なぜ今、世界のビジネスリーダーは東洋思想を学ぶのか

今回はビジネス書「なぜ今、世界のビジネスリーダーは東洋思想を学ぶのか」についてまとめていきたいと思います。

■大転換期

現在、世界は大きな転換期を迎えようとしています。それはなぜか。「経済」「文明」それぞれのサイクルにおいて、どちらも転換期を迎えているためです。
経済のサイクルは30〜50年、1つのサイクルで「成長期」「安定期」「転換期」という循環になっています。日本の場合、戦後からオイルショックまでが成長期、オイルショックから2000年越えたまでが安定期、2003年くらいからが転換期と言えます。経済のサイクルで言うと、現在はまさに転換期。
文明のサイクルは150〜200年と言われており、直近の転換期は明治初期の近代国家の誕生と言われています。

現在、経済のサイクルにおいては、様々なイノベーションが起こっています。量子コンピュータ、AI、ロボティクス、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、ネットワーク、センサー、3Dプリンティング、AR、VR、ブロックチェーン等です。

文明のサイクルにおいては、近代国家で中心の考え方は西洋思想です。西洋思想を基とした、法体系・政治制度・経済システムが近代国家の条件となっています。きちんとした方が整備され、民主主義等近代的な政治制度が整っており、その上で活発な活動ができる経済システムが成り立っていること、この条件を満たす必要があります。
ただ、現代において、西洋思想に基づいたシステムが制度疲労を起こしており、転換期を迎えています。

現代は、「経済の転換」「文明の転換」が同時に起きている、まさに大転換期。具体的にどういったパラダイムシフトが起きるのか、具体的に解説していきます。

■西洋思想と東洋思想

具体的なパラダイムシフトを解説する前に、西洋思想と東洋思想の考え方についてまとめていきたいと思います。

現代のライフスタイルは、働き方、会社のあり方、法律、政治、経済の様式まで、あらゆるものが近代西洋思想、近代西洋文明に則って作られています。150〜200年ほど前に、中世ヨーロッパ社会が終焉を迎え、産業革命が起こり、近代が始まっています。

現在、近代西洋文明をベースとしたパラダイムが、破綻し始めています。パラダイムが揺らぎ始めた中、揺り戻しのように世界中で見直されているのが東洋思想です。

西洋と東洋を比較すると、西洋は「外側にある真理に迫っていく」東洋は「自分の中にある仏性、神的性に迫っていく」という真理探究の方式となっています。西洋は外側の普遍性、外側にある対象に向かう東洋は内側の精神性、内側にある対象に向かう

「東洋は「精神」領域に長けているので、そこに資する知見を提供すべきであり、西洋は「技術」において一日の長がある。」という表現があるように、今後パラダイムシフトが起きる中で、重要なのは「西洋と東洋の知の融合」です。

■7つのパラダイムシフト

1、「機械的数字論」から「人間論的生命論」へ

時代は、常に「前の時代の弊害を乗り越える」という形で変化していきます。中世ヨーロッパにおける最大の弊害は、キリスト教教会派が全ての価値を決め、支配するという「客観性の欠如」です。それを乗り越えるために必要とされたのが客観性、すなわち科学や数字が世の中を席巻する時代です。客観性に基づく価値基準、これが「機械的数字論」です。

高度経済成長期のような、経済が右肩上がりで成長し、社会全体が豊かになっていく時代であれば、機械的に数字を追いかけることが豊かさに結びついていたため、十分生きていくことができました。
ただ、現在は右肩上がりに経済が成長しているわけではなく、機械的に数字を追っていても一方に豊かにはなりません。

そこで今、人々が求めているのが、「もっと人間的に」「もっと楽しく」という東洋的思想です。働き方においても、「給料が上がる」「昇進する」ということがモチベーションに繋がりづらくなってきています。より人間的な部分に働きかけ、「楽しさ」「やりがい」「意欲」を引き出すためのアプローチが必要になっています。「楽しいこと」「ワクワクすること」を最重要な価値と考えることで「イノベーションが生まれる」という考え方にシフトしていっています。

2、「結果主義」から「プロセス主義」へ

結果主義とは、「頑張れば結果が出る」「結果よければ全てよし」という考えで成り立っています。裏を返せば、「結果(報酬)を得るために、プロセスが犠牲になるのは仕方ない」というマインドです。

高度経済成長期であれば、この考え方で結果が出て、社会が豊かになっていきました。現代はどうでしょうか。多くの人が「頑張りに対するリターン」に満足できていません。ここがパラダイムが起きている要因です。

現代において、求められているのは「今を大事にする」という発想です。「今自分は楽しいのか」「今自分はワクワクしているのか」という考えが主流になりつつあります。

3、「技術・能力偏重」から「人間性重視」へ

大きな転換期を迎えている現在、技術や能力が無力化・陳腐化するスピードが早くなっていっています。ですので、「技術や能力」ではなく「人間性」を重視する方向にシフトしていっています。
「人間的な魅力に溢れた人」「一緒に楽しさを共有できる人」と一緒に働きたいという考えに変わってきています。
そのため、企業や組織のトップに「徳がない」というのは大きなビジネスリスクになってきています。

4、「見える世界、データ主義」から「見えない世界、直感主義」へ

成長期や安定期であれば、過去からの分析によるアプローチで成果が出ると考えられますが、転換期においては過去は通用しなくなってきます。転換期において、重要度が増しているのが、「見えない世界」であり「直感」です。

現代はいい意味でも悪い意味でも「先が見えない世の中」です。
東洋における「見えないものにこそ、価値がある」、「見えないもの」「わからないもの」を「そのまま感じ取ることが大事」という思想です。

5、「外側志向」から「内側志向」へ

ここまでのパラダイムシフトをまとめると、「外側志向から内側志向への変化」と置き換えられます。
現代は「業績」「立場」「評価」を追いかけ、「いい会社に入る」「お金を稼ぐ」「上司に評価される」「贅沢な暮らしをする」ということを目指していましたが、これは全て自分の外側にあることです。

これからの時代、重視されてきているのは、「自分がワクワクできるか」「やりがいを持てるか」「自分を成長させられるか」という「内的価値」です。最近流行っているマインドフルネスは内的志向と言えます。

見栄や出世ではなく、内的な自分が「本当に幸せなのか」という「客観から主観へ」と重心が動いています。

6、「細分化・専門化型アプローチ」から「包括的アプローチ」へ

転換期においては、「選択と集中」は非常にリスキーな考え方です。イノベーションが起こるスピードは非常に早く、明日には全く異なる価値観が生まれるような世界において、「細分化型アプローチ」ではなく、もっと広い視野で物事を捉える「包括的アプローチ」が必要となってきます。

キャリアにおいても、同じ企業・業種・職種で働いていく「直線的キャリア」から様々なことを経験していく「螺旋型キャリア」が求められる時代に変わってきています。

7、「自他分離・主客分離」から「自他非分離・主客非分離」へ

「自分は自分、他人は他人」という「自他分離」の発想は西洋思想です。近代社会において、「自他分離」という考え方に突き進んでいましたが、前時代の「仕事は仕事、プライベートはプライベート」という割り切り方では社員のモチベーションは高まらないという発想に変わってきています。

自他非分離の考え方が進んでいるのは、シリコンバレーです。他者や他社と積極的に情報共有・技術協力をし、より早くイノベーションを起こすというアプローチであり、戦略です。現代は「情報や技術、リソース」を囲い込むより、共有する方が有利な時代になっていっています。
モノの「所有」から「シェア」に移り変わってきているのも、広い意味で「自他非分離」と言えます。

「主客分離から主客非分離へ」という動きも加速しています。「主客」とは「主人と客」、「主なもの」と「それに付随するもの」という意味です。現代はその境界線が曖昧になっています。

「店員と客」「上司と部下」「発信者と受信者」に関して、明確な区分がなくなりつつあります。メルカリやSNS等でその垣根はどんどんなくなりつつあります。

■経済と文明のパラダイムシフト

7つのパラダイムシフトに共通するのは、西洋的近代国家思想に基づいた法体系、政治制度、経済システムによる弊害からの脱却です。
「経済の転換」と「文明の転換」が重なり、「大きな曲がり角」の時代を迎えています。
そんな現代において、「外側に迫っていく西洋思想」と「内側に迫っていく東洋思想」の融合が求められています。

■最後に

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
読んでいただきましたら、ぜひ「いいね」を頂けると泣いて喜びます。
今後のモチベーションに繋がりますので、ありがたいです。
また、次回以降のコンテンツ作成の参考にさせていただきたいので、感想等コメントいただけたら幸いです。
まだまだ未熟者ですが、お付き合いいただけましたら、嬉しく思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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