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Take out your story~元気になれる飲食店~番外編[阿佐ヶ谷飲み屋さん探検の巻]

西荻窪駅から2駅。荻窪の向こう側に広がるディープな街、阿佐ヶ谷。ここにもまた、私たちがまだまだ知らない、楽しい飲み屋さんの世界が広がっています。


実はしばらく前に、西荻のおかえり酒場さんだるきっちんさんにお邪魔した時に、とある女性の方と一緒に飲ませていただきまして。

「うちのお店が阿佐ヶ谷にあるんですよ!よかったら今度遊びに来てください」と言っていただいたのが、今回の特集のきっかけです。

私自身、引越しをする時に阿佐ヶ谷と西荻の物件で悩んだこともあって、親近感を持っていながらも、いま一歩を踏み出せてないでいた阿佐ヶ谷。ずっと気になっていた阿佐ヶ谷に、今回ご縁をいただいてようやく脚を踏み入れることができる!と喜んで伺うことにしました。


ということで今回は、番外編で「阿佐ヶ谷の元気になれるお店」を特集したいと思います。


阿佐ヶ谷南口から徒歩5分。

かわばた通りにあるこちらのお店が、今回の舞台です。

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沖縄料理屋さんの2階にあります、かきんちゅさん。

阿佐ヶ谷にお店を構え、今年の6月で7周年を迎えたお店です。

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元々の木造造りを活かした、山小屋風の空間。

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漫画家さんのサインが飾ってあったりするところ、阿佐ヶ谷っぽいですね。

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あちこちに、野球愛あふれる店内。



厨房で牡蠣を吟味しているこの方が、今回声をかけてくださったユミさんです。

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広島カープの赤いユニフォームがよく似合う!

吉祥寺にあったオイスターバー時代から今の会社に入社し、かきんちゅのオープン以来ずっと、お店を支えてきました。



お店の奥で、ポップを手書きしているのが、マネージャーの陽介さん。

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マネージャーという立場上、基本的にはいろいろな店舗に出向いていらっしゃいますが、現在はかきんちゅ常勤。

服装から分かる通り、こちらも野球大好きな店長さんです。



1階の瀬戸海人(せとうみんちゅ)と かきんちゅは、系列店です。

広島出身のオーナーが沖縄が大好きで、熱烈なカープファン。

なので、1階のお店は広島と沖縄のいいとこ取り&カープ推しの居酒屋さんです。

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店頭にあるこの黒板の通り、カープが勝つとお好み焼きが100円という破格のサービスっぷり!!

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かきんちゅは、カープが勝ったら、カキフライが100円です。

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5個入りで100円て、安すぎる…!!

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(ちなみに、かきんちゅは店長の陽介さんが、カープだけでなく野球そのものの大ファンなので、チーム関係なく試合を応援していますよ!)

両店舗のメニューは、一部出前ができます。牡蠣を食べながら、ゴーヤチャンプルーを食べるなんてこともできちゃうのが楽しいお店です。



ふたりが揃っている時には、基本的にユミさんが調理を担当します。

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ユミさんはもともとは音楽やイベント系のお仕事に興味があり、専門学校を卒業しましたが、料理が好きだったので独学で勉強を続け、25歳で飲食業界に転職しました。

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牡蠣が好きすぎて、牡蠣の産地を巡る「牡蠣旅」をするくらい、牡蠣フリークなユミさん。

「月に何百個牡蠣食べてるんだろうって思うくらい、食べてて。牡蠣小屋のハシゴしたり、自分で取り寄せて牡蠣パーティしたり。生産者さんに会いに行って話を聞いたりね。」

牡蠣で当たったことはないですか?と聞いたら、「一度もないの。たぶん牡蠣と相性がいいんだと思う。オーナーからは、牡蠣の申し子だねって言われてる。」と笑います。



店長の陽介さんも、25歳から飲食の世界に入りました。

「なりゆきではいりましたね。この会社に入ってからも、あちこち(いろんな店舗に)行けるから楽しいっすね。」

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「よくね、この料理には何が合いますかとか聞かれるんだけど、レモンサワーじゃないすかとか答えちゃう。

何が合うかとかじゃなくて、自分の好きなお酒を飲めばいいと思うのね。楽しく飲めるのが大事じゃない?」と笑います。

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明るい笑顔が素敵な店長さんだ!


オーナーの意向で、都の休業要請を全面的に受け入れていたため、瀬戸海人とかきんちゅは、4月初旬から約1ヶ月ほどお店を閉めていました。

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その間は、社員みんなで1階の瀬戸海人の改装に取りかかり、ペンキを塗ったり内装を変えたりしていたそうです。

5月10日から時短営業を始め、6月19日からは、18:00−3:00で営業しています(かきんちゅ)。

時短営業で一時客足が減っていたものの、だんだん営業時間が長くなるにつれ、お客さんも戻ってきたそうです。



かきんちゅという店名の通り、かきんちゅの魅力は、“牡蠣と日本酒”にあります。

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ふたりで相談し、複数の業者から、その時に一番いい牡蠣を仕入れます。

多い時で5種類、常時3種類は置いているというからすごい!


「夏場は牡蠣の産地が減ってしまって、岩牡蠣がメインになるんだけど、岩牡蠣の方がどうしても値段は高くなっちゃって。作り方が違って、大量に作れないから。

できるだけ、リーズナブルな真牡蠣も入れて、食べ比べしてもらえるようにしてます。」と、ユミさん。

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「仕入れもバランスがけっこう難しいのね。仕入れすぎると余らせてしまうし、少ないとせっかく牡蠣を食べにきてくださったお客さんにお出しできなくなっちゃう。鮮度のいいものをいつでも食べてもらえるように、毎日考えながら仕入れしてます。」


日本酒も、豊富に取り揃えています。

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通常グランドメニューで4種類、入れ替わりで変わり種を3、4種類ほど。

(かきんちゅでは四合瓶が原価プラス980円でいただけるので、高いお酒ほどお得に飲めます!)


他に、生ビールも常時2種類、あまり見かけない変わった瓶ビールも取り揃えています。

まずは、ビールで乾杯することに。

いただいたのはアプリコットのビール、サミエル・スミス・アプリコット。イギリスのビールです。

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しっかりアプリコットの味と香りがするのに、甘すぎないビール。ホップの苦味を気にせずさっぱり飲めます。ビールの苦味が苦手な人にもおすすめ。


ビールで喉を潤しましたので、いよいよお料理をいただきます。

何を隠そう、東北出身の筆者。三陸の牡蠣を食べて育ちましたから、牡蠣は大好きなんです。早速、牡蠣の食べ比べをしてみることにしました。


注文が入ると、まずは氷を削って…

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牡蠣の登場です!

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ふたりで、スピーディに牡蠣をむいていきます。

牡蠣は、貝柱を取る瞬間まで生きているそうです。活きのいい牡蠣だと、殻を開いた時にまだ心臓が動いているんですって!

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牡蠣を最高の状態で提供するために一番大事なのが、牡蠣の開け方。

「貝柱が1回で切れなかったりして、何回もナイフを入れて身を傷つけると、どんどん鮮度が落ちちゃう。牡蠣に切ったことを気付かれないくらい素早く開けるのが大事。」とユミさんは言います。


「魚さばくのに腕があるみたいに、牡蠣にもむくのに腕があるんですよ。中央線で一番うまい自信ありますね。そんくらいむいてますから。」と、陽介さん。

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牡蠣の3種セット、完成です!

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見て!このきれいな牡蠣たち!!

思わず、生つばゴクリ。

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左から、岩牡蠣の「椿」、真牡蠣の「大船渡(おおふなと)」、「一本松」。


「味がしっかりしてるから、ポン酢かけるとちょっと濃いかな、しょっぱいかも。でも、お好みで使って。食べ終わった後の汁にネギを入れて飲んでもいいかも。」とユミさんが教えてくれます。


あー食べるのドキドキする。

まずは、真牡蠣「大船渡」から。

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今回の3種のなかでは一番小ぶりですが、身はぷりっぷり!

食べた瞬間、口の中に磯の香りが一気に広がります。潮の味がやや強めの、しっかりした味わい。私が東北で食べ慣れてきた味に近いです。


続いて、超BIGなビジュアルに圧倒されそうな、「一本松」。真牡蠣の中でも類を見ないサイズの牡蠣です。東京でも取り扱うお店は少ないそう。

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とにかく、肉厚、濃厚!

津波でプランクトンが流されてしまったことで、震災前と震災後では、三陸の牡蠣の味は大きく変わったそうです。その中でも一本松は、以前の三陸の味(塩分が多くて磯っぽい味)ではなく、食べやすい味に変化した牡蠣とのこと。

確かに、「大船渡」よりも塩気が少なく、潮の香りも身のクリーミーさも、すごくバランスが良くておいしい!


最後に、岩牡蠣「椿」をいただきます。

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大きさ、身入りともに、一本松よりさらに上。とにかく大きい。

そして、味も濃い…!

三陸の牡蠣を食べて育った私には、「椿」の岩牡蠣の味はかなり衝撃的でした。

生クリームのようなまろやかさを持つ、しっかりとした身を楽しんだ後、独特の苦味のような後味が追いかけてきて。磯の香りだけでは終わらない、まさに大人の食トリップ。

「真牡蠣とだいぶ味が違うでしょ?人によっては好き嫌いあるかもしれないのが、岩牡蠣だね。」とユミさん。

同じ生牡蠣で、こんなに味が違うなんて。牡蠣の食べ比べって、めちゃめちゃおもしろい!


続きまして、かきんちゅ名物 牡蠣の土鍋蒸し。(写真は一人前。)

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土鍋蒸しは、シンプルにお酒と昆布で牡蠣を蒸したお料理です。

蒸し立ての熱い牡蠣を、軍手をはめて、自分でむきながらいただきます。

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貝柱が引っかかって、意外と難しい!むくの。


加熱すると、身が締まって、旨味も凝縮されるんですね。生牡蠣とはまた違ったおいしさがあって。もはや旨味の塊でしかない…!

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はい、ここはもう日本酒いただいちゃいます。

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新潟の純米酒、高千代とともに。

日本人に生まれてよかった、つくづく。はー、幸せ。


もっと牡蠣が食べたいスイッチが入ってしまいましたので、おすすめの牡蠣料理をさらにオーダー。


まずは、牡蠣のレモンバター焼き。(以下、通常2個セットでお出ししているメニューです。)

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牡蠣の旨味とレモンの酸味が溶け込んだバターが最高。たぶんリッター飲み干せるレベルにおいしい!バターと牡蠣の相性たるや、もう。


人気なのがこれ!と出していただいたのが、こちら。

牡蠣のガーリックバター焼き。

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一見すると牡蠣グラタンみたいに見えますが、中身はシンプルに、牡蠣と木の子とバターです。

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こんがり焼かれたパン粉の食感がいいし、かき混ぜるとパン粉がバターと牡蠣の旨味をもらさず吸い込んでくれて…これ一品ですごい満足感!


牡蠣ばかり夢中でいただいてしまいましたが、かきんちゅで忘れてはいけない、もうひとつの人気メニューが、手造りソーセージです。

お店でミンチ肉からタネを作り、腸詰めしているこだわりの逸品。

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せっかくですから、最後はソーセージとビールで締めることにしました。

「ソーセージ盛り合わせください」って言ったら、「無理無理!ひとりじゃ食べきれないよ!うちのソーセージすごい大きいから」って慌てて止められました。

(でも全部のお味食べたかったので、作っていただきました。通常はシェアして食べるメニューみたいです。)


どーん!このボリューム!

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手前から、粗挽き、ハーブ、緑のチョリソーです。

一本一本がすごく大きくて、ジューシー!

(フォークとナイフがすごく小さくみえますけど、これ普通のステーキとか食べるサイズのナイフですよ!)

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身がパンパンに詰まっていて、ナイフで切るたび肉汁があふれます。


あらびきは燻製肉の香りが香ばしくてまさに肉肉しいし、ハーブはセージの香りが、口の中をさっぱりさせてくれる。

緑色のチョリソーは、ほうれん草の甘味が効いた優しめのピリ辛なので、辛いもの少し苦手な方にもおすすめ。

あつあつソーセージと、ビールの組み合わせは間違いないですね!お腹いっぱいでしたが、ついつい、食べる手が止まりません。



一緒に乾杯しながら、ユミさんとお話ししました。

「牡蠣に対してみんなイメージが強すぎて。牡蠣だったら北海道、とか。そのイメージを変えたいなと思ってて。いろんな産地がありますよって、お客さんにうまく説明するのが、お店をやっててなかなか難しいところかな。」とユミさん。

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「生牡蠣を食べたことない人も多いし、ちょっと怖いとか久しぶりに食べますっていう人も多くて。いままで食べれなかった人がおいしい!って言ってもらった時が本当にうれしい。そのためにも、いろんなタイプの牡蠣を揃えてあげるのが大事かなって。」

「ザ・オイスターバーってお店は、すごく高いでしょ?もっとカジュアルにおいしい牡蠣を食べて欲しいなって思うのね。」

ユミさんの強い牡蠣愛は止まりません。


「駅から全方向に飲み屋さんがあるってすごいんですよ。人口に対して飲み屋さんの数が多いのが阿佐ヶ谷。阿佐ヶ谷にわざわざ飲みに来るってないから、基本的に地元の人がみんな飲んでますね。」と、陽介さん。

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「都内でずっと働いてきたけど、こっち来て阿佐ヶ谷の人優しいなーって思って。近くの店の店員さんもみんな優しくて、マスクないって言ったらマスク持ってきてくれたり、風邪ひいたって言ったら風邪薬持ってきてくれたり。

時短営業の時も、常連さんにほんと助けてもらいましたね。」


「阿佐ヶ谷も、個人店がすごく多くて。荻窪とか高円寺とはちょっと違うのね、住民寄りというか。地域に密着してる感じが西荻にすごい似てるかもしれない。」とユミさん。

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んー阿佐ヶ谷、奥が深い。

西荻に似てるって言われると、西荻住民としてすごく親しみが持てます。もっと、いろんなお店を伺いたいし、いろんな方に出会ってみたい!知らずにいるのがもったいない気がしてきました。

(阿佐ヶ谷シリーズ、あと何回か続きますので、乞うご期待。もっと、阿佐ヶ谷探検してみますね!)



楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもので。

「お店教えてあげるから、また飲みに行こうね!」と、ユミさんが下まで見送ってくれました。

牡蠣もソーセージも、本当においしかったな。

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魅力あふれる阿佐ヶ谷の街で、2階にひっそりたたずむ牡蠣の名店と、

元気でかわいい牡蠣マスター、ユミさん。

今回も、素敵な出会いに感謝です。


ーーーーーーーーーーーーー店舗情報ーーーーーーーーーーーーーー

かきんちゅ

東京都杉並区阿佐ヶ谷南3丁目34−15-2F

Tel:03-5930-6424

営業時間:18:00-3:00(当面)

定休日:無休

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