『ナナ』memo
『ナナ なっちゃんの見えない犬』
のお話に出てこない背景のお話です。
ナナとお父さん
なっちゃんのお父さんと飼い犬のナナは、散歩の途中で事故に遭って亡くなっています。お父さんはなっちゃんが心配でナナに、なっちゃんのそばにいてあげてって言ったのかも知れません。
「ぼく」の信念
「ぼく」はごはんを食べると元気になると信じています。ちゃんと食べること、おいしいものを食べること、いっぱい食べること。だからなっちゃんがお弁当を食べないで落とすことがすごく気になるし、なっちゃんにごはんを食べてほしいと思っているし、元気になったのはごはんを食べたからだと信じています。その通りだと私も思っています。
先生とともだちと「ぼく」のお母さん
「ぼく」の行動は周囲に止められる可能性が何度かあったと思います。
まずは先生。先生は、食べもので遊んじゃダメ、人のお弁当とったらダメ、と言って「ぼく」を止めていたかも知れません。そうだったとしても先生は間違ってないと思うのですが、先生は二人の会話を聞いていて、何かを察して黙って見ていてくれたんだと思います。
それでもまわりの子どもたちが二人のマネをして食べ物を落としたりとりっこしたりということがあったら、やはりそれはみんなに禁止せざるを得なかったと思います。でもともだちたちは、二人を放っておいてくれました。「いけないんだー」とか「ずるい」とか言わずに誰かを放っておけること(自分たちの中に入れたまま)は、けっこう大事なことです。
そして「ぼく」のお母さん。「ぼく」が砂をかけられて帰ってきた時、心配したと思うんです。先生に何があったのか聞いたでしょう。なっちゃんのお母さんと話をした方がいいかと悩んだと思います。乱暴されてるのかも知れないし、あるいはそんな報復をされるほど嫌なことを相手にしているかも知れないんですから。でもお母さんは「ぼく」の様子を見ていて、今は、口を出さないことにしました。…それでいいのか悪いのかなんて誰にも分かりません。信じるのは勇気のいることだと思います。(「後悔しない子育て」はできない https://note.com/torinome_note/n/neb66e5f93137)
なっちゃんのお母さんとおばあちゃん
お母さんとおばあちゃんを、あまりいい感じには描けなかったかも知れません。でもお母さんは今、なっちゃんと自分を守ろうと外側を向いています。強くならなきゃいけないし、なっちゃんにも強くなってもらわなければいけません。親って、子どもによりそうばかりではなく時に社会の側からそうすべき・すべきでないを教える役をせざるを得ません。子どもが社会で生きて行けるように。なっちゃんも多分それは分かっていて、そこそこ強い子です。
また、おばあちゃんは孫や娘を派手に励ましたり庇ったりしていないようですが、二人ともを静かに受け入れ、見守っています。私だったら母に、おばあちゃんに、そうして欲しいのです。きっととても心配しているだろうけど、とにかく今は、二人が帰ってこれる場所になれるよう、おばあちゃんは見守り続けています。
「ぼく」の初恋
なっちゃんと「ぼく」がはじめて会った日
雨上がりの朝、晴れた空を映す水たまりのむこうに、その水たまりみたいに空も風景も心の中もみんな映って光っているような目をした女の子がいて、
「ぼく」の心にその子が入ってきました。
ただ素朴に、誰かを、好きだとか、憧れるとか、
その気持ちを知っている人はきっと幸せになれると思います。相手を消費したり目的化するのではなく、ただ、好き、という気持ちです。
『ナナ なっちゃんの見えない犬』
https://note.com/torinome_note/n/nad83031d7b3b
のお話に出てこない背景のお話です。
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