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【往復書簡:ひびをおくる】鳥野みるめ004


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柳沼雄太様

こんにちは。梅雨が明けてからは夏らしい青空と暑い日が続いておりますが、東京も気温の高い日が多かったのではないでしょうか??

先日届いたお手紙を読んで「よだかの星」を読み直してみたくなり「宮沢賢治 <ちくま日本文学全集>」を購入しました。昔、初めて読んだときは「勿体ない死に方、可哀想な鳥…」と思いながら読み進めていましたが、大人になってから読むとよだかの生への絶望の深さや死よりも大切な決意があることに憧れを感じたりしながら、小さい頃とはまた違った気持ちで物語を楽しむことができました。

この往復書簡ももう折り返し地点ですね。わたしも柳沼さんの綴る手紙や小説の言葉から、日々を見つめ直したり東京での暮らしを思い出しながらいつも読ませてもらっています。いままで手紙といえばなにかのお礼や仕事などでしか書く機会などなかったのですが、今回の「日常を伝える」という一見当たり前の手紙から考えることはすごく大きくて。小説から写真へ刺激をもらったり、手紙の優しい文章にとても穏やかな気持ちになったりしています。

人と同じくらい”言葉”を信じているというお話、なんとも柳沼さんらしいなと思いました。書かれた言葉が会話と違うのは、読んでから考えることができて向き合った分だけ答えを得られるような気がするからかもしれないですね。WEBでの読み物よりも本や手紙のほうが好きな理由も、スマホやpcはサクサク読めるけれども、頭に入ってこなくて。きっと光は消えてしまうものだと日常的に考えてしまっているからで、手で触れて確かめながら文字をなぞることのほうが安心できて好きなんだと思いました。

写真を撮るときの想像力ですが、みなさんどこから湧いてくるのでしょうね。わたしは0から何かを生み出すことが苦手なので、過去の自分の経験からとっかかりになるものを探して考えてゆくことが多いです。写真に写る事象やカタチ、色や光だけではなく「撮る」という行動にそれらを重ねて臨むことに意味があると思っています。改めて考えると、わたしにとって写真はスナップ以外も行動も含めた選択の連続なのかもしれません。柳沼さんの綴る言葉はどんなところから生まれていますか??

マーサ・ナカムラさんの「雨を呼ぶ灯台」わたしも気になって購入しました。不思議なリズムと文章の量が心地よくて。小さくてちょっと高級なチョコレートとを少しずつ摘んで食べるような気分でゆっくり読み進めています。

東京での夏、大きなイベントなどはあまりないかもしれませんがアイディアがギュッと詰まった小規模なイベントが気になります。かっこいい音楽も、はやくライブで直接聴ける日が待ち遠しいです。また柳沼さんのギターも聴かせてください。

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例年よりも静かな鎌倉にも夏が来ました。ジリジリと暑く晴れていても外を歩くと汗と潮風でベトベトになります。

最近、鳥野しのさんの「手紙物語(祥伝社)」を読み返しました。手紙についての5編の作品が詰まった短編集なのですが、その中で日中戦争開戦の前年に両目の見えない少年との男の手紙を巡る「日雀(ひがら)」という作品がとても好きで。ツピン!ツピン!と鳴く日雀の声のかたちが可愛くてとても印象に残っています。

今やりとりをしている往復書簡には実際に撮影した写真を印刷したものを、手紙に添えて送っています。文字だけではなくカタチあるもので相手に気持ちを伝えるということ。そこから言葉のない物語の続きを紡いでもらえるように、届けた写真からいろんな想像をかさねてもらえたらいいなと考えています。

もう次のお手紙でこの往復書簡も終わってしまうと思うと、少し寂しいですね…残り短い夏も、楽しく過ごせますように!!

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