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SPOON /マーケティングトレースnote100本ノック90/100本目

こんにちは!今回はSPOONです。

SPOONのユーザー層は7割がZ世代。そしてSPOONには投げ銭で年間億単位売り上げを出す配信者も存在しています。

リリースの経緯をはじめ、Z世代が投げ銭をする理由やZ世代がSpoonに虜になる理由についてなどを書いてます。

■概要

【企業名・サービス名】
Mykoon Inc(韓国)・SPOON
【リリース】
2016年3月
【ユーザー数】
DL数1000万達成(2019年7月)
MAU200万(2019年8月)
【進出国と時系列】
-韓国にてSpoonをリリース(2016年3月)
-インドネシア、ベトナムに進出(2017年9月)
-日本進出(2018年4月)
-サウジアラビアなど中東の5ヶ国へ進出(2018年11月)
-アメリカ進出(2019年9月)
【説明】
ラジオ配信サービス。顔出しを必要としない「声で自分らしさを表現出来る」サービスである。
主な機能は以下の3つ。

①LIVE
声だけのライブ配信。毎晩4,000以上の配信が行われる。ライブ配信は1回2時間と時間制限があるのも特徴的。
②CAST
録音された音声コンテンツを登録出来る。
“歌ってみた動画、録音ラジオ、ASMRなど様々なコンテンツを自由に投稿することが出来る。
③TALK
音声掲示板のようなサービス。
掲示板には読み上げて欲しい台詞のリクエストや大喜利などがある。

■SPOON、海外進出に至るまでの経緯

-主力事業の低迷期-

2015年、SPOON代表のチェヒョクジェさんは元々スマホの充電を起点としたサービスを運営していた。具体的にはスマホを充電できる場所を位置情報で教えてくれるアプリとスマホのバッテリー交換の2つの事業を行っていた。スマホの登場により、何時も手からスマホを離さない人々が増え、同時にスマホのバッテリー残量に気を尖らせている人をみる機会が増えたことから考案したサービスであったそう。だが、モバイルバッテリーの普及やバッテリー自体が長持ちするようになったことで年々売り上げが下がっていた。
借金も増えてしまい最終的には何もすることがなくオフィスでラーメンを食べて帰宅する日もあったそう。

-転機-

そんな中一人の社員Aさんからオーディオサービスの新規事業をしようとの提案があった。コンセプトは「声で励ましあえる。慰めあえるサービス。」
アイデアの起点はその社員Aの知人が悲しむ社員Aをみて「お前みたいに悲しむ人を集めて励ましあい、高め合えるサービスでも作ってみたらどうだ?」と提案を受けたことからであった。

当時のライブ配信サービスはレッドオーシャンであったが音声であれば比較的競合は少なくサーバーの維持コスト含め負担も少なかった。特に韓国にはまだオーディオプラットフォームが存在していなかったため、単純にサービスを開発したらとりあえず出してみようと考え2016年3月にローンチした。

-ローンチ後-

ローンチ初期のSPOONはLive配信機能は存在しておらず「ユーザーが悩み事をボイスメッセージとして発信し、それを聞いた人が励ましの言葉や悩みの解決方法についてコメントするプラットフォーム」であった。
最初はラジオではなかったものの徐々にユーザーが自発的に「◯月◯日の〇〇によるラジオ放送」という名前でコンテンツを投稿したり、他の人の前日の投稿を題材に深掘りコンテンツを投稿するユーザーが増え始めた。加えて、AppStoreのレビューにも「ラジオのようなライブ配信機能が欲しい!」とのコメントがちらほら現れ始め、音声特化のLive機能を開発することになった。

-ユーザーの爆発的増加-

Live機能を追加したことで瞬く間にユーザーが増加した。中でもZ世代ユーザーの増加は勢いが止まらなかったそう。またZ世代の中でもYouTuberとして有名になりたいという夢を持っているが顔出しが恥ずかしいという理由から一歩踏み出すことのできなかったユーザーが多かった。顔出しの必要がないSPOONはそんな彼らの救いの場になったのであった。

-投げ銭機能の導入-

配信者(以下BJ:ブロードキャストジョッキーの略)が増え始めた頃に投げ銭機能を実装することになった。(投げ銭は通称"SPOON"。これは100ウォンで1つ購入できる。)
投げ銭はSPOONを単体で投げることもできる他、1000ウォン~33万ウォンの範囲で販売されるステッカーをBJにプレゼントとして送ることができる。

spoonステッカー

spoonステッカー2

メインユーザーがZ世代の若者ということもあって、投げ銭を導入してもそれほど収益が見込めないのではないか?と社内外から賛否両論であったがチェ代表は躊躇なく導入した。

チェ代表は「ラジオを聞いていた世代や今の30~40歳の世代はラジオにお金を払う文化はない。だが、Z世代は良質なコンテンツには対価を払う感覚が身についており、その対象がラジオでも変わらない。ラジオを知らない世代だからこそ投げ銭機能は価値がある。」と考え、ユーザーが投げ銭をしてくれると予想していた。

結果的に投げ銭機能を導入した初月は200万ウォンの売り上げを記録した。今では毎日約1億ウォン以上の売り上げが出ており、SPOONでトップ10に入るBJは年間で億単位のお金を稼いでいるという。

-海外進出-

最初に海外進出で選んだ国はインドネシアとベトナムであった。

理由は以下の3つ。
①若年層の人口が多いこと
②SNSの利用時間が長いこと
2018年当時、東南アジアのモバイルユーザーのSNS利用時間が平均3.6時間であった。中国が平均3時間、イギリス2時間であることに比べると利用時間が長いことがわかる。
③人件費が安価なこと

これら3つの理由からインドネシアとベトナムを選択した。だが、十分な成果は得られなかったという。インドネシアやベトナムでは現状、大金を課金するほどの生活水準が整っていないため、韓国に比べて投げ銭は活発的に利用されず、利用してもらえても決済額が韓国よりも少額になってしまった。

そこで生活水準が整っている日本を次の進出国とした。日本は国民の生活水準が整っている分、進出後にはSPOONの決済額が急速に増加した。

日本の次はサウジアラビア。人口は韓国よりも少ないが1人あたりのアプリ内課金額が世界トップレベルの国である。サウジアラビア進出も十分な成果を得ることができた。

そして海外でも順調にユーザー数を獲得し、昨年アメリカ進出を遂げた。

■STP分析

Segmentation

人口動態:ユーザーの70%がZ世代の若者
地域性:韓国
嗜好性(リリース初期のLive機能実装時)
共感し合える場を求めている。
行動特性(リリース初期のLive機能実装時)
[配信者]
YouTubeなどに興味はあるが顔出しが恥ずかしく、Instagramなどで密かに自分のアカウントを運営している。
[視聴者]
カカオトークではなく友達のログイン情報がわかるFacebookメッセンジャーを利用している。そしてログインしているユーザーにだけメッセージを送信する傾向がある。それほど迅速なコミュニケーションを好む。


Targeting

嗜好性を軸にターゲットを考えてみる。

[配信者]
・学校での楽しい出来事や悩み恋愛の話などを気軽に発信できる、そして共感してもらえる場所を求めている学生。
・YouTubeやアフリカTVなどで配信をしてみたいが恥ずかしいと感じる学生。
[視聴者]
同じような体験をしている人を探したい。共感できる場を探している。


Positioning

大まかな括りは2016年当時韓国の若者の間で流行していたストリーミングサービス

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アフリカTV(左上):アフリカTVは通常、ドラマやバラエティ系のコンテンツが流れるサービスだが、一般人が作成したビデオを放送する放送枠が設けられている。風船と呼ばれる投げ銭機能があり、一般人の投稿に風船を放つことができるのが特徴的。だがLive配信はなかったため、双方向性には欠ける。
当時の韓国ではYouTubeもしくはアフリカTVで名前を売ることが主流であったそう。
SPOON(右下):アフリカTVをベンチマークとしており、アフリカTVに出たくても顔出しが恥ずかしくて出られないという層を狙った。
YouTube(左下):YouTubeでも顔出しを行わずに音声のみの動画を投稿することはできるが、一般的には顔出しのYouTuberが多い。また当時はYouTubeLiveも実装されていない。
VLIVE(右上):K-POPアイドルのLive配信サービス。基本的にアイドルしか出演できない。

■ユーザー体験向上施策

【施策1】LIVE画面をトップに持ってくることで、迅速なコミュニケーションを可能に

韓国のZ世代は、友人との連絡ツールとして韓国で最も利用されているカカオトークよりもFacebookメッセンジャーを好む傾向がある。これは迅速なコミュニケーションが取れるからである。カカオトークは誰がログインしているかわからないがFacebookメッセンジャーはログイン情報がわかる。すぐに返信を期待する若者はFacebookメッセンジャーでログイン表示されている友達にだけメッセージを送り素早いコミュニケーションを取ろうとしているのだ。
(日本でも同じことが言える。最近のZ世代はLINE離れの傾向があると言われており、InstagramのDMやZenlyのチャット機能を使用して友人と会話する。LINEはログイン状況がわからない一方、InstagramやZenlyはログイン状況がわかる。)

Z世代の傾向から、SPOONは迅速にコミュニケーションが取れるように工夫をしようと考えた。

具体的にはアプリを起動した時にすぐにBJとコミュニケーションをとることができるように、Live機能をトップページに持ってくるようにした。

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【施策2】匿名環境

SPOONは匿名環境を維持することで若者配信者に安心感を与えている。

韓国のZ世代はFacebookなどの実名プラットフォームでは写真に一言程度の言葉を添えた投稿が目立つ。そして多くの人は投稿をしない。というのもFacebookなど実名環境のプラットフォームでは発信するよりも情報収集をするツールとして利用されているからだ
一方で匿名環境のプラットフォームでは積極的に自分の考えを発信する若者が多い。ここからSPOONは完全に匿名のプラットフォームで運営することにした。匿名であれば普段相談できない悩みもSPOONで配信者として発信することができるし、視聴者でもコメントで意見を気軽に発信することができる。

■その他施策

【施策1】マジックナンバー5

Twitterで20人以上フォロワーがいたり、Facebookで友達が5人以上いるとユーザーのサービス継続率が格段に上がるマジックナンバーがある。SPOONも同様に新規インストールしたユーザーが何個配信を聞いたら、アプリを削除せずに継続的にアプリを利用し続けてくれるかをデータで導き出した。結果5つであると判明した。そこでインストールしたユーザーに最初の起動時で人気の配信者の部屋をピックアップして紹介したところ最もユーザーの反応が良いことがわかった。この施策は現在も行っている。

他にも初回起動時にチャットでユーザーに話しかけ、親近感を持たせるように工夫したこともあったが現在それは行っていない。

https://byline.network/2020/02/27-79/ >

【施策2】リテンション向上施策

SPOONはユーザーのリテンションを高めるために、プッシュ通知を採用している。

プッシュ

プッシュ通知を導入する前はリテンション率を向上させるために、
BJが配信を開始した時に最初に部屋に入ったユーザーに何かしらの賞を提供することや、あるいはBJが初めて部屋に訪れたユーザーに対してコメントを送信するなどの施策を実施した。

上記の施策などを元に2週間以内のリテンション率がどうなるのかなどを検証したところ、SPOON運営がスパムだと思って見過ごしていたプッシュ通知が一番反応が良いことがわかった。

特に翌日リテンションはプッシュ通知を導入したことで15%も向上した。

■最後に(韓国でのSpoon広告メッセージ)

気になって本場韓国での広告メッセージを調べたら見つかったので紹介します。

いつも孤独がいいと感じていた。いつも一人でいる方が楽だと思っていた。
でも本当は時々誰かとコミュニケーションしたい
楽に聴いて眠れば良いのです。 私が寝かして差し上げます。

大人は知らない私たちだけのラジオであなたの才能を見せてください
眠れない夜はSPOON Radio。聴きながら眠っても良いです。

言葉だけ見たら少し暗い印象がありますが、共感できる場を求める人や、YouTubeなどでの顔出しが恥ずかしい人に向けた訴求文言であるように思えます。

ご愛読ありがとうございました!

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ここで海外マーケしてます。https://majisuke.com/