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その4 美味しそうな絵本五十音

 幼い頃好きだった本の基準は、絵やお話が好きなことと同じくらい、美味しそうな食べ物や飲み物が出てくるかどうかだった。どれだけ意地汚いの、と今思うと苦笑してしまう。
 というわけでずっと前からやってみたかった”美味しそうな絵本五十音”をやってみます!児童書も可、愛着のある本という縛りで。こんなの誰が読むんだという気もするけど、自分の備忘録にします。気になる本がもしあったらぜひ眺めてみてください。

『はじめてのキャンプ』のさごはん
林明子さんの絵って本当に幸せになれる。この本は色使いが素敵で、特に夜の描写が素晴らしい。キャンプの朝ごはんって少し気だるくて寂しくて美味しい。

『赤毛のアン』のちご水
赤毛のアン、実は未読なのだけど、このイチゴ水の存在だけはなぜか昔から知っていたので入れました。確か植物の図鑑に載っていた。キイチゴのジュース、綺麗で美味しいだろうな。サイダーで割りたい。

さこちゃんのたんじょうび』
うさこちゃんの絵は年代で変わっていくけどこの頃が好き。食べ物の描写はほぼ出てこないけど、この本にはテーブルセッティング(たぶん)が出てきます。ブルーナのポスターなども凄くお洒落。ユトレヒト行ってみたい。

『はれときどきぶた』のんぴつのてんぷら
絶対に美味しくないはずなのに昔から美味しそうだなあとよだれを垂らしてた。鉛筆の天ぷら、ばりばり食べたい。

『めっきらもっきらどおんどん』のもちのなる木
お化けたちと食べるあまくてふうわりしたお餅。どんど焼きのお餅は苦手だったけど、これは美味しいだろうな。この本を読むたび泣けてしまう。ノスタルジーや儚さにも、日本語のやわらかさにも。

『五味太郎ポスター絵本』のレー
色々なポスターが載っている面白い本。カレーを畑を耕すところからつくる過程が描かれたポスター、とても好きだった。五味さんの絵本はどれも大好きだけどこれが一番かも。以前、都内の某文房具屋でご本人をお見かけして大興奮しました。

『モモちゃんとアカネちゃん』のんぎょ水
松谷みよ子さんのモモちゃんシリーズ、全巻家にあってよく読んでました。ちょっと哀しくて恐ろしくて今読んだらどう思うだろう。モモちゃんちの猫のプーが、金魚が泳いでいる水は美味しいって言っていて、絶対に美味しくないだろうにいいなあと思っていた。

『おまたせクッキー』のッキー
絵から察するに多分チョコチップクッキー。外国の絵本にクッキーはよく出てくるけれど、これは格別美味しそう。みんなで分け合うから尚更(独り占めできないという意味で)。一枚を大切に食べる気持ちって忘れてしまうな。

『やかまし村の子どもたち』のーキ
スウェーデンの作家、リンドグレーンの本はピッピよりこっちをよく読んでいて、こんな村に住みたいと思っていた。「お盆の上には、ココアの入った茶碗と、花をさした花びん、それに、さとうをかけ、ほしブドウを入れた大きいケーキがのっていました」

『11ぴきのねことあほうどり』のロッケ
ねこたちがつくるコロッケが美味しそうでたまらなかったのはわたしだけではないのでは……。コロッケって自分でつくると大変なのにお肉屋さんで80円とかで売っているコロッケの足元にも及ばなくてつくる気なくします。

『いやいやえん』のかな
「くじらとり」というお話に「さかなをやいて、がすでやいてたべよう」というシーンが出てくる。字面だけで美味しそうだった。このお話はジブリ美術館でも放映されていました。

『長靴下のピッピ』のンジャークッキー
ピッピの実写版のドラマ?映画?も好きでよく観ていた。大人になってようやくジンジャークッキーを美味しいと思えるようになりました。

『14ひきのあさごはん』のきのこのープ
このあさごはんも、ひっこしのゆうごはんも、ゆきのひのおまんじゅうも、ピクニックのおにぎりも本当に美味しそう。見返しに描かれた家の断面図もたまらん。

ンダック『こぐまのくまくん』のニンジンスープ
「せ」のつく食べ物が見つからなかったので無理矢理……。くまくんが愛らしくてたまらない。センダックの『まよなかのだいどころ』も美味しそう。

『はらぺこあおむし』のーセージ
たらふく食べたあおむしはおなかが痛くなって泣くんだけど、なに贅沢なこと言ってるの、と意地汚いこどものわたしは思っていました。

『ライオンと魔女』のーキッシュ・ディライト
「プリン」と意訳された有名なお菓子。プッチンプリン的なものをエドマンドが食べたんだとずっと思い込んでいたし章題にもなっているから、このエピソードに触れるたびちょっと裏切られた気持ちになる。ひねた登場人物は好きだけど、エドマンドにはさすがに苛ついていました。

『チョコレート戦争』のョコレートのお城
60年代に書かれた物語だけど、今読んでもよくできていて面白い。出てくる洋菓子が本当に美味しそうで、これ読むとエクレア食べたくなるのはわたしだけじゃないと思う。

『おつきさまってどんなあじ』の
月をかじってみたいネズミの可愛いお話。月の質感が素敵。『つきのぼうや』も凄く好きだったな。『おやすみなさいおつきさま』も。

『おばけのてんぷら』のんぷら
天ぷらってもう字から美味しそうでずるい。うさこは卵を入れているけど、わたしの場合は入れなくなったら失敗がなくなりました。せなけいこ展で見たちぎり絵の原本、繊細で素晴らしかったです。

『バムとケロ』のーナツ
何かと出てくるドーナツ、すごく美味しそう。バムたちはすぐおやつにしたり、朝ごはんからしっかり食べたり食に貪欲なところがいい。作者のしまだゆかさんがカナダ在住だからか、外国の匂いがしてそこも好き。

『くだもの』の
定番の名作。ページめくっては食べる真似するの、小学生ぐらいまでやっていた記憶があって、今思うとてもやばい。でもどれも瑞々しくて手を伸ばしたくなるような絵です。果物はしあわせのかたまりだ。

『魔女の宅急便』のくだんご
アニメ版のごはんはどれも美味しそうだけど、原作には食べ物の描写はあんまりでてこない。パズーの肉団子も美味しそうで好きだなあ。林明子さんの挿絵も凄く素敵で、アニメのキキより大人びていて可愛い。

『フランシスのたんじょうび』のガー
フランシスが妹グローリアの誕生日にあげようか迷っている「チョムポ」というお菓子。「チョムポは、まんなかがヌガーで、そのまわりにやわらかいキャラメルがあって、そのそとがわがナッツのはいったチョコレートになっているんだよ。もしかしたらグローリアははんぶんしかたべられないかもしれないね。」

『パイがふたつあったおはなし』のズミのパイ
ピーターラビットの絵本の中で一番好きなお話。他の話もそうだけど、シニカルで残酷で美しくて最高。ネコのリビーが焼くネズミのパイ、想像するとぞっとするけど、作中だと本当に美味しそう。

『へなそうる』のりとたらこのおにぎり
お母さんがてつたくんとみつやくんに持たせるごはんやおやつが美味しそうで文面も暗記気味。「いちごをとんとんとうすくきって、それに、はちみつをとろとろとろっとかけたのを、パンにはさんで」つくってくれるサンドイッチも美味しいだろうなあ。

『ぐりとぐらのえんそく』のンバーガー
あのカステラが有名だけど、遠足に持っていくおひるごはんも美味しそう。山脇百合子さんの絵も食べ物の絵が素敵。

『いのしし親子のイタリア旅行』のソーセージの
超愛読書。作者は『エルマーのぼうけん』の訳者で『へなそうる』の作者わたなべしげおさん。ご自身の体験なのかな。家族のやりとりも笑えて楽しいけど、料理の描写がひたすらいい。大人になって読むと、あ、これラザニアのことだ、とかバジリコってバジルのことだったんだなとか色々発見もある(食べ物ばっかり)。差別的な表現が気になる部分もあるけれど、物語に関してはその時代の記録なのだと思っています。

『もものき なしのき プラムのき』のラムパイ
三匹のくまとかシンデレラとか有名な話の登場人物を探しながら、最後にみんなでプラムパイを食べるお話。絵もとても美しくて、これぞ古き良き絵本という感じ。

『さむがりやのサンタ』のーコン
本当に好きな絵本。全然優しくなくてひねくれたサンタのお話としても新鮮なのだけど、おじいちゃんが丁寧に料理や家事をしながら独り暮らしを楽しんでいるのが素敵だし凄く励まされる。

『ちびくろさんぼ』のットケーキ
二つ目に入っている話のお肉も美味しそう。色々あった絵本だけれど、絵は今見ても凄くお洒落だしとても愛着があります。

『三枚のお札』のめのおもち
和尚さんがやまんばと対決して、豆にしておもちに入れて食べちゃう。母のお話を聴きながらいつも美味しそうと思っていた(やまんばすら食べたい)。昔話は3がキーワードといわれるけれどなぜなんだろう。

『ジャムつきパンとフランシス』のートボールスパゲティ
「妹のいる姉」の厄介さはフランシスが一番体現してくれていて、幼い頃強い味方でした(トトロのサツキちゃんとかは非現実的な良い子ぶりで敵の中の敵)。意地悪で妄想癖があって頑固で、でも寂しがり屋で。この本はまるごと美味しそうです。

ーミンママのサンドウィッチ
ムーミンシリーズ、小学生の頃図書館で何度もチャレンジしたけれどどれも断片的な記憶しかない。でもムーミンママが何かしら美味しそうなものをつくっているところだけは覚えてます。

ちびっこ吸血鬼のだま焼き
主人公アントンが食べる目玉焼きやフライドポテトやソーセージがおいしそうだった。なんで外国の子はレストランで食べるようなものを日常に食べているんだろう、とひじきの煮物食べながら思っていました。

『エルマーのぼうけん』のもいろのぼうつきキャンディー
エルマーも食べ物や、持ち物を準備するところが本当に魅力的。言葉運びも凄く好き。『16ぴきのりゅう』の、「ワゴンさんは、かたゆでの、それもとてもかたゆでのたまごがすきだったので」なんて普通書けない。

『おおきなおおきなおいも』のきいも
シュールな本だけど大好きで飽きずに読んでいた。大学芋も美味しそう。絵は『スーホの白い馬』の赤羽末吉さん。

『くまちゃんのいちにち』のうごはん
かこさとしさんの描く食べ物も本当に美味しそうだけど、この本は特に好きだった。ゆうごはんでお父さんがお刺身食べてるのに息子はカレー食べてるしパスタもとんかつも並んでいて、羨ましいけど食材も台所もどうなってるのと子どもながらに思っていた。言葉の勉強の本だから仕方ないのだけど。

『うきわねこ』のるの魚釣り
大人になって読んだ本。柔らかい絵が心地いいしネコのえびおが愛くるしい。魚を焼いて食べるシーンが凄く美味しそうなのだけど、焼き魚ってお話の中だとなんであんなに魅力的なんだろう?

『ジャムつきパンとフランシス』のイむぎパンのサンドイッチ
思いつかなくて2回目のジャムつきパン。フランシスのボーイフレンド、アルバートが学校に持ってくるお弁当「ライむぎパンに、クリームチーズときゅうりとトマトのサンドイッチ」を食べる様子が事細かに描かれていて、こんな絵本ほかにないと思う。アルバートは懐が深くて素敵な男の子。

『バーバパパのジュースづくり』のンゴのジュース
バーバパパシリーズの中でこれが一番好きだった。地下にジュースをためるシステムとか楽し過ぎる。バーバパパは作者ご夫婦の奥さんが建築士だったので、断面図や家の描写が凄く楽しい。

『ハリー・ポッター』のバタービー
原作は2冊しか読んでいないけど一応……。実在する飲み物だそう。お酒にバターを入れるってどういう発想なのか。アメリカのドラマで出てくるルートビアもどんな味か気になっているけどハーブが強くてきつそう。

『ねえさんといもうと』のモネード
レモネードってどんな味がするんだろうと子ども心に必死に想像していたので、今もレモネードが好きです。こんな愛らしい姉妹にはなれないな、と思いながら読んでいた。酒井駒子さんが絵を描かれたバージョンも読んでみたい。

『たんじょうび』のウソクがたったケーキ
愛するおばあちゃんのために動物たちが苦心してお誕生日のお祝いの準備をするお話。『こねこのぴっち』のハンス・フィッシャー、のたうちまわるような線画が本当に素敵。

『きかんしゃホブ・ノブ』のたあめ
機関車に乗って動物たちが遊園地に行くだけのお話なのだけど、そこで動物たちがわたあめ食べたりラムネ飲んだりするのが美味しそうで。小さな遊園地、素朴な美しい絵に今も変わらず満たされます。

「を」「ん」はなしで!
よく、お話の中の料理を再現している本や記事があってそれを眺めるのも楽しいけど、何となく本の中で完結していたかったりもする。文字や絵、あの頃の渇望も含めて美味しそう、なのでした。

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