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ゲーム感想 バイオハザード0

この記事はノートから書き起こされたものです。詳しい事情は→この8か月間に起きたこと。

 「有名だけど、実はちゃんとやっていなかったゲーム」の一つ。パソコンが壊れてから暇な期間ができたし、今ならNintendo Switch版がかなりお安いので、やるなら今だと購入。
 バイオハザードは『~1』が初代だからこちらから始めるのが正解だと思うが、ストーリー的には『~0』のほうが先なので、こちらから始めることに。『~1』は別途ダウンロードが必要だしね。

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 私のバイオハザード歴。
 ちゃんとバイオハザードを触れたというのはニンテンドー3DSの『~リベレーションズ』のみ。この作品はかなりのお気に入りで、一時何週もしたし、最高難易度も(珍しく)クリアしたし、その後もレイドモードをえんえん繰り返して武器コレクションを作っていたし。私のバイオハザードは『リベレーションズ』のみだった。
 初代については……遠い昔、友達に触れさせてもらったことがあったのだけど、当時の印象はただただショボかった。出てくるゾンビが低クオリティのCGだったし、キャラクターも糸釣り人形のようなふわふわした動きをするだけだったし……あと操作がやたらとやりづらかったし。はっきりいい印象はなく、なんでこんなものが世界的にヒットしているんだろう? と不思議だった。

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 さて、ここでNintendo Switch版『バイオハザード0』だが、情報によると、PS3版がベースということ。かなり新しいバージョンのものになっている。
 それでなのかわからないが、ムービーシーンよりも、ゲーム中のモデリングのほうが出来がいいところがわりとあって、もういっそレンダリングムービーなしでもいいんじゃないか、という気がした。(ドロドログチョグチョの表現は、さすがにレンダリングムービーのほうがなまめかしく出るから、そのままでいいけど)
 オリジナル版はゲームキューブだったというが、PS3までにそれだけ技術が進歩したということだろう。

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 ゲームの話に入る前に、ちょっと「おや?」と思ったポイントについて。
 エリア間移動する時、扉を開けるアニメーションが入る。これはローディング時間をごまかすための古典的な手法だが、これ、いらなかったんじゃないだろうか。というのも、キャラクターチェンジをするとき、遠いエリアにいても暗転ローディングなしで画面が切り替わる。Nintendo Switchになって、ローディング時間なしで切り替えられるようになった、というところじゃないかと。扉を開けるより、キャラ切り替えのほうが早い。これができるならエリア間移動の時の、あの扉を開ける演出、いらないんじゃ……。あの演出があるから、変にモタモタするし。
 移植の時に、この辺りを最適化しないで突っ込んじゃったんだろうな。

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 ようやくゲームの話に入るが、キャラクターの操作がやややりづらい。
 やりづらい理由はシンプルで、カメラが頻繁にイマジナリィラインを越えてしまうから。イマジナリィラインを越えると、キャラの操作が逆になるし、方向感覚も狂う。
 例えば列車のシーン。最初は左手側が列車先頭側、右手側が列車後方側という認識でスタートするが、列車先頭に近づくと、カメラがイマジナリィラインを越える。すると「列車先頭」に向かっているはずなのに、その逆「後方」に向かっているような印象に変わる。
 ただカメラ位置が変わる。列車なんだからまっすぐ進めば端っこにたどりつくわけだが、カメラ位置が反転してしまうことが意外に混乱の元になる。
 カメラ位置が頻繁に変わることは、ゲームプレイ時にも問題を生み出している。キャラクターを右手方向に進ませていたはずなのに、突如反対側に向きが変わる。キーをベタ押ししていても大丈夫という設定になっているのだが、見た目とキーの向きが逆になるので、その瞬間、ついキーを逆を入れてしまう。それで前エリアに戻ってしまい……と、すっと真っ直ぐ進めない。これがストレスの元になる。
 また、カメラ位置が変わってしまうことが、探索時に迷いやすい原因を作っている。地図を見て「あの扉を抜けて右」というつもりで扉をくぐると、カメラが反転して「左」に変わる。右と左、ただそれだけの話だけど、だいぶ感覚が混乱する。カメラ位置が変わるたびに、地図を見て確認しなければならなくなる。
 一応、カメラはだいたいエリアの中央くらいの位置にある、という想定らしいのだが、せめてそのエリア内ではカメラは「切り替え」ではなく「シームレス」であってほしかった。
 カメラフレームの外にゾンビがいる……ということが時々あって、そのゾンビとの距離がどれだけかわからない、銃を撃っても当たっているかどうかもわからない、といういやらしさが嫌だった。多分、あの配置は意図的なものだったんだろうな……という気もするし。

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 ストーリーは……
 前半は列車が舞台であるが、不思議なくらいホラーっぽい雰囲気はなかった。ゾンビが出てくるのだが、まったく怖くない。導入にじわじわくる要素がなかったからだろうか。
 お話を進めると、やたらと美声で歌う男が列車の外に現れて……ホラーというかシュール。というか、なんでこの男は歌い始めたんだろう? ちょっと笑ってしまう。一体どういうつもりで描かれた描写なのかわからない。
 という以前に、列車の中にいるレベッカの立ち位置から、あの男の姿は見えないと思うのだが……。位置関係の問題以前に、夜で真っ暗だからやっぱり見えないはずだ。
 シナリオはというと、素人感丸出しだった。「これが○○を見た最後だった」というような独白が突然入ったりする。そんな独白を入れるようなトーンの作劇じゃないでしょうが。PS3時代でも、まだこういう素人感のあるシナリオが受け入れられていたのか。牧歌的な空気があったんだろうな。今だったら、ボロクソに叩かれるところだよ。

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 まるで忍者屋敷のように仕掛けだらけのお屋敷。住居空間として無理がありすぎるし、実は極秘の実験所だった、という裏の姿があるとしても無茶苦茶。というお話は、まあゲームだし、ということで目をつむるとして、それはさておきとしてアドベンチャーゲームとしての部分、探索はなかなか楽しかった。一見して「リアルな映像」「映画的な映像」をウリにしているけれども、やっぱりゲームはゲームなんだな……。アイテムを使うとき、わざわざウインドウを開かねばならない、というのは不親切に思えたが。
 アドベンチャーゲームとして、隅々まで探索して、アイテムを収集して、ギミックを解いて……やはりこの面白さがきちんとあるのがいい。なんだかんだ、きちんとゲームをしている。
 アクションゲームとしてはどうかというと……正直、あまり面白くなかった。撃っても効果があるのかわかりづらい。当たっているのか、効いているのかさえわからない。攻撃が当たったら、それなりのリアクションを入れてほしいところだ。
 ボスモンスターは撃っても撃っても反応がなく、「これ効いてるの? 進展しているの?」と不安になったところで、突如暗転、ムービーが挿入される。これじゃ「倒した」という実感がない。カプコンらしからぬ大味に感じられる部分だ。

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 キャラクターアクションについてだけど、ダメージを受けて傷を負っていても、わりとスムーズに移動する(脇腹を押さえながら、でも移動はスムーズ……変に「ケガを負っている描写」が入るから、シュールに見えてしまう)。よくある描写だけど。足元にあるアイテムをなかなか拾うことができず、その周りをウロウロしてしまう。これもよくある描写だけど。
 一見リアルな映像に見えて、構造そのものはやっぱりゲーム。これはこの作品に限らずの話だけど「リアルな映像」と「ゲームとしての構造」の間に齟齬がある。私は「シュールの谷」と呼んでいるけど。なんでリアル系ゲームは見えない壁に対して全力疾走しちゃうんだろう……みたいなアレ。
 この辺りは、間もなくゲームの世代がもう一つ上がろうとしているけど、いまだに解消されない。映像をリアルにする前に、すべき課題があるんじゃないか、という気がする。

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 まとめとして、『バイオハザード0』はゲームキューブ時代のゲーム。かなり古い、ということを差し引いても、どうなんだろう……という印象がある。全体的に「B級映画」という感じ。映像にしてもストーリーにしても、ゲームにしても、凡庸さが目立つ。あまり印象に残らない作品だったかな……。

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 それはそれとして、一番の印象は主人公のレベッカ。かわいい。ショートヘアの女の子……いいよね。
 プロテクターを付けてあのバストサイズだから、脱いだら結構な巨乳では?
 このレベッカが何かとひどい目に合うゲームだ。ヌメヌメしたやつを全身に浴びたり、巨大な昆虫に掴まれて落とされたり、全身ヌメヌメになったり……。これみよがしなシーンが連発する。なんか、作り手の性癖が見えてくる。
 そんなレベッカちゃんをゴリゴリマッチョのゴリラが助けに行く、というのがこのゲームの構図。私はこういうところ、ニヤニヤしながら見てしまう。好きだねぇって。でも今の感覚だと「性差別」「ステレオタイプ」とかいろいろ言われちゃうのかな。こういうところも含めて、PS3時代はまだ牧歌的だったのかもしれない。


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