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「着物は自由に着ていいんです」西陣織を身に着けるという選択肢

京都と言えば何が思い浮かぶ?日本の伝統的な着物はこの町にぴったり!そんな町に潜む「着物警察」を知っているだろうか?

京都市内の静かな町を女子3人で歩いていると、存在感のある建物が凝然と立っていた。

こちらは昭和50年から始まった西陣織工業組合の出資のもと経営される「西陣織会館」という土産物店。

主に、観光客向けに西陣織を扱った製品を販売している。

店内に入ると、「TIE VILLAGE」の文字と共にユニークな展示方法で高級感のあるネクタイが陳列されていた。

ネクタイの上質な素材や豊富な柄に、目を奪われると同時に今までの伝統産業のイメージを覆されてしまった。


また、こちらでは西陣織の歴史についても学べる資料が展示されている。

店内の様子を写真撮影してもよいか許可を取るため、観光案内所で働くおじさんに声をかけた。おじさんは着物が大好きでプライベートではよく着用しているそうだ。私達が大学生だということを話すと嬉しそうに西陣織について語っていただけた。

「最近、西陣織を扱う商店や企業が廃業していって、京都の伝統産業が疲弊していっています…。」

現在の日本で、着物を購入する機会がほとんど無くなっていることから、若者を中心に着物離れが進んでいる。高価であることや着る機会がわからないなどの理由で日常とは程遠い物と認識しているのだろう。

また、若者が回避したい着物警察と呼ばれる人達の存在もある。

着物警察とは、伝統的な結び方で帯を締めていなかったり、従来になかった髪型をしていたりすると着物を着る上での違反行為であるとして、指摘する人たちのことを指す。

参考:「着物警察」のせいで和装離れが加速、街中での警笛はもはやパワハラの域

突然、見知らぬ人から着物の着方についてあれやこれやと言われることに嫌悪感を抱くのは不思議ではない。特に、着物を着慣れていない若者がそういういった過ちをしてしまうのも仕方がないだろう。

これは、西陣織工業組合の理念である「西陣織を広めたい」活動において矛盾する事態だ。おじさんは、この着物離れがますます京都の伝統産業の衰退を促進させると考える。

「若者が着物を着ないと、伝統産業は終わっていってしまいます。」

「(着物の着方の)しきたりに捉われず、着物は自由に着ていいんです。」

西陣織を世にもっと広めていくには、若者に「欲しい」と思ってもらうことが重要ではないか。私は着物を愛好する年配の方でそのような柔軟な考え方を持つことに驚いた。西陣織会館では無料で観覧できる「きものショー」が行われている。興味がある方はぜひ足を運んでほしい。

着物を愛するなら、着物を着続ける文化を豊かに。