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『転職の思考法』を読んで

こんにちは、21卒の東大生のとんびです。

今回は『転職の思考法』(北野唯我著、ダイヤモンド社)を読んでみた感想です。

読むきっかけ

就活サイトのワンキャリアでキャリア相談などの記事を書かれている北野さんの本だと知り、興味を持ったからです。

Amazonのレビューを見ると評価総数475の星4.5でした。レビューの中で、「社会人になる時点で読みたかった」、「働いたことがない就活生にも読んでほしい一冊」とあったので、購入しました。

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要約

第1章
・マーケットバリューは技術資産(専門性と経験)、人的資産(人脈)、業界の生産性で決まり、業界の生産性に最も影響される
・キャリアは20代は専門性、30代は経験、40代は人脈が重要
・伸びている業界で働いたことがあるだけでバリューは高まる

マーケットバリューとは、市場価値のことで、技術資産×人的資産×業界の生産性によって表されます。
技術資産とは、どんな会社からも必要とされる高い技術力のことです。
人的資産とは、どんな人間とも仲良くなれ可愛がられる力を指します。
生産性が高い業界とは、とくに才能がなくても、安定して高い給与をもらい続けられる業界のことです。

第2章
・消去法で会社に残っている人間に、いい仕事はできない
第3章
・すでに給料が高い成熟企業と、今の給料は低いけど今後自分のマーケットバリューが高まる企業では、後者を取れ
・日本の悪いところは、マーケットバリューと給料のギャップがあることを40代後半まで誰も教えてくれないところ
・マーケットバリューと給料は長期的には必ず一致する(高すぎる給料をもらっている人材はほぼ確実に減給か、肩叩きにあう)
第4章
・給料が低くてもウェディング業界や美容師などに希望者が絶えないのは、仕事にクリエイティブな要素があり、やりがいを感じやすいから。逆に定型的な事務仕事は一般的に人気がなく、正社員の場合ウェディング業界などより給料が高いのは、高給じゃないと誰もやらないから
・多くの人にとって心からやりたいことは必要ない、ある程度やりたいことは必ず見つかる
・選択が失敗かどうかは事後的にしか分からない、覚悟を決めるべきときに覚悟を決められないことが失敗につながる

感想

業界の生産性が最もマーケットバリューの中で重要で、生産性が高い業界は給料も高いことは当たり前のように思えて大事なことだと思いました。上中下でいうと、給料水準が元々上の業界では、仕事ができなくても上の下です。逆に、元々下の業界では、いくらがんばっても下の上までしかいけないということです。

また、日本の会社は、20代ではジョブローテーションを行うことが多いと思いますが、この本では20代で専門性を身に付けてから30代で経験を積むことを説いています。結婚出産で一時的に家庭に専念する女性にとって、専門性を早くから身に付けることがスムーズな復帰につながるという意見は説得力がありました。男性にとっても、専門性を早くから身に付けるデメリットは無いと思いました。

マーケットバリューと給料のギャップがあることを40代後半まで誰も教えてくれないという点は、金融業界の大量の人員削減が暗示しているような気がします。今や早期・希望退職の増加は金融業界だけの問題ではありません。

東京商工リサーチの記事によると、「2019年1-12月に早期・希望退職者を募集した上場企業は延べ36社、対象人数は1万1,351人に達した。社数、人数は2014年以降の年間実績を上回り、過去5年間では最多を更新した」そうです。

(2019年(1-12月) 上場企業「早期・希望退職」実施状況ー東京商工リサーチ、公開日付:2020年1月15日)

「私はすべての働く人が『いつでも転職できる』という交渉のカードを持てたとしたら、この国は変わると本気で信じています」というメッセージは、終身雇用が崩壊しつつある今、説得力がありました。

まとめ

物語形式になっていて読みやすかったです。タイトルは「転職」が前面に押し出されていますが、全ての社会人、これから働く人にとって有用な考え方を知ることができます。この本で言われているように、転職が当たり前の社会になれば、会社、社員の双方にプラスになるだろうと思いました。