とりさささん

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最近の記事

アフターエンド

外来意志研究センターは上潮(カドウシオ)博士が生前に創設したカド研究所の後継施設で 元々は芹沢博士が発明した「記憶を有する金属」や「記憶をエネルギーに変換する液体」等 特に世界バランスを揺るがす「芹沢ナンバーズ」を補完、研究する機関であったが 一羽のペンギンが起こしたあの事件以後はナンバーズの脅威度は著しく下がり 現在は芹沢ナンバーズ絡みの事件に付随した「外宇宙から来た意志を持つ青い石」に特化した研究、観察を行っている 研究センターの現在の主な役割は目下宇宙から飛来したとされ

    • 君の今日は僕の明日

      「ふむ」と博士は現状を確認し短い言葉を漏らす 博士は人語を喋るフンボルトペンギンだ 何故博士が人の言葉を使えるのかは説明が長くなるのでここでは語らない 博士の仕事は母星を飛び出し遥か彼方にある惑星の地質を調べる事だった 宇宙の片隅にポカンと浮かぶオレンジ色の星の調査に一人用探査艇でやって来た博士は 星の持つ予想外の重力に想定していなかった着地をしてしまった 大まかな機器類は無事ではあったがこの星の重力を脱し飛び立つには 選んだ探査艇はややパワー不足であった 「やはり安物は良

      • 正義中毒

        「吉木さん、これは正義中毒ですね」と白衣の男がまるで なんでもないように聞きなれない言葉を言うから 「セイギ中毒?」と吉木と呼ばれた青年は聞き返す 「ええ正義中毒です」 「セイギと言うと、正義の味方の正義ですか?」 「ええ、ええそうです正しい義で正義です」 「正義で咳が止まらなかったり、蕁麻疹が出るんですか?」 「吉木さんはまだ軽い症状で、酷いと死ぬ事だってあるんですよ」 「正義で人が死ぬんですか?」 「ええ、最近多いでしょう、私はやってないんで疎いんですがSNSなんかで 人

        • 曖昧模糊

          あいまいもこである、あいまいもこなのだ。 変換して初めて「あぁこういう字を書くんだ」と知った今日、意味までは調べていないが曖昧な物はややもこもこしているという意味であろう、実際に曖昧がもこもことしていたら曖昧模糊模糊であったはずである、6字熟語だ。4字だから収まりが良いのであって6字だとなんかモヤモヤというかもこもこするのである。 さて私は比較的断定を避けて生きている、一概にそうは言えない派閥の人間である。東に「これ豚肉って書いてあるし豚肉だよね?」と聞く人いれば「そうだ

        アフターエンド

          茄子のはなし

          ひき肉は豚もしくは合い挽きが良い、まず慎重にパックを開けて見える一面に塩コショウを軽く振っておく、ひき肉自身の脂を引き出す為の呼び水的なサラダ油をフライパンに少しだけ垂らしたらその上に先ほど塩コショウを振った面を下にするようにパックからひき肉を落とし、新たに見えた上面にも軽く塩コショウを振る。ハンバーグを焼く要領でまず片面を中火でこんがり焼くこの時油跳ねがすごいのでフタをするのが良いように思う、香ばしい香りがして来たら一旦ふたを開けて様子を見る。肉の底面の周りの脂が焦げ色にな

          茄子のはなし

          エビカツの話

          この文章を読む頃には君はエビカツを食べたくなっているかもしれない どうかその事を許して欲しい 私は基本的に引きこもり体質である、室内でフィットボクシングをして絵を描き暮らしている、外に出る時と言えば日々の食材を買い家に戻るだけの生活である。良く言えば世相にマッチングした生き方であるが基本的には不健康な生命活動に従事している。 そんな私に機転が訪れる、エビカツだ。エビカツなのである。どうしてもエビカツが食べたいのだ、たまに最寄りのスーパーで売ってる小エビが入ったカツである、

          エビカツの話

          くのらに らしや けそぬ

          ファミコン全盛期だった小学生時代 実家は決して裕福とは言えない状況で テレビゲームの購入など夢のまた夢だった しかし年始にチャンスが訪れた 高学年に上がりレートが上昇したお年玉である その総額1万2000円を握りしめ近所で唯一の玩具屋へ走った ファミコンは1万3000円で販売していた そもそも買えない落胆した私はそれでも握りしめた大金を 何かに使えぬ物かとうろうろしていた時にそれを見つけた セガマスターシステムソフト付き1万円 テレビゲームをずっと欲しがっていた私は迷わずそれ

          くのらに らしや けそぬ

          どうしても眠気が取れない時にするべきたった一つのシンプルな解決法!!

          無理せずに寝れば良いと思うんだ、うん。

          どうしても眠気が取れない時にするべきたった一つのシンプルな解決法!!

          非公式エンディング

          ※なんとなく適当に書いた物なのでこれが公式設定という訳ではないです。  モノクロの遺影にははっきりとした白と黒のコントラストが配置されている、生前の彼の表情を見て取る事は困難だったがどことなく笑っている様に見える「彼の上司だったそうで」と巨大な円筒に二本の棒がにゅっと伸びたフォルムの鶏が語り掛けてくる。言語症と呼ばれる病にかかった動物は人の言葉と人並みの知能を得る代わりに元の生物としての生活を失う、遺影の彼と同様に目の前の彼も人間社会で生きていく事を強いられた犠牲者なのだろ

          非公式エンディング

          ペンギンハイウェイ感想文

          アオヤマ君は言っていた「この道はペンギンハイウェイだ」と、ペンギンハイウェイとはペンギンが海から陸へ上がった時に必ず通る陸路の事なんだそうな、作中アオヤマ君は学校、喫茶店、森を行ったり来たりしていた。思えば作品の形態自体がペンギンハイウェイなのである、そのアオヤマ君は物語の終盤ある場所へ足を踏み入れる事になるが、なんとなくその場所へは二度と行けない雰囲気を十二分に出したまま終幕となる。しかしアオヤマ君は言っている「この道はペンギンハイウェイだ」と。作中アオヤマ君は学校、歯科医

          ペンギンハイウェイ感想文

          そろそろ最強のナポリタンを決めよう。

          ナポリタンをこの2年くらい色々食べ歩いたり作ったりしていてわかった事があるんですけど、俺にとってナポリタンってタイ料理なんですよ。 いきなり何の事やらって話だと思うんですけど、ナポリタンってタバスコの受け皿なんですよ、タバスコをおいしく食べる為の触媒なんですね。で、タバスコってのは酸味と辛味なんですね。なのでナポリタンに欲しいのは強烈な甘みと適度な塩気なんですよ、洒落てるトマトソースタイプは論外ですね。で、タバスコの酸味、辛味とナポリタンの甘み、塩気が揃うとどうなると思いま

          そろそろ最強のナポリタンを決めよう。