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折津素掘りトンネルの黒

養老渓谷駅を超えて、白鳥へと向かう道のりは、素掘りトンネル。つまり、人の手で掘ったというトンネルのことであります。一つ一つの形の違い、特に動きだしそうな生物感ある壁面はそれぞれ味があり、おっかない。それゆえか、真ん中まで進んだときの緊張感は「食われる」かもしれない。

松原東洋が辿り着いたのはすっかり日が落ちきった頃。ここに街灯は無い。さらに大雨。トンネルの中に入ると、ただでさえ不安定な床はぬかるみ、足音の不思議な反響音が闇の世界に飲み込むよう。写真はカメラマンに撮ってもらったが、それでも闇の黒の力が強いことがわかる。

3キロほどの闇トンネルの道のり、黒との体験は貴重なものだった。

雨はさらに強くなるが、もうすぐ月出工舎に辿り着く。

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