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「切り絵で世界旅」精霊流し(ホイアン/ベトナム)ホイアンの夜、灯篭作りに打ち込む親子

 ホイアンの街を見学した後、旧市街を流れるトゥボン川を見渡せるレストランの外庭で食事をする。夕暮れになると、川沿いにも屋台や簡易なテーブルセットが並び始める。
 辺りがダークブルーの色合いを深くする頃、街灯や提灯が点き始め、観光客を乗せてトゥボン川をゆっくりと往来する船の中には、灯籠が色とりどりに輝いている。さらに川辺には、小さな紙製の灯籠が点々に浮かび、流れている。何とも幻想的な景色である。

 ガイドブックによれば、旧暦の8月15日、中秋節(十五夜の満月)の夜に精霊流しをする、とある。しかし私がホイアンにいたのは3月11日なので、勝手な推測であるが、観光客相手に毎日やっているのではないだろうか。

暗い闇の中で灯篭を無心に作り続ける

 食事を終えた後、川沿いをぶらぶら散歩をすると、橋の上から小さな灯篭を竹竿の先にかごを付けた道具に乗せ、川面にそっと置いている観光客の姿が数多く見られる。ふわりと川面に浮かんだ灯篭は本流のほうに流れ去っていく。
 おや、川縁に親子と思しき2人が、暗い闇の中で灯篭を無心に作り続けているではないか。灯籠の灯によって2人の顔がぼんやりとに浮かび上がっていた。

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