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「風俗」で受かる!画期的大学受験術

カルピスソーダってうまいよね

 

 わかるわかる。青春の味って感じだよね。部活が終わった後、シーブリーズとかエイトフォーとかをペタペタ、シューシューして、体育館横の自販機とか帰り道のコンビニで腰に手をあててガブガブ飲むんだよね。涙が出るほどうまいよね。
 
 それで、向こうから同じクラスのC子がたまたま歩いてくるんだよね。君は声をかけるのかな?それとも、気づかないふりをしてスマホをいじりだすのかな?
 
 俺たち男って汗はベトベトで酸っぱい匂いがするだけなのに、女の子っていくら汗かいてもいい匂いがするんだよな。なんでだろ。

 呆然とC子を陰から見送ったあと、手に持ってたカルピスソーダのことを思い出す。もうぬるくなってて、慌てて全部飲み干して、モヤモヤしながらチャリこいで家に帰るんでしょ?わかる。
 
 君は家に帰って勉強机に向かう。カバンからシステム英単語を取り出してパラパラめくる。ちっとも頭に入ってこない。C子の後ろ姿と残り香が目の網膜と鼻の粘膜にこびりついているからだ。

 ずっと片思いだった。告白する勇気はない。というよりそもそもする気もなかった。別に自分が特別ブサイクだとは思ってはいない。あるいは、鏡に映る自分のニキビ面に意気消沈している。どっちでもいいや。そもそも君が可愛いと思うC子は他の男子も可愛いと思ってる。倍率が高い。

 そんなわけで君は1年間、2年間、3年間、無料の動画サイトで「おかず」を探して、画面の女と脳裏のC子を交互に犯して、自分を慰めてきた。あっという間に受験学年。受験まで残り300日。理想的な高校生活のイデアには程遠い生活を送ってきた。やる気でねえ。

もうカルピスソーダ飲まねえ

 君が親から小遣いをもらってるのか、バイトをしてるのかはわからん。だけど毎日カルピスソーダを一本100円で買う程度の金は常に確保できていると仮定しよう。カルピスソーダは受験が終わるまで御預けだ。その代わり、貯金箱に300日間、毎日100円を入れていくんだ。

 300日後、つまり受験本番を終えた後、君は風俗に行く。30000円を握りしめて。

 さあ、今すぐ勉強をしよう。勉強法なんてものはない。”勉強法”と検索すれば無限にヒットするのがその逆説的な証拠だ。ただ一つアドバイスするとしたら、

    「参考書の問題数かページ数を残り日数で割れ」
 
 これだけです。この意味がわからなかった君は多分、数学というより算数が苦手だから、小学校の教科書からやり直そう!

検索者になろう 

 君が今までSNSやYouTubeに割いていた時間を、○○に使おう。さて問題。○○に何が入るでしょう?”勉強”と答えた君。鬱病になるよ?答えは”風俗検索”だ。勉強と同時並行で300日後に会う運命の女の子を見つけ出さなければならない。”君が住んでいる地域名”+”風俗”で検索してみてごらん。ど田舎に住んでいるなら隣町の名前でもいい。たくさん出てきたね。タップする。

「あなたは18歳以上ですか?はい/いいえ」

 いいえを押した君。君は嘘をつくことが苦手だから、哲学科に入ってイマヌエル・カントを研究しよう。ここまで読んだ君はそんな子ではないと俺は思ってる。はい、を押すと色んな女の子の写真が出てくるよ。それぞれのプロフィールや写メ日記を丹念に精読しよう。貯めた30000円で君は彼女らの体を触ったり舐めたりする権限が与えられるんだ。
 なんだかやる気がでてきたよね。さあ、勉強しよう!

受験は個人戦 

 君はこの画期的勉強法を知って、親友に話したくなる。親友は目を輝かせて君の話を聞いてくれる。ノリノリになっているのがわかる。「めっちゃええやん!受験終わったら一緒に風俗いこうぜ!」と。
 
 アウトだ。なぜなら、この日を境に君の勉強時間が友人との風俗検索の時間になり、風俗嬢の品評会の時間になってしまうからだ。これでは本末転倒だ。本来の目的を思い出してくれ。友人と鼻の下を伸ばすことだったか?違う。受験に合格することだ。いや、風俗に行くことだ!君は今日から孤高の風俗受験生なのだ!

受験お疲れ!さあ、行くぞ!

 大学合格おめでとう!君は今日までチン〇を羅針盤にして、勉強を頑張ってきた。えらい!そして、念入りに風俗店を調べた結果、「爆乳イチャイチャ学園(デリヘル)」の、しずくちゃん(Gカップ)に会うことを決意した。手元にはぎっしり100円玉が300枚。って、君はアホなのか?普通に考えてごらん。1円玉だけで君はおにぎりを買う勇気があるのか?
 
 まず、銀行に行って両替をしてもらおう。どうせ大学に入ったら自分の通帳が必要になるんだから、ついでに作ってもいい。
 

 準備ができたら、その震える手でお店に電話だ。君は300日間も店のホームページと向かい合ってきたんだから、電話番号まで覚えているかもしれない。

「はい、爆乳イチャイチャ学園です」
「あああ、ああ、あの、す、すみません、し、しずくちゃん、よ、やや、予約で、できま、ますか?」
「しずくさんですね。本日20時から出勤となっております。お時間の方はいかがなさいますか?」
「あ、あ、じゃ、じゃあ、きゅ、きゅう、きゅ、90分こ、こーすで、あ、あ、20時から、か、からで」
「かしこまりました。ホテルの方はお決まりですか?」
「は、は、いいいい、こ、く、国道沿いのトロピカルロータスで、で」
「かしこまりました。ホテルのお部屋にご到着の際こちらにもう一度お電話いただけますでしょうか?それから、お名前をお伺いしても?」
「は、はいいい、た、た、た、たな、たなかです」
「ありがとうございます。それでは、田中様、20時から、しずくさん、90分コース、料金の方は22000円、ホテルはトロピカルロータスでご予約承りました」
「あ、あ、あ、ああ、ありがとうございます」

 えらいぞ。君はホテル代が別であることも調べ上げた末に、90分コースにしたんだね。おいおいどうした?なぜ泣いているんだ?たしかに君の声は震えていたし、聞き取りにくかった。だけど、気にしなくてもいい。次に予約するときはきっとハキハキ喋れるはずだよ。

3月の風は冷たい

 隣町のホテルの最寄り駅まで、君は電車で行くことにした。緊張からか、唇がパサつく。手足もしびれている気がする。それでも駅のホームに立って電車を待つ。ふと、反対側のホームを見るとC子と男が手をつないで立っている。だけど、君は知ってしまった。世の中にはたくさんの女がいるということを。カルピスソーダと引き換えに女を抱けるということを。電車が来る。C子は君に気づかない。扉が開く。君は乗り込む。


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