前で待っているとヒコロヒーさんから

「ジーパンにパーカーで来てしまった!追い返されへんかな」

とLINEがきた。
確かにさすがは映画祭、ドレスや着物、基本的には男性はスーツやジャケットを羽織っている。
まぁでも別に、パーカーくらい大丈夫だろうと思い

「僕もそんなもんです!」

と返した。

「よかった」

と返事が来てそれからしばらくしてヒコロヒーさんが現れた。

からし色のパーカーだった。
さすがにからし色だとは思わなかった。勝手に黒かグレーだと思っていた。

正直駅から映画祭に向かう人混みの中でも10メートル先からでも見つけることができた。

というかなんだこのポーズ。
格闘技のイベントと勘違いでもしてるのだろうか。

そんなことをいっている僕も、明るい水色のアウターを着ていた。ものすごい派手な色の2人組になってしまい、少し恥ずかしかった。

中に入りイベントスタート。まずは山田監督、出演者の方々からの挨拶だった。監督の最初の「50年かけてこの映画を作りました」の一言ですでに涙が止まらなかった。

それからの出演者の方々の話にも涙し、最後に会場の人全員で主題歌を合唱するところがあったのだが、その時も感動が止まらなかった。

皆この日を待ちわびてたんだと思う。もう見れないと思っていた。まさか寅さんがスクリーンに帰ってくるなんて思ってもいなかった。

そこから上映開始。映画の内容はまだ公開前などであまりかけないが、昔の寅さんの映像が流れると会場からは大爆笑が何度も起きていた。
50年前から22年前までは毎年日本人は映画館でこうやって笑っていたんだと思うと、それを体験できただけでも嬉しかった。

50年という歴史の中で、見る人見る人それぞれに色んな思い入れがあるんだろう。この作品のときは子育てで大変だったなとか、この作品のときは就職したばっかだったなとか、そんなことを思い出しながら見ているのか、爆笑が起きた後は必ずどこからともなく鼻をすする音が聞こえる。

不思議な光景だった。大人達が大声で笑い、その後皆涙を流しているのだ。

映画の中の登場人物達も皆、寅さんに影響を受けてその後を生きていた。とくに甥っ子の満男からは寅さんをすごく感じた。寅さんが、渥美清が、そこにいるようだった。

それを見ているお客さん達もそうだ。
皆少なからず寅さんに影響を受けて生きてきたのだと思う。

寅さんを、渥美清を見て生きてきた人達がたくさん会場に溢れていた。

僕なんかは特に影響を受けていた。人生で何かあるたびに寅さんならなんと言うか、どんなことをするか考えて生きてきた。

12月27日には全国で公開される。とりあえず皆さんには是非見てほしい。

そしてエンドロールを眺めながら僕は、心の底からこう思った。

寅さん、あなたに出会えて本当に良かった。
あなたを好きになって、あなたに憧れて本当に良かった。
これからも僕はあなたに憧れながら、あなたの背中を追いかけながら、生きていくんだと思います。

本当に本当にお帰りなさい、寅さん。

よろしければ、是非お願いします!