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トップスタジオ翻訳部の歴史を振り返る

皆様、はじめまして。株式会社トップスタジオ翻訳部の活動を外部に発信するために、このたびnoteを始めることになりました。

翻訳部はおかげさまで20年の歴史を持ち、小規模ながら質の高い翻訳サービスを提供する専門集団として評価をいただいております。noteの投稿を通じて、得意分野や仕事の進め方、業務や業界のこぼれ話などを定期的にお伝えできればと思っています。

1本目の記事では、創業以来のメンバーである佐藤が翻訳部の歴史を簡単にご紹介します。今までの変遷がそのままトップスタジオの翻訳の強みにつながっています。

創業は1997年、主にIT書籍の翻訳を担当

トップスタジオの創業は1997年7月。ソフトウェア会社の技術翻訳部のメンバー数名が独立する形で起業しました。現在の売上では編集事業や組版デザイン事業の占める割合が大きくなりましたが、元々はIT書籍の英日翻訳を中心とし、内容の検証や日本の文化に合わせた手直しを加え、組版まで行う制作会社としてスタートしました。

主なお客様は技術系の出版社で、ただ英語を日本語に訳すだけでなく、技術的な内容に踏み込み、場合によっては実機操作やコード検証まで行う翻訳サービスが高く評価されていました。

当時は千ページ級の技術書を扱う機会も多く、翻訳しながら新たなテクノロジーを学び、さらに技術知識を深めるサイクルが確立していました。実際、私が各種のプログラミング言語、開発ツール、画像/動画処理、CADの知識を得たのはこの頃です。英語の技術書を最初から最後まで読み通して学んだ経験が、その後に翻訳者やレビューアーとして活動するための大きな財産になりました。

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[画像:この頃にトップスタジオが翻訳、編集、DTPした書籍の一部]

2000年頃からローカライズ系の翻訳にシフト

IT書籍を出せば売れる時代が終わり、出版社が翻訳書の刊行点数を絞るようになったのが2000年頃です。それに伴い、トップスタジオで受注する翻訳書の数も激減したため、業務内容の転換が必要になりました。

書籍翻訳と並行して、ソフトウェアのオンラインヘルプやユーザーインターフェイスの翻訳を請け負う「ローカライズ」の業務を始めたのがこの頃です。当時の翻訳業界で事実上の標準だった翻訳支援ツールTradosを導入し、企業規模の大きい国内翻訳ベンダーから英日翻訳を受注するようになりました。

ローカライズは書籍翻訳に比べてスピードとボリュームが要求される業務ですが、技術的な内容を正確にわかりやすく翻訳する点は同じです。トップスタジオは書籍翻訳で培った技術力と表現力を活かし、正確で読みやすい翻訳を提供するベンダーとして評価を高めていきます。

2000年代半ばから国外窓口、国外ベンダーとの取引が増加

それまでは主に国内のお客様から翻訳を請け負っていましたが、お客様のプロジェクト拠点が国外に置かれ、海外のプロジェクトリーダーから直接指示を受けることが増えてきました。翻訳業務を行いつつ、仕事上のやり取りはほぼ100%日本語だったトップスタジオ翻訳部にとって、これはひとつの転換点でした。

今となっては翻訳工程のやり取りも指示書類もすべて英語という環境がすっかり当たり前になりましたが、ここでようやく、世界に目を向けたローカライズベンダーとしての第一歩を踏み出したわけです。

そして現在、読み物系コンテンツを得意とする翻訳会社に

技術力のある翻訳会社として安定した受注を続けていたものの、業界全体の翻訳単価は下がる一方でした。比較的平易な技術系コンテンツについては、機械翻訳+人の手による修正(ポストエディット)というやり方でコストを抑えようとするクライアントも増えていました。「処理量の多さや単価の安さではなく、翻訳の品質で勝負したい」と考える我々にとっては、なかなか難しい時代になっていました。

そこで力を入れるようになったのが、ブログやマーケティング資料などの読み物系コンテンツの仕事です。機械にはできない、一から日本語で書いたような自然な翻訳をしてほしいと考えるクライアントは多いものの、それを実現するのは簡単ではありません。ただ英語が読めて、日本語が書けるだけでなく、コンテンツの背景まで十分に理解したうえで、あたかも「中の人」が書いたような訳文を作らなければなりません。難易度は格段に上がりますが、クライアントに認めていただければ、一般的な技術翻訳よりは高い受注金額を期待できます。

トップスタジオは元々、技術知識に裏打ちされたわかりやすい翻訳を強みとしてきました。その姿勢は読み物系コンテンツにも通じるものです。おかげさまで、現在はマーケティング資料の翻訳にも高い評価をいただいており、このコンテンツはトップスタジオに任せたいと仰っていただく機会も増えています。安さでなく品質で選ばれる翻訳会社になりたい、という目標に近づいているのかな……と最近は思っています。

翻訳部のこれまでを駆け足で振り返ってみました。創業から20年ともなると、それなりに変遷があるものですね。これからも少しずつ記事を公開していきますので、お付き合いをいただければと思います。(佐藤)

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