分かったようなマネ
「わたし、視覚障害者の見ている世界を絵に描きたい」
そう思い、高田馬場にある。視覚障害者用の図書館に行こうと決めていた。
そこで誰かと友達になって、その人の世界を描きたかった。そこで売っている視覚障害者用の便利用品も描くヒントになると思った。
色は、暖色と寒色があるように温度や、質感、音の高さで近い色を一緒に追求したい。
手触りで判断するなら、絵の具にモデリングペーストを持って凸凹を感じてもらおう。
そう、ワクワクさせていた。
でも、その人の見える世界を描くって、
違うんじゃないか。と思い始めた。
代弁者になるような錯覚に陥ったが、
もし、わたしの目が見えなくて、知らない人がひょんとやってきて
「ともよさんの見えてる世界はこれです」
なんて、いきなり決められたら。困惑する。
家族のように何年も何年も付き合ってる人でもない他人が「少し話しただけで、それが全てだと分かったかのような」事を言われたら嫌だ。
そう思った私は、ひとまずこの計画をやめた。
でも昨日
白杖をついて女の人に誘導されている男性をみた。
背の高い彼の手は、案内する人の肩と杖を頼りに、少し上を向きながら歩いていた。
2本の足以外、介助者の肩に乗せてる手、白杖の4足歩行で、
わたしは少し人より高い空を見ているように見えた。
高い高い青い空をわたしは眺めた。
もしかして濃いめ青をみているのかな。わたしの勝手な解釈だけど、歩いていて気持ちがいい世界だったらいいな。と思った。
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