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はじめに

 ポートランドの起業家に学ぶ、等身大起業の始め方vol.4は、ポートランドの郊外で畑を営む、Able Farm PDXのミーガン・デントンさん。イギリスの経済学者の「Small is Beautiful」を大切にご自身の農園を経営しています。ミーガンさんは、畑で作物や家畜を育てるほか、畑で収穫した食材を使ったファーム・トゥー・テーブル(農園から食卓へ)の食事を提供したり、ワインのソムリエとしても活動されています。定期的に来日して日本の地方の農家とも交流を図っているそうです。

この畑は、私のキャリアの全て

 ミーガンさんのご出身は、アメリカのアトランタ。家族がレストラン経営をしていた影響で、14歳から牛乳箱の上に立ち、野菜を刻んでいたそうです。ミーガンさんは、ご自身のことを、私は農家で、シェフ、ソムリエでアーティストだ、と表現します。Able Fram PDXという会社を2009年に共同経営者の1人として立ち上げ、2011年から現在の場所で、独立して農園の経営をはじめ、食に関するイベントの運営、バンド活動など、様々なことに挑戦されています。ミーガンさんご自身のキャリアはシェフから始まりました。レストランを経営する家庭で育ったこともあり、農業に関心が向いたのは、自分の中では自然なことだったと言います。

 実は、ミーガンさん、「Small is beautiful」に加えて、コミュニティーをとても大切にされる方でもあります。何と、私もお話を聴いて驚いたのですが、日本から学び、日本のコミュニティーサポーテッドアグリカルチャー(Community-Supported Agriculture、以下CSAと記載)という考え方を取り入れた農園経営をされているそうなんです。

コミュニティーサポーテッドアグリカルチャー(CSA)とは、”消費者が農家から一定期間分の野菜を「不作のリスク」ごと前払いで購入。地域農家を支援する、消費者参加型の産直システムである。” 出典:(https://agrijournal.jp/production/35647/)

日本で生まれたはずの考え方なのに、何故か最近は欧米の方がCSAという言葉が一般化しているようで、なかなか日本のCSAの由来に関する情報が見つかりません(涙)

ミーガンさんの畑は愛が溢れている

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 私が、初めてミーガンさんの畑にお邪魔したのは、2019年6月。クーリエ・ジャポン主催のスタディーツアーがキッカケでした。本当は別の畑で昼食を頂く予定だった所、そこのシェフが急に退職してしまったとのことで、急遽、ミーガンさんの畑でファーム・トゥー・テーブルの昼食を頂くことになったのだそうです。昼食を頂く前に、一通り畑を案内して頂いたのですが、ポートランド郊外の島のような所に位置していることもあってか、本当に当たり一面に広大な緑が広がります。バスで畑に到着したのですが、どこが入口なのか、正直分からないほど(笑)ミーガンさんは、見ず知らずの私にもとても気さくな笑顔で接してくれました。家畜の豚やアヒル達に触れるミーガンさんの表情はとても優しくて、畑や家畜への愛で溢れた方だなとの印象を受けました。

 大麦畑の目の前で大麦のサラダを頂く豊かさ

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 「そっとビニールシートを移動してね。」と言われ、恐るおそるビニールシートを剥がしてみると・・・目の前には、何と藁で出来たテーブルと椅子が登場。

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(Before)

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(After)

「全部うちの畑の採れたての食材で作ったのよ。お皿は、私のパートナーが焼いたものよ。」とミーガンさんが教えてくれました。

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(ランチ)

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(前述した大麦のサラダ)

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(パートナーの方が焼かれたお皿)

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(手作りのパン)

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(フェンネルの炭火焼)

 言葉では表現しきれないのですが、どのお料理からも圧倒的な食材のエネルギーの高さのようなものを感じました。味付けはとてもシンプルなのですが、滋味深い。お料理一品一品からミーガンさんの食材への愛情が溢れ出ているのを感じながら、大切に一口ずつ味わって頂きました。ケールのサラダを口にした途端の衝撃は今でも鮮明に覚えています。私の中でこれまで、ケールは、美容に良いけど、ゴワゴワしていて苦いもの、という印象しかありませんでした。ところが、ミーガンさんの畑のケールは柔らかいふさふさとした口当たりで全く苦味がありません。今まで食べてきたケールは何だったの!?という程、ケールの印象がガラッと変わった瞬間でした。また、フェンネルの炭火焼も初めて頂いた料理で、玉ねぎのような甘みがありました。フェンネルの茎が食べられるってご存知でしたか。「食後の口直しに、瓶の中に入れてあるフェンネルの茎をかじってね。ブレスケアにもなるのよ。」とミーガンさんに言われる通り、フェンネルの茎をかじってみると、カリッと言う音と共に、少し甘くて爽やかな香りが口一杯に広がりました。食べ終わった後もまだ驚きは続きます。「私の食事にはゴミは一切ないから、食べ終わった後の生ゴミは畑のどこにでも良いから捨てちゃってね!」とミーガンさんから一言。私も含め、ツアーの参加者皆、「えっ!?」と一瞬動揺しつつも、ワクワクした気持ちで生ゴミを畑に返しました。そうなんです、ミーガンさんは、サステナブルであることにも大変配慮されている方です。地球にも、コミュニティーにも、そして自分にも優しい生き方、在り方をミーガンさんの畑から教えて頂いた気がします。「あぁ、このミーガンさんの畑での食事をもっと多くの日本人と共有したいな♡」と食事を頂きながらぼんやりと感じていました。一口頂く毎に身体の中にエネルギーが満ちていく感じ、食材に込めたミーガンさんの愛を感じ、「食事を通して、あなたはとても大切な存在なんだよ。」とミーガンさんに言われているかのようで、「このような素晴らしい食事を提供してくれて、ありがとうございます!!」と感謝の気持ちで一杯でした。ミーガンさんの畑で頂いたご飯は、私がここ10年以内に頂いたご飯の中で、最も記憶に残る食事となりました。

ミーガンさんを追いかけ、弾丸ポートランドへ

 2019年9月、初訪問から3ヶ月経たないうちに、どうしてもあのご飯が忘れられなくて、ミーガンさんともっと話してみたくて、弾丸でポートランドを再訪。「もうミーガンさんと会えればそれだけで良い。」位の想いで成田からポートランドに出発。実は、ミーガンさんの畑で過ごす1日を中心に据え、「ポートランドの起業家のライフストーリーに触れ、自分のストーリーを紡ぐ旅」というテーマで翌年の夏にスタディーツアーをやりたい、という相談をするのが再訪の目的でした。ミーガンさんの農園そして、農園で頂いた食事が本当に心震える体験だったこと、そして、ミーガンさんがこの農園を経営するまでに至ったストーリーや自分の人生を生きるということについて、是非お話を聴かせて欲しい、とストレートに想いをお伝えしました。すると、何と、「あなたのプロジェクトにどんな形であれ協力するよ。対話をすることを私もとても大事にしているの。前回、グループで来た時はお昼を食べただけで、全然交流出来なかったものね。」とミーガンさんが言って下さったのです。残念ながら、今はまだいつポートランドに心配なく訪問できるか分からない状況ですが、ミーガンさんの畑を再訪出来る日が楽しみで仕方ありません。再訪が叶ったその時には、もっとゆっくり、ミーガンさんのライフストーリー、ミーガンさんのこれからについて、お話を伺いたいと思っています。

追伸:もし、ポートランドでスモールビジネスを営んでいるユニークな起業家をご存知の方、「この方インタビューして欲しい!」などのリクエストありましたら是非コメントにて教えて下さい^^


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