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016『雲取山を歩く プロローグ』

文:守屋佑一

僕は昔、歩いたりするのが嫌いで、山に登るなんてもっての他だった。
けれど、中学から運動を始めて、高校で死ぬ気で野球をやって、フルマラソンも走って、いつしか体を動かすことが欠かせなくなってしまった。

その後、大学で登山に嵌まってからはいろんな山を歩いた。
2012年。この年は僕的には登山の集大成。
GWに雪の残る赤岳に登り、夏には丹沢で沢登や湯河原でロッククライミングを楽しみ、秋には甲斐駒ヶ岳、初冬には日本で2番目に高い山、北岳と名前が売れた山々に挑戦した。
登山の持つ魅力に魅了されていた。

そして年末も差し迫ったころ、僕は1年の締め括りにソロで雪山に行く計画をたてた。

冬のボーナスで装備を揃え、本やインターネットでリサーチをして目星をつけた山は「雲取山」。
東京都にある山としては一番高い山だが、標高は2000メートルそこそこ。正直、手軽な山だ。
ただ、12月の後半の雪がある時期の入門にとっては丁度良さそうだしなにより名前がおとぎ話に出てきそうな雰囲気でとても気に入った。

登る日は12月23日・24日の2日間。
僕にはあまり縁のない日。いや、決してこの日を意識していたわけではなく、この2日間が休日で都合が良かったからこの日にしたのだ。

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