出会いの日 #01

2016年6月24日
友人との会食を終え、仲良しの妻と帰宅したのは夜11時ころ。
生暖かい、ジメジメした梅雨らしい気候だった気がする。

ほろ酔いの中、部屋で軽く飲み直そうとしていたとき、
どこからか猫の鳴き声が聞こえてくる。

珍しいことではない。
6月、夜、郊外の住宅街、
猫の鳴き声が聞こえる条件は充分に揃っている。

別に気にも留めず、妻と旅先でつくったお猪口に日本酒を注いだ。

10分、、、30分、、、まだ聞こえる。
いつもなら長くて10分。
しかも、かなり至近。
少し気になって外に出たが見つからず。
私の足跡に警戒したのか鳴き声は止んだ。

「まぁ、いいか」
私の意識は日本酒へと向かった。

深夜1時ころか、眠りについた。
また鳴き声は聞こえてきた。
しかし、私の体内には大量のアルコール。
再び外に出る気力はなかった。


翌2016年6月25日の早朝、
妻の「まだ聞こえる」の言葉で目覚めた。
私の体内のアルコールたちは既に姿を消していた。
「よし、捜索だ」

家の周辺を探す。
ご近所さんと、「ずっと泣いてたねー」という会話も挟みながら。

そして、鳴き声は今も聞こえる。
ここで2つのことに気付く。

「まだ小さいー」

「家の中から聞こえるー」


#02へつづく