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“通話や会話(アナログ)”をデジタル化する事による生産性向上とは? [ビジネス時評コラム]

『LINEのAIが飲食店の電話予約に対応 店舗の空席情報と連携』(日経クロストレンド2020年09月24日)を読んでのコラム記事です。(この記事は2020年10月5日時点での内容です)

日本人には“現金主義”が強く残っていてキャッシュレスがなかなかうまく進まないように、「店舗の予約分野」でも“電話主義”がしばらく残り、ネット予約化の発展を邪魔しそうだ。

外食産業を事例にみると、この原因は複合的だ。
店側にも理由があって、「ネット予約料金」をプラットフォーマーに数%も払いたくない(払いたくても払えない)問題があり、まだまだ電話でしか予約を受けつけていない店舗はたくさん残っている。
それにくわえて客側にも、“現金主義”に似たような“電話主義者”がたくさんいて、「ネット予約の使い方がよくわからないから」というリテラシー問題だけでなく、「電話のほうが早いから電話する。お店の人と話したいから電話する」といった“思想の問題”もある。

店側からすると、“ネット予約”と“電話予約”、二方向から別々に連絡がくるのが管理上、一番効率が悪いので、それなら「古くからの慣れた方法で」と電話予約のみを継続する店がまだまだ多いのだと思うが、ユーザー目線でいうと正直不便でしかたない。
エアペイのTVCMが「(カード使えないなら)じゃあいいです!」と顧客を逃す危機感を伝えているが、同様に、ネット予約のない店ならば「じゃあいいです!」という“取りこぼし客”が見えないうちに増えてきているはずと思うが、どうなのだろうか。(私が東京在住なので都市圏を見てるとではあるが)

そもそも業務時間中に電話に手を取られる事自体が非効率だ。実務に集中したほうがいいし、不衛生だと思うが、それでもどうしても電話がかかってきてしまう限りは「電話応対しなければならないという問題」を抱えている。

そこで、このニュース。

客側からかかってくる電話を“デジタル化”して、お店のネット予約を集約しているデジタル台帳の中に“一元化する”という。物理的にはやれそうだ。

近年でいうと、客側のほうが「電話をかけるのが億劫」なので「電話を肩代わりしてくれるサービス」がいくつか実用化されていたが、“その逆”のサービスである。なるほど。(もともと、機械式の電話応対窓口案内や、電話アンケート調査の機械式ヒアリングは存在していたし、新しい発想というより“さらに踏み込んだ”という領域なのだろう)

店員が受けずに機械が受けるとわかっていれば、電話するほうも精神的にはかけやすくもある。深夜帯とか、時間を気にせず機械対応してくれるなら、それもなお便利だ。どうしても店員と急用で話したい場合だけは繋ぐようにできるシステムさえあれば、店に対して失礼にも思わない。

でも問題はまた「音声をデジタル化するぶんの利用料率が数%」かかるようだと、店側が採用しにくいのかもしれないが、たとえば「ネット予約システムの導入契約料」に包含されたサービスになってゆくのではないか。

◇◇◇

いずれにしても「アナログなものが残っているせいで非効率を起こしている面を、デジタル化することで生産性を高める」という分野はますます発展するに越したことはない。
“どこに改善可能なアナログがあるか”を発見するのもビジネス力のポイントといえる。
ちょうど昨今は霞ヶ関周辺でも“印鑑廃止”や“FAX廃止”が注目を集めているが、文脈はこれと同じと思う。

テクノロジーの発展を理解し、意志を持ち、古い制度や慣例は廃止していかなければならない。

(おわり)

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