千葉和彦。新潟のビルドアップを支える最終ラインの司令塔。
千葉和彦は今シーズンのアルビレックス新潟で左CBとしてリーグ戦全試合に出場中。
足元の技術の高さと正確で鋭いクサビのパスでビルドアップ能力の高さを披露し、多くの新潟サポーターを唸らせている。
「今季は自分がポジションを下げなくても、千葉さんと舞行龍くんのセンターバックコンビがうまくボールを前に運んでくれる。」
と、本間至恩が語っている通り、前線の選手にも良い影響を与え続けている選手。
ゲームを支配することを目論むアルベルト・アルビに欠かせない戦力だ。
千葉の特筆すべき点は相手の前線の守備者と、駆け引きしながら周囲の状況に合わせてボールを配給する点だ。次のボールホルダーに優位性を与えることができる。
最終ラインでボールを保持する場面で、千葉が素直にボールを離すことはほとんどないと言っていい。
相方の舞行龍ジェームズやボランチとパス交換をしたり、ボディフェイクやキックフェイントで相手のプレッシャーに牽制をかけながら周囲にボールを配給。
近くの選手とのパス交換の選択肢を匂わせてから一気に前線にクサビを通す。
敢えてボールを晒して相手に間合いを詰めさせてから、なんてことのないように相手をいなして相手の1stプレッシャーラインを突破する。
横に位置する近くの選手にボールを渡す場合も、次のボールホルダーのスペースを最大化するようにボールを運んで相手を引きつけてからボールを渡す。
このような千葉の数々の細かな駆け引きで、周囲の選手が楽にプレーできるようになるのだ。
「陣取り合戦のようなイメージでサッカーをやっている。」とインタビューで語っているが、納得のプレーである。
無理やりビジネスの例えに持っていこうとする自分の浅はかさを許してほしいのだが、千葉をビジネスで例えるなら、成果物の締切の2日前に提出したり、アイディアを1個出すという課題に対し2個も3個もアイディアを出したり・・
仕事をする相手が楽になるようなプラスαをいつも提供してくれるようなビジネスマンといったところだろうか。
"なんとなく"でセル結合をして仕事をしづらくするようなことは絶対にしない。
加えて見逃せないのは、敢えてチームのボール循環のテンポを落とすプレイだ。
ゲームを自分たちのペースで進めたいのに、相手のペースに飲まれて相手の土俵でサッカーをしてしまうという試合を観たことがある方は多いのではないか。
千葉は素早くボールを離せそうな時にも敢えてボールを持って止まったり、相方のマイケルジェームズやボランチとボールを渡してダイレクトでリターンしてもらう、所謂"『遊びのパス』をいれることでテンポを落としていく。
意図的にテンポを落とすことで相手のペースに引き込まれることを防いだり、味方が良いポジショニングを取る時間を稼ぐことができる。
謂わば、アルビの呼吸を整える役割をこなしているのが千葉なのだ。
彼のビルドアップでのプレーに見慣れると、海外のサッカー選手のプレーをみてもどこか物足りなさを感じてしまうことがある。もちろんリーグのレベルを考慮しなければいけないが、あれだけ相手と駆け引きしながら攻撃を組み立てられるセンターバックはなかなかいないだろう。
J2は現在折り返して後半戦。最後方からJ2最高峰の攻撃を司る千葉和彦のプレーに昇格がかかっている。
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