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クリストファー・ノーラン監督最新作「テネット」にハマった3つの理由

10/4、10/11視聴。
クリストファー・ノーラン監督最新作のスパイアクション。未来人が目論む第3次世界大戦による人類滅亡の危機に立ち向かう名もなき男の姿を描く。

控えめに言っても最高の映画です。

「ダークナイト」「インセプション」「インターステラー」など数々の大ヒット作を生み出してきたノーラン監督。上がりに上がったハードルを優に越えてきたことで、偉大な監督であることを改めて実感しました。本作では逆行が可能な世界で、人類を救う為に奮闘する名もなき男の奮闘を描いている。

この映画の魅力を分かりやすく3つに分けて説明します。

<ノーラン監督がこだわる"本物"の映画>
この映画には2億ドルという巨額の製作費が投じられており、飛行機爆破のシーンでは実際の航空機が使用されています。そして逆行のアクションシーンでは、映像を加工するのではなく、キャストが実際に逆行の動きを体現しています。ノーラン監督はCGやVAFを好まず、実際に撮影することでリアルを追求します。この本物にこだわった映像がまあ控えめに言ってもヤバいです。逆行と順行が交差する稀有な演出と迫力満点のアクション、そして「ブラックパンサー」で、米アカデミー賞最優秀作曲賞を受賞したルドウィッグ・グランソンが手掛けた音楽。これらが組み合わさり、アトラクションのような映像体験を経験させてくれます。本作はストーリーが非常に難解ですが、劇中で研究者が「考えるな、感じろ」と言ってた通り、頭ではなく身体で楽しむ新しい映画だと思っています。

<時間の理論に基づくSFサスペンス要素>
本作は「メメント」に近いと言われていますが、個人的には「インターステラー」によく似ていると思います。というのも「インターステラー」に引き続きキップ・ ソーンが科学考証として映画に携わっているからです。特に未来人が、あり得ないものを創り出しているという点では、5次元空間=本棚(インターステラー)、逆行=回転扉(テネット)という形で表現されているのが類似点かと。今回は"エントロピーの減少"というキーワードが、逆行の種になっていますが、この科学的な理論が"あり得なそうであり得る"というSF的高揚感を与えているのかと。もっというと未来人が創り出しているという設定が現実感を与えています。さて、時間を利用したサスペンスはノーラン監督の得意技でもあるのですが、今回着眼したのは"時間の逆行"。またしても予期せぬ所に手を出してきた感がありますが、そこは科学考証に基づいているので信憑性の高い内容になっています。では"時間の逆行"の何が面白いのか⁉︎それは完全に映像になります。この辺りは言葉で説明することは難しいのですが、順行と逆行が同じ空間にいることがとにかく新鮮。未来から迫ってくる敵とカーチェイスや格闘を繰り広げる。そして今度は自分が逆行になり、ちょっと前のシーンを未来から遡る。それをタイムマシーンみたいなドラえもんの道具を使っているのではなく、科学的根拠からリアルに描いてる。ここも"本物"にこだわっている点の1つになるが、とにかく味わったことのない新しい映像体験が、見るものを魅了しているのではないか。

<過去最大級の伏線回収>
そんなこんなで"エントロピーの減少"を説明する知識はないので省きますが、本作はノーラン過去作同様、またしても時間の謎を上手く利用されていることで、伏線の回収が凄まじいことになっているんです。時間軸で言ったら、映画の半分で終点まで辿り着きます、残り半分は過去に戻るだけなので前半の伏線回収にかかる感じになりますね(展開は「カメラを止めるな」に似ています)。個人的にノーラン監督作の1番好きなポイントは伏線の回収だったので、この点だけでも大満足です。詳しくは作品を見ていただきたいですが、まあ本作の影の主役ニールが最高すぎます。ダイエットコークを頼んだ後、あのニールの笑みには号泣。ニールのラストのセリフ「これが最高の友情の始まりであり終わりである」にも号泣。「インターステラー」が家族ドラマであって、本作は完全に友情ドラマになっています。

<最後に>
色々語りましたが、「テネット」は本当に難解な映画なので一回で理解するのはほぼ不可能です。なのに本当に面白く出来上がっているのが監督の才能であり、"見る"のではなく"体感する"を軸にするとより楽しめると思います。なので是非IMAXでの視聴をオススメしたいです。音楽も最高なので。

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