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司会進行備忘録

研究室内のミーティングやカジュアルな講演会の司会進行を担当することがたまにある。それほど大きな行事ではなく、日常業務の一環といった程度のイベントである。しかし、日常業務であるからこそ、日々の積み重ねが徐々に大きな変化に繋がると思う。そこで、ちょっとしたクオリティアップを目的に、普段気をつけている事柄から3つ取り上げてまとめてみる。

1. 原則は時間を厳守

ミーティングにしても講演会にしても、基本的には複数人が参加するものである。そのときに注意しておきたいのは、終了時間が伸びてしまうと、その分だけ等しく他人の時間を奪ってしまうということだ。参加者には様々なタイプがいるので、時間になれば次の用事にすぐ移る人もいるかもしれないが、そのようなことができるのは多くないと思う。例えば、5人参加した打ち合わせで10分伸びたとしたら、50分の時間が余分に消費されたと捉えられる。そのため、原則は時間を厳守することを意識する。特にオンライン形式では、時間管理が難しくなるのでより注意が必要である。具体的な対策として、ミーティングであれば事前に議題を整理しておき、内容を調整、告知しておく。チャットなどを用意しておき、終了後も個別の議論ができるように準備しておく。たとえ、1つの話題が盛り上がっていてもある程度のタイミングで次の話題に移行を促す。といったことを司会は意識しておくと良い。

2. 発表者を迷子にさせない

これは、ミーティングよりも講演会の場合に当てはまることが多いが、発表者を迷子にさせないということも大切である。発表者は発表のために準備をしてきたり、時間を割いているのである。まずはそこに敬意を払う、ゲストとして扱う。それは年下とかは関係ないと思う。次に、発表時の機材トラブルなどをなるべくサポートする。オンライン形式であればスライドが表示されているか、音声が出ているのかなどを進行の人が必要に応じて確認する。そして、発表が終わった後、質疑応答の時間になったら、発表者に質疑の進行を対応させてはいけない。発表直後は、聴衆も様子をみて一瞬沈黙が訪れることがあるかもしれないが、その時はすかさず司会が声を発して進行を続けなければいけない。発表が終わり、その後の質問を吸い上げる手続きを発表者に任せてはいけない。もし、すぐに質問が出なければ、司会の人が最初の質問をするべきである。そのために予め質問をする準備をしておくと良いだろう。ちなみに、質問の内容は高度なものでなくて構わない、むしろ後続のために簡単な話題から始めるのが適切である。

3. 裏テーマを設定する

細かいミーティングは、惰性で流してしまうこともあるかもしれない。また、講演会にしても、イベントそのもののテーマは、発表者の講演内容を踏襲することが多いだろう。しかし、それぞれのイベントには議題を消化していく以上のテーマを与えておけるとより有意義になる。それは、明示的なものでなくてよく、参加者全員に必ずしも共有しておく必要もない。なので、裏テーマなのである。例えば、これは普段の活動において、何に焦点を当てたものなのか(業務の効率化が目的、研究の推進が目的、など)、また、その回は、これまでの流れの中でどういう意味があるのか、といったことである。こういったことは必ずしも毎回設定するのは難しいかもしれない。定例で予定されているものなどは特に。しかしながら、そのような目的設定なしに開かれるミーティングはダレてしまう可能性が考えられる。講演会にしても、発表者の講演内容を踏まえた上で、参加者にとってどんな利益があるイベントになるのかを司会進行として一度検討するのが良いと思う。

今回は3つの事柄について大まかに書いた。これらは必ずしも全てのミーティングや講演会で適用できるものではなく、この3つができたからといって良いイベントになるとは限らない。また、そもそもミーティングや講演会の規模や雰囲気は、参加者や状況設定によって大きく異なるので一般化は難しい。ただ、少なくとも言えるのは、司会進行を仮に担当することがあったとして、なんの準備もなしに勝手にうまくいく可能性はとても低い。何もせずにうまくいったと思っても、他の人が気を利かせて誘導してくれていることがある。日常業務に逐一神経を張り詰めて対応する必要はないが、少しでも実りある時間にするためにこれらの点を一度意識してみるのも悪くないかと思う。

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