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織布の縦糸を使ったイヤリング

わたしの生まれた田舎町は、織物で栄えた町でした。

多くの近所の家には、機械の織機があって、たいていそのうちのお婆さんがが、番をしていました。

自動でガチャンガチャン忙しなく動く、織機の糸を変えたりする役だったのでしょう。

わたしたち子供は、その機織り音を聴きながらお菓子を食べたり、ゲームをしたり外を走り回っていました。

夜になると、山間の町に響いていたガチャガチャという音が止まって静まりかえり、替わりに川のせせらぎが聞こえてきたものでした。

そんな、わたしにとって当たり前だった風景も、いつからか一つ二つと工場がなくなっていき、どこの家からも織機はなくなっていました。

時代は、変わっていたのです。

でも播州織は、息絶えたわけではありませんでした。

高級布として東京のデパートの催事場でも見られるようになり、世界に向けても売り出せるブランドになったそうです。

とは、いいつつ、わたしの意識からは、完全に消え去っていた播州織の存在でしたが、再び姿を変えて私の前に現れました。

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機織りの縦糸の残りを使った色とりどりのかわいいデザインのものばかり。

その糸と同じものは、また出てくるとは限らないから、一期一会のデザインだそう。

「縦糸」というと、わたしが連想するのは、「縦の糸はあなた〜♪、横の糸はわたし〜。織りなす布はいつか誰かを〜」という歌詞です。

「縦の糸」と「一期一会」の言葉の組み合わせで、人の想像力が掻き立てられてきます。

このブランド設計力ってすごいなと思いました。意図されてかされていないのかはわかりませんが、そういうさりげなさがまた良いです。人の意識にするっとさりげなく入ってきます。

カラフルな糸が、顔の周りにあるととても華やかで素敵です。

でも素敵なアクセサリーはもうたくさん世の中に溢れているので、商品力だけで勝負するのは、なかなか困難なことです。

人の記憶に残るためには、もう一工夫が必要なのです。

それがうまくできていて、我が故郷の播州織が生き残っていく底力が見えた気がしました。

zoomで大柄のアクセサリーが売れていると、さきほど聞いたので、時代にあっているというのもあるでしょうね。

内側からのブランド力での発信と、外側の流れに乗るマーケティングの組み合わせができたら最強ですから、これからも目が離せません。

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