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忘れないといけないと思うことほどいい経験をしている


恋愛において女は上書き保存、男は名前をつけて保存とかいうけれど、私は女だけれど後者のタイプだ。

小学生の頃に保存したディスクでは好きな人に好きと伝えられなかった思い出は残っているし、中学生の頃のディスクにははじめて付き合った彼氏に半年後にひどい思いで別れた思い出もあり、それが黒歴史となって初彼という概念は彼には適用しないと考え、高校生ではじめて付き合った彼氏と2年半青春を楽しんだ思い出がある。


どれも鮮明には覚えていないけれど、私の学生時代の恋愛で1番強く残っているのは高校生で付き合った彼だ。
私が好きになって猛烈にアタックし、引かれ、私も引いて、でもそれでも諦められなくてまた好きになったら、彼から告白してもらった。

初デートで部活後の彼が急ぎすぎて転んだことも覚えている。あのときは映画に行ったな。でも何をみたかは忘れてしまった。

誕生日もクリスマスも一緒に過ごしたということは覚えていても、なにをしたか、なにをもらったかは忘れてしまった。


この思い出は上書きされたのではなく、褪せてしまったのだ。


彼とはもう連絡をとっていないので、どこで何をしているのかはわからない。でもとてもとても大好きな人だったから、どうか幸せに過ごしていますようにとずっと願っている。別れてからもずっと。

大学の時に付き合った彼も、社会人になってから付き合った彼も、別れてからも別の道で幸せになることを祈っている。


今わたしの隣にいる配偶者である彼との思い出だって、年数が経てば忘れてしまうものもあるかもしれないけれど、一緒にいつづけられれば私たちは2人で共有ができる。


高校の時の彼とは、あの時何のプレゼントをあげたっけ?どう過ごしたっけ?と答え合わせはできないけれど、今一緒にいる人とはできる。


名前をつけて保存したディスクは、自分の頭の中で美化され続け、もうそのディスクを動かすことはできないけれど、今は新しい結婚生活のディスクが回っているから、これを動かし続けたい。


高校時代の彼のおかげで、短気な性格はマシになったし、大学時代の彼のおかげで人を思いやれるようになったし、社会人時代の彼のおかげで結婚したい相手がどんな人かわかった。


上書きしなくてよかった。全部、いまは、覚えている。
覚えているから何かあるわけではないけれど、あの時楽しかったなーって思えるから今があるわけで、だからわたしはあの時に戻りたいとは思わない。


保存されたディスクが美化されているから、それで幸せなのだ。


だから、どんな恋愛でも忘れないといけないとは思わない。


自ずと消去した恋愛の思い出もあるけれど、忘れなきゃいけないと思うくらいの恋愛ってめちゃくちゃいい恋愛をしたと思う。


名前をつけて保存はしているけれど、忘れたいくらい別れたことが辛かった恋愛は、次の恋愛が忘れさせてくれた。

今、あの時に戻りたいと思えないのは今の彼との時間が楽しくて大好きだからこそ、こんな彼と出会わせてくれて結婚までさせてくれて、今までの彼ありがとう、という感じ。


遠距離恋愛で好きだけど別れたことや、ドキドキしたくて別の人に心が移ってしまって別れたことや、結婚が考えられなくて別れたことや、いろんな別れを経験して、涙が止まらない日々があったこともあったけど、いまはとても幸せ。


あのときこの恋心を忘れたいと願った思い出がいまはとても私を支えてくれている。

だから、忘れたいと思えるくらいの経験ほど、とてもいい経験をしているのだ。
そして、これからの更なる良い経験につながる。


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