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Wattpad /マーケティングトレースnote100本ノック91/100本目

こんにちは!今回はWattpadという小説プラットフォームです。

Wattpadは自らを「電子書籍向けYouTube」と呼び、プロの作家だけでなく、アマチュアや初心者などのあらゆる層がサービスを利用し有名になることができるプラットフォームです。また現在Wattpadは毎月250,000以上の新しい小説がアップロードされています。

■概要

【企業名・サービス名】
Wattpad Corp. Wattpad
【リリース】
2006年
【説明】
作家のための小説投稿プラットフォーム。現在、4億を超える作品が投稿されており、ファンフィクション(アイドルとの架空の恋愛小説)、詩、スピリチュアル、ギャグ、LGBT、ヤングアダルトなど様々なジャンルのコンテンツを読むことができる。そのコンテンツの77%は英語で書かれているが、50言語に対応しており数は少ないが日本語の小説もある。
ユーザー数は8000万人を超え、90%が読者で10%が作家。読者ユーザーの平均滞在時間は約30分。
作家のほとんどは無給だが、一部の作家は物語の合間に広告を挿入して収益を得る他、企業から来る依頼を元にスポンサー付きの小説を執筆して収益を得る作家もいる。わずかではあるがWattpadでヒットした小説を生み出した作家は正式に書籍として出版した事例もある。

■STP分析

Segmentation

人口動態:30歳以下の女性が多い

地域性:
英語圏を中心に50言語に対応

嗜好性:
[作家]
空き時間に趣味として小説を書く

行動特性:
[作家]
暇つぶしの手段として文章(ブログなど)を書く習慣がある。
元々個人ブログで小説を書いていた経験がある。
[読者]
モバイルで本を読むことに抵抗があまりない。Kindleも利用していることが多い。自分の読みたい本を手軽に読み始めることを好む。

Targeting

嗜好性を軸に初期のターゲットを考えてみる。
[作家]
個人ブログなどで、アイドルとの架空の恋愛小説やホラーの体験談などを書いているがあまり読者がついてない人。
[読者]
書籍ではなかなか読めないニッチなジャンルの小説を求める人。その中でもアイドルが好きでアイドルとの恋愛を憧れている人が初期の読者層のターゲット。

Positioning

小説が読めるツールでポジショニングマップを作成した。

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まず横軸の双方向と単方向について説明すると、
kindleなどは既に完成した(発売された)小説を読者が読むのに対して、Wattpadは1段落ごとに(未完成の)小説が更新されていく仕組みである。そして更新されていく小説に対して読者がコメント機能を利用して作家にフィードバックをし、それを参考に作家が物語の次の展開を考案していく。その点でWattpadは読者と作家とで双方向なコミュニケーションが取れるサービスであるとした。

また、縦軸はkindleが既に書籍化された作品であるのに対して、Wattpadはアマチュア作家(「将来出版したい!」とか「とりあえず書いてみた」など)が小説を書いて投稿することができる。

■初期グロース戦略

【施策1】著作権フリーコンテンツ→ニッチコンテンツ

サービスをリリースした2006年は、携帯電話が主流であった。当時開発した携帯電話用アプリにユーザーを集客するために、数千に及ぶパブリックドメイン(著作権フリー)の小説を集めてWattpadに掲載した。

結果的に1年後にはWattpadで小説を読むユーザーは1,000人になった。だが収益面では伸び悩み、サービスの収益は年間を通して広告の$2であったため、サービスを閉鎖することも考えた。しかしパブリックドメインのコンテンツを集めただけで損はしていない他、小説を書いてくれる作家を集めることができればさらにユーザーは増えるのではないかと前向きに捉え、事業を継続することにした。

そしてiPhone登場の翌年の2008年にAppstoreが誕生し、Wattpadはモバイルアプリをリリース。モバイルアプリにはパブリックドメインのコンテンツ以外のコンテンツを掲載しようと取り組んだ。目を付けたのはニッチなジャンルの小説であった。

当時から「俳優や歌手と架空の恋愛物語をするファンフィクション」と呼ばれるジャンルやホラー系の小説が、個人のブログやTumblrのフィードなどで存在していたが、公の人の目に触れることがなかった。

そこでファンフィクションやホラー系などのニッチなジャンルの小説を書く作家に「Wattpadならあなたの作品を読んでもらえるからここで物語を書いてください」と声をかけ、アプリに作家を集めた。

そして2008年11月にWattpadでついにヒット作品が誕生する。それは@RedFlameと名乗るイギリスの10代が「Blind Truths」と呼ばれるヴィクトリア朝の吸血鬼を題材にしたホラー小であった。@RedFlameは自分が書いた小説を150人の友人に伝えたところ、友人はさらに友人に伝え、瞬く間に話題の小説になった。この事例をきっかけにWattpadは100人を超える作家と数千人の読者が集まるプラットフォームに成長した。

【施策2】ピックアップ小説の紹介

初めてWattpadに訪れるユーザーに向けて人気のある小説のリストを作成した。リスト名には「今話題の」「新着情報」などの言葉を使用して読者が小説を見つけやすいように努めた。

【失敗談】アプリ名の変更

2009年、AppStoreやGoogleplayなどのアプリストアの他に、Blackberryというものが存在していた。これは数字、アルファベット順にアプリが掲載される仕組みであった。WattpadはWから始まるため最後列に並んでしまうことを危惧し、Blackberry上でだけアプリ名の変更をした。名前は「100,000 Free Books」。
だがBlackberryからrejectされてしまったそう。

■ユーザー体験向上施策

【施策1】インラインコメント機能

インラインコメント機能を使えば、読者はストーリーの特定の単語や文章、段落にコメントすることができる。

インライン 1

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インラインコメントは、作家に貴重なフィードバックを提供するだけでなく、読者同士で繫りを作る体験をもたらしている。まるで友達と一緒に本を読んでいるかのような感覚で、ストーリー展開に合わせて絶叫したり、同情したり、反応したりすることができるのだ。

実際にインラインコメントの使われ方として、
①他の読者と反応を共有する。
②作者に感謝を伝える。
③物語の不備を編集する。(言葉の表現が間違っているなど)
④ストーリーの次の展開を推測する。
⑤ストーリーの次の展開に影響を与える。
⑥暴言
など様々な利用方法で機能を使ってもらっている。

そしてインラインコメントで読者から来る「次の展開は〇〇な感じにして!」などの提案を上手く活用したOne Directionのメンバーとの恋愛物語は、一躍大ヒットした。この小説の作者は10億以上のviewを集めた後に、複数冊の本の出版依頼を持ちかけられるほどであった。

【施策2】荒れるコメント欄の統制

インラインコメントでコメントを残すユーザーが増え始めると同時に質の悪い暴言や卑猥な表現などが目立つようになる時期があった。

そこで最初に行ったことは、コンテンツガイドラインの確立であった。このガイドラインは、悪意に満ちたコメントを拒絶し建設的な小説がより良くなるようなコメントを歓迎するという内容であった。

また、元々コメント欄は「review」という名前であったが「comment」に名称を変更し、字数を2,000文字に制限して暴言を削減されるなどの工夫を行った。

だが、それでも暴言でコメント欄が溢れることもあった。その際は暴言を残すアカウントと、(人気はあったのだが)暴言を吐かれた作家のアカウントも削除するという強行手段も行った例もある。人気作家のアカウントを削除するということで創業者のLauさんは「当時はかなり勇気のいる決断であったが、今となればそれは正しい行動であった」と述べられていた。

【施策3】作家モチベーション向上施策

作家が自発的に小説を投稿してくれるようになるまでサービスリリースから数年かかったこともあり、投稿してくれた作者は継続して投稿し続けてくれるようにする必要があった。そこで行った施策は3つある。
①フォーマットの作成

作家を集めた直後は小説を書く際のフォーマットをWattpad側が用意した。狙いは、作家には自分の物語を書くことにだけ集中してもらうこと。結果的にWattpad上のフォーマットがどの小説も同じであるため、読者はデザイン性よりも内容を重視してコンテンツを探してくれるようになり、作家が小説を書く以外のことを考える必要がなくなった。

②レポートの共有
作家の作品がどのくらいのview数があったのか、高評価の数はいくらかなどの数値をレポートにまとめて作家に提供するなど、書籍ではなくデジタルなプラットフォームだからこそできることを行った。

③Wattpad Booksの開催
Wattpad Booksとは大会のようなもので勝ち抜いた小説が書籍化される企画である。

独自の機械学習ツール「Story DNA」を使って、小説の既読数、コメント数、シェア数の他、文章の構造、単語や文法の使い方などの要素をポイント化し、一定数のポイントを超えた小説の中からWattpadのスタッフチームがいくつか出版物を決定する。

小説家たちに書籍化を目指して、より質の高い小説を書いてもらうことを目的とした。

【施策4】発展途上国向け機能

Wattpadは現在50言語に対応しており、ユーザーの中にはインターネットが常時繋がっていない発展途上国のユーザーも存在する。そんな彼らにもアプリを利用してもらいたいと考え、オフラインでも作家が執筆、読者が小説を読めるようにした。

【施策5】人気小説はテレビ化

Wattpadはフィリピンでとても人気を集めている。そして人気のあるWattpadの小説は、小説を元にしたゴールデンタイムのテレビ番組で実写放送される。これは作家として名前を売りたい方々のモチベーションの源泉となっている。

【最後に】

Wattpadは2017年にTapというチャット小説アプリもリリースしました。今回は取り上げることができなかったのですが、こちらも面白いサービスなので気になる人は是非みてみてください!

会社のサイトのブログもよかったら読んでみてください!

ご愛読ありがとうございました!


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ありがとうございます!100本目指して頑張ります!
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ここで海外マーケしてます。https://majisuke.com/