おいしそうなメロンパンについて

3週間くらい前に、大学時代のサークルの仲間に声をかけてオンライン飲み会を開いた。
「最近どうしてるの?」と現状報告をし合うのだが、僕が何となく想像していたより、皆それぞれ多様な道を行っていて、何だかある種の感慨を覚えた。

しかしそれぞれ環境は違えど、悩み事は何となく共通しているのが面白かった。
出会った頃はまだ10代だったのに、もう皆アラサーと言われる年齢になったというのは、なかなか感覚的には受け入れられず少々戸惑う。
まぁ、そういうもんなんだろうなと思う。こうやって気づかぬうちに思い出からは距離ができていくらしい。

「最近30万のカメラを思い切って買ったんだよ!なお3年のショッピングローンで」と僕が話すと、大学入学時からの腐れ縁の友達が爆笑した。
どうして笑うのか訊いてみたら、一括で買わずに慎重を期して3年ローンを組んだのかいかにも「僕らしい」行動だと言うのだった。
そんな慎重な人間だと思われていたのは知らなかったが、確かに僕は何か突飛なことをたまにやるが、毎回何かしら保険はかけたうえで行動するようなところがある。
慎重とも言うが臆病とも言う。
あー、確かに俺そうだわ、と笑うしかなかった。

確かその飲み会と同じ週だったが、二十歳の時からの友達とサシでこれまたオンライン飲みをした。
同い年で誕生日は2日違いというその友達とは、思い出話をしては時間の経過の速さをアルコールを混ぜた笑い声とともに嘆いた(嘆き飛ばした、という表現が的確かもしれない)。

いい感じに酔いが回ってきて、僕が「このコロナがどうのこうのの一年間で気づいたことがあってさ~、どうやら俺すげぇ寂しがり屋っぽいんだよ」と言うと、友達は「今頃気づいたん?(笑)」と一言。バレてたんかよ!

どうやら、自分より他人の方が自分の性質についてよく分かっているということは、往々にしてあるらしいと実によく学んだここ最近の出来事たちであった。

最近はウイスキーを好んで飲むようになった。
お酒なんか嫌いだ、と思っていたし、ましてやウイスキーなんて酒の弱い自分が飲むものではないと思い込んでいたが、試しに飲んでみたらあっさりハマってしまった。
やはり自分のことは分かっているようで分かっていないらしい。

結局、おいしそうなメロンパンについて書くことはなかった。
(完)

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