演繹を忘れた人類

covid19の情報が出回り始めた1月、
病態を見てなんともやっかいな。
重症化グループに入ってしまったら助からないと思っていいなと思ったのだが(重症化したらそのうち半分が死ぬ、というのはそういうこと)

私は少なくとも日本での流行に関しては非常に楽観的だった。

なぜならば、12月後半からすでにかなりの症例が蓄積されていて、隠蔽というよりは検査や調査が追い付かずに把握しきれない部分はあったにしろ
一定の傾向は流行の初期にわかっていたからだ。
(そして今のところ傾向には大きな差はなく、若い人がたくさん死んでいる方に見えるのは分母がそれこそ爆発的に増大しているからだ。若者が死ぬようになったように見えているのはメディアが目立つものだけを拾っているからで、その先には騒動の初期と変わらない比率で大量のハイリスクグループが亡くなっているだけなのだ)

問題となる重症化群におけるコロナの挙動は初めからわかっており、
これほどの転帰をとる病気なのだから、確定診断がつかないなら疑わしきは全て陽性扱いするべきだろうと
私はすぐに思ったし、
まさか日本の医療がそれをやらないわけがないと思ったからだ。

おかしいなと思ったのは最初に確認された陽性死亡患者がすでに2月も中旬あたりだったのに、死後で陽性の確定診断が出たこと。
えっ?まさかと思うけど検査全然してないの?と思っていろいろ聞いたところ

「病院が必要だと判断しても検査をさせてもらえない」という実態が分かった。
うやむやにしているうちに集団免疫を獲得することを期待したのかはよくわからないけど、
私も、そして私の周囲の臨床医に話を聞いても狐につままれるような話なのである。

おそらくだけど
多くの医師を含む感染症専門医の考えた
「(感染者が爆発的に増えなければ)ただの風邪」
の前半カッコ部分がまったく政治には理解されなかったのだと思う。

結局自粛にしろロックダウンにしろ、これはもう誰がかかってるかわからないから誰にもうつさせないという最後の手であり、
最も副作用を伴う治療法なのだ。
現にインドなどでは急速な経済的な失速による餓死者が大量に出始めているし、
DVや虐待による死亡も間違いなくこれからも増える。

今回コロナ戦でまだ結果は出てないが、コロナだけでなくあらゆる方向での被害を可能な限り抑え込めそうなのは、緒を帰納法ではなく演繹法で考えられた少ないリーダーの国であるが、
多くは帰納法で感染症というファクター以外の思惑を乗せすぎて大きな大きな取り返しのつかない初動の誤りを誘導した。

この段階にあり、まだオンライン診察に医者自身が肯定的ではないという記事を読み、
対面による診断の付加価値や既得権に固執し
目があかないまま病院から日本はコロナに沈んでいき
ピークではイタリアやニューヨークのような状態にならないで欲しいと心から思う。

また、少なくとも感冒の外来を診察する際には、
別の外来患者とスペースを厳密にわけ、PPEの装着を義務付けるように正式な通達を出さないと、
「風邪」の診察で感染した医療従事者が患者に、帰宅途中で、家族に、次々に移していくメガスプレッダーに自らがなってしまう地獄絵図は止まらないと思う。
どんなに若者を部屋に閉じ込めても、無防備な医療従事者からの感染は止まらないし、自らの首を絞め続けるのである。

未だに毎日これが本当に21世紀の人間に起きていることなのか、
かように人間は愚かなものなのかと思想するのです。

※弱毒コロナが体内で強毒化変異をしている可能性が指摘されており、猫の疾病に古くからある感染症FIP(弱毒コロナが体内で変異し致命率を高める)におけるコロナの挙動についての既存の研究などに何かヒントはないだろうか(ネコ科は発症してるし)と、思ったりするので誰か天才に見つけてもらいたいのでここに書いておきます。

#COVID19

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